新古今和歌集の部屋

校正七部集 猿蓑 巻之四 4 蔵書

ひはり 鳴 中の 拍子や 雉子の聲  芭蕉

  芭蕉庵のふるきを訪

菫草 小 鍋 あらひし 跡や これ  曲水
                  江戸
木瓜 莇 旅して見たく 野はなりぬ  山店

  畫讃

山 吹 や 宇治の 焙炉の匂ふ 時  芭蕉

白玉 の 露に きはつく 椿 かな  車来

  わか身かよわくやまひかちなりけれは

  髪けつらんも物むつかしと此春さまをかへて

䈂 もくし も むかしや ちり 椿  羽紅
                  津国山本
蝸 牛 打ちかふせたる 椿 か な  坂上氏

鴬 の 笠おとし たる 椿 か な  芭蕉
                 伊賀
はつさくらまた 追々 にさけはこそ  利雪

  東叡山にあそふ

小坊 主や 松にかくれて 山さくら  其角

一枝 は をらぬもわろし 山さくら  尚白

鶏 の 聲も きこゆる や ま 桜  凡兆

真 先に 見し枝ならん ち る 桜  丈草

有 明の はつ/\ に咲 遅さくら  史邦

常 斉に はつれてけふは 花 の鳥  千邦

  葛城のふもとを過る

猶 見 たし 花にあけ行 神 の顔  芭蕉

  いかの國花垣の庄はそのかみ南良の

  八重桜の料に附られけるといひ傳へ

  侍れは

一里は みな 花守の 子孫 か や  仝

  亡父の墓東武谷中に有しに三歳にて

  別れ廿年の後かの地にくたりぬ墓の

  前に桜植置侍るよしかね/\母の物

  かたりつたへてその桜をたつね詫けるに他の

  墓猶桜咲みたれ侍れは

まかはしや 花吸ふ 蜂 の 往還り  園風

知人に あはし/\ と 花 見 哉  去来

ある僧の 嫌ひし 花 の 都 かな  凡兆

  浪人のやとにて

鼠 共 春の 夜 あれ そ 花 靭  半残


ひばりなくなかのひやうしやきじのこゑ 芭蕉(雲雀:春)
すみれぐさこなべあらひしあとやこれ  曲水(菫草:春)
ぼけあざみたびしてみたくのはなりぬ  山店(木瓜・薊:春)
やまぶきやうぢのほいろのにほふとき  芭蕉(山吹:春)
 ※画讃 「おそらく山吹の画か茶器を見ての吟であろう」(加藤楸邨)
 ※焙炉 ほいろ。茶葉・薬草・海苔などを下から弱く加熱して乾燥させる道具。
しらたまのつゆにきはつくつばきかな  車来(椿:春)
 ※露 秋の季語だが、椿についているので季語とみなさない。
かうがうもくしもむかしやちりつばき  羽紅(椿:春)
 ※䈂 こうがい 髪を掻き上げて髷を形作る装飾的な結髪用具
かたつぶりうちかぶせたるつばきかな  坂上氏(落椿:春)
うぐひすのかさおとしたるつばきかな  芭蕉(椿:春)
 ※うぐいすの笠
古今集 鴬の笠に縫ふてふ梅の花折りてかざさん老かくるやと
古今集 青柳をかた糸によりて鴬の縫ふてふ笠は梅の花笠
 ※元禄三年二月六日、伊賀百歳亭興行歌仙の発句
はつざくらまだおひおひにさけばこそ  利雪(初桜:春)
こぼうずやまつにかくれてやまざくら  其角(山桜:春)
ひとえだはをらぬもわろしやまざくら  尚白(山桜:春)
 ※古今集 見てのみや人に語らむ桜花手ごとに折りて家づとにせむ を踏まえる。
にわとりのこゑもきこゆるやまざくら  凡兆(山桜:春)
 ※鶏の聲 陶淵明の桃花源記「鶏犬相聞」より。
まつさきにみしえだならんちるさくら  丈草(散桜:春)
ありあけのはつはつにさくおそざくら  史邦(遅桜:春)
じやうときにはづれてけふははなのとり 千邦(花:春)
 ※常斉 斉は斎の誤字で、常斎。在家が僧に特定の時に出す食事。千邦は堅田本福寺の住職。
なほみたしはなにあけゆくかみのかほ  芭蕉(花:春)
 ※神の顔 葛城一言主神は、顔が醜いと言う伝説を踏まえ、拾遺集の小大君
 岩橋の夜の契りも絶えぬべし明くる佗しき葛木の神 を踏まえる。
ひとさとはみなはなもりのしそんかな  芭蕉(花守:春)
 ※花垣の里 三重県伊賀市与野。花垣神社と八重桜公園がある。一条天皇の御代に、この桜を守るため、花守が派遣されたという伝承があり、この句碑が立っている。
まがはしやはなすふはちのゆきかへり  園風(花:春)
しるひとにあはじあはじとはなみかな  去来(花見:春)
あるそうのきらひしはなのみやこかな  凡兆(花:春)
ねずみどもはるのよあれそはなうつぼ  半残(花:)
 ※花靭 は靫の誤字で、矢を入れる箱型の道具。壺胡簶(つぼやなぐい)の事。ゆきとも言う。 

コメント一覧

jikan314
Shanxi394J様
コメント嬉しいです。
最近どうも古典勉強が進まず、歳とコロ世情からか?と思い、まあお茶でも飲んでからと言う単純な物です。
私も観光地の庭園内でお茶を、作法も知らず飲んでおりました。名勝で飲むお茶は格別ですね。殿様になった気分です。
又御來室頂ければ幸いです。
拙句
風も止み雲も晴れてや虫の声
(台風の時は、虫も鳴かず、私も虫の声を聞く余裕も無いですね)
3948Thankyoufoureight
Jikan先生

こんにちは。
先生お元気そうで何よりです。
いつも楽しく見させて貰っています。
最近、歳と共にあちこち体調が前向きでなくてちょっと以前のパワーが欠けました。

それでも先生の作品からパワー貰っています。

先回の抹茶のお話良かったです。

わたしも近くの茶室があり時々、抹茶飲みたいときには独りで行きます。

市の公園内に有るのですがまた豊橋市『三の丸会館』でお調べください。昔、お城があったのですがその名残です。

水琴窟もあるんですよ。

では、感謝とお礼まで。

失礼致します。

Shanxi394J.
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