湖月抄 手ならひ
五十二
手習
細巻名は詞をもて号す。手習といふ詞五ところにあり。
孟手習ひ√身をなげし涙の河の早き瀬にしがらみか
けてたれかとゞめしとありしより手習ひといふ詞巻
の中に四カ所あり。細薫廿六七歳の事あり。かげろふの巻
の始と同時分なり。浮舟のうせて翌日の事也。其年暮
て次の年の春までの事也。小野にありてより手習
の君といへり。
略語
※奥入 源氏奥入 藤原伊行
※孟 孟律抄 九条禅閣植通
※河 河海抄 四辻左大臣善成
※細 細流抄 西三条右大臣公条
※花 花鳥余情 一条禅閣兼良
※哢 哢花抄 牡丹花肖柏
※和 和秘抄 一条禅閣兼良
※明 明星抄 西三条右大臣公条
※珉 珉江入楚の一説 西三条実澄の説
※師 師(簑形如庵)の説
※拾 源注拾遺