心敬私語維摩居士の樹下方丈には文殊大聖來て禮し給へるとなん。許由は箕山の嶺のやせたる松の木にむなしき〔風を聞きて人間の夢を覺すと也〕顔回は一簞一瓢のみにて草にむもれてすめり。鎭晨は藁席とてわらをむしろにするほどの者なれども賢きと也。介子推は終に山を出でずしてはてぬれ共、寒食の日は天下の火をけつ。西行上人は身をになせ共、賢き世には其名を照す。鴨長明が石の床には、後鳥羽院二度御幸ありしと也。