新古今和歌集の部屋

絵入自讚歌註 家隆1

絵入自讚歌註 宗祇









            家隆卿
  さくら花夢かうつゝかしらくもの



   たえてつねなきみねの春風
此下句たえてつねなき本皆以相違いかゞ本哥
のごとくたえてつねなしは春かぜによりつれなき
にや侍らん。つねなきならばさくらの事にぞ侍らん。
ある註にこの作者の事四十ばかりより勧能上
手と也。はじめは俊成卿のでし後には俊頼卿のでしに
なる。中あしきによりて也。はじめは俊成卿の妻
後に離別して寂蓮の妻となる也。
  いかにせんこぬ夜あまたのほとゝぎす
   またじとおもへばむらさめの空
またじと思へばむらさめのそら心あきらか也。





ある註にたのめつゝこぬ夜あまたになりぬれば
またじと思ふぞ待にまされる。
  きのふだにとはんとおもひしつのくにの
   いくたのもりに秋は來にけり
此哥に色〃申人侍り。不足信用之事あれば
しるさず。たゞこのもりの秋を賞するこゝろふか
きゆへにきのふだにといふにや侍らん。
又ある註に秋とだに吹あへぬかぜに色かはるい
く田のもりの露のした草。定家卿哥也。君まさ
ばとはし物をつの国のいくたのもりの秋のはつかぜ。
かくのごとくの哥其かずおほし。ある人正廣の儀



とてかたられし説あり。尋べし。又納涼の儀にきの
ふだにといへる儀あり。尋べし。
  ながめつゝおもふもさびし久かたの
   月のみやこのあけがたのそら
月の都のためには明がたはおとろへぬべきおり
ふしなればながめつゝおもふもさびしといへる
にや。餘情すがたともにたぐひなきにや。
ある註に月宮にて天人舞をまふ事あり。夜
のふくるにしたがひて舞人すくなくなるなり。
白衣黒衣の天人のせつあり。
  下もみぢかつちる山のゆふしぐれ



   ぬれてやひとりしかのなくらん
このぬれてやひとり鹿のなくらんといふはしか
をのみ思ふにはあらず。むら雨うちしもみぢやう
/\うつろひものゝあはれとりあつめなみだとゞ
まらぬおりふししかのうちわびてなくを聞て
かやうにつくりなせるにや。惣じて哥はいづれの
ことをいへるもまず我心にうかぶあはれをものに
よそへていひ出せるなるべし。
  思ひいづる身をふか草のあきの露
   たのめしすゑやこがらしの風
かならずふか草の所の用にはあらず。我こひに








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