日本最大の道教のお宮「聖天宮」 坂戸市
道教のことは、さっぱり分からない。坂戸市に異国風な大きな宗教施設があることは、東武東上線の駅のホームの写真で気づいていた。訪ねてみようという気になったのは、「日本で最大」という話を聞いて、持ち前の好奇心がうずいたからである。
東上線若葉駅東口から一直線に伸びる駅前通りを、団地群を越え、工業団地を越え、歩いて30分余、坂戸市塚越に入ると、左手に誰もが「ありゃりゃ」と叫びたくなるお宮が眼に入る。
反り返った黄色い瓦屋根に、龍、鳳凰、麒麟などの神獣のガラスとタイルでできた屋根飾りを頂いている。
拝観料300円を払い、天門(天宮への門)から前殿を経て本殿に至る。前殿の左右に太鼓のある鼓殿と鐘のある鐘楼が付いている。
「寺」ではなく、「お宮」だという。何と読むのかと思っていたら、「せいてんきゅう」とのこと。道教は、どうやら天宮、つまり天球、宇宙に関係があるようなのだ。
「陰陽道(おんみょうどう)、八卦、風水とかにかかわる中国古来の民間信仰ですよ」。私がわずかに知っている老子、荘子については、「その中から哲学的な部分をまとめた人です」――と、案内の人が教えてくれた。
中国では黄色い屋根瓦は、皇帝の建造物と道教のお宮にしか使われない。龍の彫刻もふんだんにあるが、前殿の九龍柱は、一枚の岩から彫られた九頭の龍。九という龍の数は最高位の神、これも皇帝しか用いることができないという。前殿や本殿の天井は、木の彫刻が釘なしで組まれている。
金箔と黄青白赤黒の原色を使った、きらびやかで豪華絢爛な創りである。それもそのはず、聖天宮は、道教の伝説にある天界の宮殿なのだから。
これまで全国、いろいろ日本の寺社を訪ねてきた。こんなけったいなお宮を見たことはない。
本殿の中央に、人間界の運勢を司る道教最高位の三神「三清道祖」が鎮座している。中央が天地創造の神「元始天尊」、左に万物の魄を司る「霊寶天尊」、右に万物を道徳へ導く「道徳天尊」だ。「元始天尊」は、豪華な頭の飾りを付けている。いずれも髭を長く伸ばしているのが特徴だ。
この「三清道祖」にお線香を上げ、こと細かにお願いごとをすると、ご利益があるというのである。
なぜこんなお宮が坂戸に出現したのか――。建てたのは、康国典大法師(故人)。台湾人で、貿易で財をなした。40歳半ば、膵臓をわずらい、医者から「不治、余命いくばくもない」と宣告された。
東京のガンセンター、慶応病院、その他外国の病院などで7年余治療したが、うまく行かなかった。「三清道祖」に願かけしたところ、一命をとりとめ、完治した。
感謝の念にかられ、他の人もご利益にあずかれるお宮を建てようと建造の地を探していたところ、台湾ではなく、日本のこの地に建てよというお告げを授かった。
最寄りの若葉駅も、前の道もない雑木林だったこの地に、一から整地し、1981(昭和56)年に着工、14年かかって、1995(平成7)年に竣工した。
台湾の観音山から龍などを彫る観音石を運び出し、木彫用の木は台湾の楠。台湾の宮大工に作らせて、ここまで運び、台湾の職人を呼んで組み立てさせたというから、総費用は億どころか数十、数百億円かかっているのはなかろうか。
きらびやかな中華風の建物に惹かれて、コスプレの聖地として若者に人気が出てきたようだ。
道教のことは、さっぱり分からない。坂戸市に異国風な大きな宗教施設があることは、東武東上線の駅のホームの写真で気づいていた。訪ねてみようという気になったのは、「日本で最大」という話を聞いて、持ち前の好奇心がうずいたからである。
東上線若葉駅東口から一直線に伸びる駅前通りを、団地群を越え、工業団地を越え、歩いて30分余、坂戸市塚越に入ると、左手に誰もが「ありゃりゃ」と叫びたくなるお宮が眼に入る。
反り返った黄色い瓦屋根に、龍、鳳凰、麒麟などの神獣のガラスとタイルでできた屋根飾りを頂いている。
拝観料300円を払い、天門(天宮への門)から前殿を経て本殿に至る。前殿の左右に太鼓のある鼓殿と鐘のある鐘楼が付いている。
「寺」ではなく、「お宮」だという。何と読むのかと思っていたら、「せいてんきゅう」とのこと。道教は、どうやら天宮、つまり天球、宇宙に関係があるようなのだ。
「陰陽道(おんみょうどう)、八卦、風水とかにかかわる中国古来の民間信仰ですよ」。私がわずかに知っている老子、荘子については、「その中から哲学的な部分をまとめた人です」――と、案内の人が教えてくれた。
中国では黄色い屋根瓦は、皇帝の建造物と道教のお宮にしか使われない。龍の彫刻もふんだんにあるが、前殿の九龍柱は、一枚の岩から彫られた九頭の龍。九という龍の数は最高位の神、これも皇帝しか用いることができないという。前殿や本殿の天井は、木の彫刻が釘なしで組まれている。
金箔と黄青白赤黒の原色を使った、きらびやかで豪華絢爛な創りである。それもそのはず、聖天宮は、道教の伝説にある天界の宮殿なのだから。
これまで全国、いろいろ日本の寺社を訪ねてきた。こんなけったいなお宮を見たことはない。
本殿の中央に、人間界の運勢を司る道教最高位の三神「三清道祖」が鎮座している。中央が天地創造の神「元始天尊」、左に万物の魄を司る「霊寶天尊」、右に万物を道徳へ導く「道徳天尊」だ。「元始天尊」は、豪華な頭の飾りを付けている。いずれも髭を長く伸ばしているのが特徴だ。
この「三清道祖」にお線香を上げ、こと細かにお願いごとをすると、ご利益があるというのである。
なぜこんなお宮が坂戸に出現したのか――。建てたのは、康国典大法師(故人)。台湾人で、貿易で財をなした。40歳半ば、膵臓をわずらい、医者から「不治、余命いくばくもない」と宣告された。
東京のガンセンター、慶応病院、その他外国の病院などで7年余治療したが、うまく行かなかった。「三清道祖」に願かけしたところ、一命をとりとめ、完治した。
感謝の念にかられ、他の人もご利益にあずかれるお宮を建てようと建造の地を探していたところ、台湾ではなく、日本のこの地に建てよというお告げを授かった。
最寄りの若葉駅も、前の道もない雑木林だったこの地に、一から整地し、1981(昭和56)年に着工、14年かかって、1995(平成7)年に竣工した。
台湾の観音山から龍などを彫る観音石を運び出し、木彫用の木は台湾の楠。台湾の宮大工に作らせて、ここまで運び、台湾の職人を呼んで組み立てさせたというから、総費用は億どころか数十、数百億円かかっているのはなかろうか。
きらびやかな中華風の建物に惹かれて、コスプレの聖地として若者に人気が出てきたようだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます