新古今和歌集の部屋

兼載雑談14 俊恵有心、後鳥羽院化身

兼載雑談

一、招月云、俊恵歌に
  三吉野の山の白雪ふるときは麓の里は打ちしぐれつゝ
むげにおもしろからずと見るほどに稽古せよとありしなり。
げにも上手の目にては、一向手あさなる體なり。心をよめ
らむは定家なり。扨は慈鎮和尚なり。家隆卿は心ふかゝら
ず。尾上の鹿のなかぬ日もの歌、第一に心ふかし。後鳥羽
院御歌も、三重までは心行くなり。四重にはあらずとなり。
以上招月の語也。
一、代々王になるは、観音の化身なり。殊に後鳥羽院は、
聖徳太子観音の化身と申すなり。聖徳は金光三年二月廿二
日死。後鳥羽院は九月廿二日生。

※招月
※三吉野の
み吉野の山かき曇り雪降ればふもとの里はうちしぐれつつ
(新古今 冬歌 俊恵)
※尾上の鹿の
高砂の尾上の鹿の鳴かぬ日もつもりはてぬる松の白雪(道助法親王五十首 家隆)
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