つとにと
て
をりし紅葉も
かれにけり
あらしのいた
く
吹きしまぎれに
(ナレーション)
赤染衛門。藤原道長の嫡妻倫子の女房で、当時の貴族社会の様子を描いた栄花物語の作者の一人と言われています。赤染衛門が残した歌集には、奈良県桜井市にある長谷寺に足を運んだ事が記されています。観音信仰の聖地の一つである長谷寺。この地を詣でる事を初瀬詣と言い、道長や清少納言など、多くの貴族がこの地を訪れました。
赤染衛門は、長谷寺から持ち帰った紅葉を枯らしてしまったと嘆く歌など、初瀬詣にまつわる物を、いくつも残しました。
また、長谷寺は、源氏物語の玉鬘の舞台としても知られています。
平安時代、歌や物語に描かれた長谷寺。時代を超えて、今も人々の拠所であり続けています。
赤染衛門集 228
此人をここにむかへてすみしをはかなしこゑしてむつかしき
事どもなどありしにその比はせにまうでたりしにもみぢを
をらせんとおもひしにかうはらたちにしがものにさして
おきたりかばかれたりしを
つとにとてをりし紅葉はかれにけり嵐のいたく吹きしまぎれに