新古今和歌集の部屋

雑歌上 雑歌抄9 筆者不明巻子本コレクション


老いにけるしらがも花ももろともに
けふの

みゆきにゆきと
    見えけり

さくらばな
  をりて見しにもかはらぬに

散るばかりをぞ
     しるしなりける

さもあらば
   あれ
 くれゆくはるもくもの上に
      ちることしらぬ
           はなし
            にほ
             はゞ


新古今和歌集巻第十六 雑歌上
 京極前太政大臣家に白河院御幸し給ひて又の日花の
 歌奉られけるによみ侍りける
               堀河左大臣
老いにける白髪も花も諸共に今日のみゆきに雪と見えけり

 後冷泉院御時御前にて翫新成櫻花といへるこころを
 をのこどもつかうまつりけるに
               大納言忠家
櫻花折りて見しにも變らぬに散らぬばかりぞしるしなりける

 後冷泉院御時御前にて翫新成櫻花といへるこころを
 をのこどもつかうまつりけるに
               大納言經信
さもあらばあれ暮れ行く春も雲の上に散る事知らぬ花し匂はば


読み:
おいにけるしらがもはなももろともに
きょうのみゆきにゆきとみえけり

さくらばなおりてみしにもかわらぬに
ちらぬばかりぞしるしなりける 隠

さもあらばあれくれゆくはるもくものうえに
ちることしらぬはなしにおわば 隠


備考:
京極前太政大臣:藤原師実
白河院御幸:嘉保三年(1096年)二月二十二日
堀川左大臣:源俊房

後冷泉院御時:天喜四年(1056年)閏三月二十七日



平成28年9月17日 點伍
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