新古今和歌集の部屋

幻住庵の記 その6



(此たび)
洛にのぼりいまそかりけるをある人を
して額を乞。いとやす/\と筆を
染て幻佳庵の三字を送らる。頓て
草庵の記念となしぬ。すべて山居と
いひ族寝とひ云。さる器たくはふべく
もなし。木曽の檜笠越の菅蓑ばかり
枕の上の柱に懸たり。昼は稀/\にとぶら
ふ人々に心を動しあるは宮守の翁

里のおのこども入来りていのしゝの稲
くひあらし兎の豆畑にかよふなど
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