とうけふ
短歌
金沢から東京に久しぶりに帰って、ゆっくりとした時間の流れからの変化に(2001年)
まぶしさの君に出会ひて
煩悩の初恋のごと
心乱れて
恋愛は切なきものと昔読む
我が身に降りて
ただ狼狽える
これほどと思わざりし
苦しさの
恋の煩悩
修羅のごとくに
エゴイスト!
エゴイスト!
戦い続け負ける我
人より優れ自分一番
炎天の陽炎の立つ中仙道
旅に果てるか長き道程
熱帯夜
熱帯夜
眠レヌ夜ノ静カサノ
人カラモラッタ憂ヒガヒトツ
デパートノ手スリトナリシ蛸ノ殻
死シテ億年人知レズ
アル
益モ無イゲームニ興ジ過ゴス日々
ココロノオモサ軽クセンタメ
ワガ血ニハ人悲シマストコロアリ
飲メルトコロト
過ギルトコロト
金沢のスナック閉店
金沢の寂しさ楽しさ思ひ出の
「くつろぎ」の中
すべてその中
金沢の寂しさ哀しさ集めては
「くつろぎ」の中
思ひ出の中
子を持てば
この年頃の子供らと
ミッキー見ては
はしゃぎ楽しむ
西行の歌を借りて
眠ラレヌ夜ヲ通シテ思フコト
ウラヤマシキハ池ノヲシ鳥
や く ど し
四十二歳は
死ぬを覚悟し生きること
友の棺の前で合掌
意味のない言葉を重ね歌いつつ
秋には消えん・・悲しき玩具
余念さえ
空の隅々
吹き払ひ
台風一過
秋の夕暮
役立たぬ男が今日も生き残り
明日には
明日で
・・・・・漂ひ過ごす
食卓ヲ君トカコミテ片ヅケシ
独りで食し
ふと
思い出(づ)る
911集団テロとアフガン戦争
人ガ死ニ
人ノ恨ミニ
アフレケリ
アルマゲドンニ
集マリシ
鬼
閃光ノ一ツ一ツニ命散ル
寝ナガラテレビ
見テイル私
月のない秋の夜長の虫の音の
人恋しさを深め響きぬ
子のことを想いて過ごす性の人
人呼ばざれど「母なる女」よ
神宮球場にて
十六夜のゐづるを待ちし
秋風の心に吹きて
身も震えつつ
立ち待てど
燃え切らざりし篝火の
神の宮にて童祈るに
MoMA展
ミロ、マチス
人の日常越えていく
夢の地点と
現実の間に
銀河鉄道の旅
真黒な石炭袋の
チューブ飛ぶ
都に降りて地に星の河
我が顔を
鏡にうつしながめては
般若の心隠して笑ふ
分かっても
業の深さのなせせるわざ
信じる我がピエロとなりぬ
浜離宮
雁の鳴く狩場の秋の夕暮れに
船の汽笛の
そぞろに聞こゆ
コレホドニ冷静ニナル我ハ誰
ナルヨウニシカナラヌモノナリ
人は皆幸せ祈り生きている
違う生き方人に苦しむ
喜多方の喫茶店にて
幾年も時を刻んで古時計
時の流れのゆるりコチコチ