新古今和歌集の部屋

雑歌下 述懐歌 筆者不明断簡コレクション


   れいならでうづまさにこもりて侍けるに心ぼそく
   おぼえければ   周防内侍
かくしつゝ夕の雲と成もせばあはれかけても誰かしのばん

   題不知      前大僧正慈圓
おもはねど世をそむかんといふ人のおなじ数にや我も成なん

            西行法師
数ならぬ身をも心のもちがほにうかれては又帰きにけり
をろかなる心の引に任せてもさてさはいかにつゐの思は
年月をいかで我身に送けん昨日の人もけふはなき世に
うけがたき人のすがたにうかび出てこりずや誰も又しづむべき

   守覚法親王五十首哥よませ侍けるに


            寂蓮法師
そむきても猶うき物は世成けり身をはなれたる心ならねば

   述懐心をよめる
身のうさを思しらずはいかがせんいとひながらも猶すぐす哉

            前大僧正慈圓
何ごとを思ふ人ぞと人とはばこたへぬさきに袖ぞぬるべき
いたづらに過にしことやなげかれんうけがたき身の夕暮の空
打絶えて世にふる身にはあらねどもあらぬすぢにもつみぞかなしき

   和哥所にて述懐の心を
山里に契し庵やあれぬらんまたれんとだに思はざりしを

            右衛門督通具
(袖に置く露をば露としのべどもなれ行く月や色を知るらむ)


平成30年10月11日 壱
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