新古今和歌集の部屋

和漢朗詠集 春8 元禄五年本



あをやぎのまゆにこもれるい〔とな〕れば
 春のくるにぞ色まさりける   兼輔
 花
                    長讀
花明上苑輕軒馳九陌之塵猿
 
叫空山斜月瑩千巖之路
                   〔白〕
池色溶〃藍染水花光熖〃火燒春
                    白
遙見人家花便入不論貴賤与親〔疎〕
                    菅三品
瑩日瑩風髙低千顆万顆之〔玉〕
 
 
 
兼輔集
 屏風に
青柳の繭にこもれる糸なれば春の来るにぞ色まさりける
 
 閑賦        長讀
花上苑に明にして軽軒(けいけん)九陌(きゅうはく)の塵を馳(はせ)、
猿空山に叫て斜月(しゃげつ)千巖(せんがん)の路の瑩(みがく)
 
 早春招張賓客    白居易
池の色は溶々として藍水を染、花の光は熖々(えんえん)として火春を焼く
 
 尋春題諸家園林   白居易
遙に人家を見て花あれば便ち入、貴賤と親疎とを論ぜず
 
 花光水上浮序    菅原文時
日を瑩き風を瑩く髙低千顆万顆の玉、
枝を染め浪を染め表裏一入(いちじゅう)再入の紅。
誰謂、水心無と濃艶に臨で波色を変ず。
誰謂、花語らずと軽漾(けいよう)激して影動唇を動す。



染枝染浪表裏一入再入之〔紅〕
                 同上
誰謂水無心濃艶臨兮波變色
 
誰謂花不語輕漾激兮影動唇
                 順
欲謂之水則漢女施粉之鏡清瑩
 
欲謂之花亦蜀人濯文之錦粲爛
                 菅三品
織自何絲唯暮雨裁無定様任春風
                 源英明
花飛如錦幾濃粧織者春風〔未疊箱〕
 
 
 
 花光水上浮序     源順
これを水と謂と欲れば、すなわち漢女粉を施す鏡清瑩(せいえい)たり。
これを花と謂んと欲れば、また蜀人文を濯ふ錦粲爛(さんらん)たり。
 
 花開如散錦      菅原文時
織ことは何の糸よりを唯暮の雨、裁ことは定れる様無し春風任せたり。
 
 花開如散錦      源英明
花飛で錦の如く幾く濃粧ぞ。織るは春風未だ箱を畳まず。
始て識す春風の機上に巧なるを、ただ色を織のみにあらず芬芳(ふんぽう)をも織る。
 
 
                  〔英明〕
始識春風機上巧非唯織色織〔芬〕芳
                   源相規
眼貧蜀郡裁殘錦耳倦秦城調盡箏
世中にたえてさくらのなかりせば
 はるのこゝろはのどけからまし 業平
わがやどのはな見がてらにくる人は
 ちりなむのちぞこひしかるべき 躬恒
見てのみや人にかたらむやまざくら
 てごとにおりていへづとにせむ 素性
 落花
                  〔白〕
落花不語空辞樹流水無心自入〔池〕
 
 
 
 花少鴬稀  源相規
眼は蜀郡に貧し裁ち残せる錦、耳は秦城(しんせい)倦(う)めり調尽せる箏を
 
古今集
 渚の院にて桜を見てよめる   在原業平
世中に絶えて桜のなかりせば春の心はのどけからまし
 
古今集
 桜の花の咲けりけるを見にもう
 で来たりける人に読みておくり
 けける            凡河内躬恒
わが宿の花見がてらに来る人は散りなむのちぞ恋ひしかるべき
 
古今集
 山の桜を見てよめる      素性法師
見てのみや人に語らむ山桜手ごとに折りて家づとにせむ

 過元家履信宅     白居易
落花語ず空く樹を辞す。流水心無く自ら池に入る。
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