新古今和歌集の部屋

雑歌上 雑歌抄8 筆者不明巻子本コレクション


いさやまた月日のゆくもしらぬ身は
        はなのはるとも
       けふこそは見れ

 をる人のそれなるうちにあぢき
なくみしわが宿の

   はなのかぞする

 みてもまた/\も見まくの
ほしかりしはなのさかり
         は

すぎやしぬらん


新古今和歌集巻第十六 雑歌上
 籠り居て侍りける頃後徳大寺左大臣白河の花見に誘ひ侍
 りければ罷りてよみ侍りける
               源師光
いさやまた月日の行くも知らぬ身は花の春とも今日こそはみれ

 敦道のみこのともに前大納言公任の白河の家に罷り
 て又の日みこの遣はしける使につけて申し侍りける
               和泉式部
をる人のそれなるからにあぢきなく見しわが宿の花の香ぞする

 題しらず
               藤原高光
見ても又またも見まくのほしかりし花の盛は過ぎやしぬらむ


読み:
いさやまたつきひのゆくもしらぬみは
はなのはるともきょうこそはみれ

おるひとのそれなるうちにあぢきなく
みしわがやどのはなのかぞする

みてもまたまたもみまくのほしかりし
はなのさかりはすぎやしぬらん

備考:
後徳大寺左大臣:源実定
沈みぬる水屑なれども花盛り浮き出づる今日にたぐえとぞ思ふ(実定)への返歌。

和泉式部は、敦道親王の屋敷に住み、敦道の立場で詠んだ。

高光集によれば、
「花の盛りに古里を花を思ひやりて、いひやりし」と贈答歌



平成28年9月17日 點伍
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