東西103、南北52キロ㍍と東西に長い埼玉県は面積3800平方km。日本の都道府県の中では、広さでは39番目。狭い方から9番目といった方がいいだろう。
NHKの夕方の天気予報を見ていれば分かるように、東京都よりは大きい。面積では、東京都は45位、大阪府は46位なのだ。
全国に8つある内陸県(海なし県)で、7つの都道県に囲まれている。東京都、千葉、茨城、栃木、群馬、長野、山梨県である。
隣接県が一番多いのは長野県の8つで、岐阜県は埼玉と同じ7つだ。
この中に埼玉県は723万人(15年5月1日)の人口を持ち、東京都、神奈川県、大阪府、愛知県に次ぎ5位。人口密度は1平方キロ㍍当たり1900人で、東京都、大阪府、神奈川県に次いで4位である。
市町村は、市が40と日本一、町は22、村は1つだけ。計63の市町村がある。
埼玉県には「日本一」がけっこうある。「市の数」もその一つ。愛知の38、千葉の37、北海道の35をしのぐ。
市とは一体何だろうか。地方自治法第8条では①原則として人口5万以上②中心市街地の戸数が全戸数の6割以上③商工業等の都市的業態に従事する世帯人口が全人口の6割以上――という条件がある。
埼玉県の場合、市の人口はさいたま(125万、全国の市では9位)を筆頭に、川口(57万)、川越(35万)、所沢(34万)、越谷(33万)(14年6月)の順で並んでいる。
埼玉の市の特徴は、五日市とか六日市とかいった市場の所在地ではなく、元宿場町が多いことだ。埼玉では、日光・奥州街道(現在の4号線)、京都三条大橋に至る中山道(現17号線)に沿って、宿場町が形成された。
それが基礎になって、日本の高度成長が始まる昭和30年代後半から、東京の衛星都市として転入者が激増、昭和35年(1960年)から25年間に県南地域を中心に埼玉の人口は2.4倍に膨れ上がった。それが、日本一の市の数を生んだ背景にあることは言うまでもない。
市町村の総数では、北海道の179、長野県の77についで3位。北海道は町が129で1位、長野県は村が35で1位だ。
比較の対象を日本から世界に目を転じてみよう。
UNFPA(国連人口基金)の「世界人口白書」(2014年)によると、人口が700万人台の国は、多い順からイスラエル、ヨルダン、パプアニューギニア、香港、ブルガリア、トーゴの6つある。
埼玉県の人口は香港730万、ブルガリア720万の間で102番目になる。
国連加盟国は193なので、ざっと数えて人口では中ぐらいの国だと言える。
「グラフで見る2011年度県経済のすがた」などによれば、埼玉県の名目GDP(この場合は県内総生産)は、20兆3700億円(2577億ドル)で、OECD加盟国の国内総生産と比較すると、22位のフィンランドと23位のチリとの間。つまり23位である。
国内では、東京都、大阪府、愛知県、神奈川県についで5位になっている。
県内総生産で、主要国の中で23位とは思いもかけなかった順位で、埼玉県の実力に驚いた。
ところが、一人当たり県民所得(12年度)になると、280万6千円で、03年度(292万2千円)さえ下回り、関東地方1都6県の最低と言うからまた驚く。
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