1 札の氏名と職名による推察
定家十体色紙の札で筆者とされるの5人とも江戸時代初期から中期の同時期に実在している。これを略歴で見ると、
広幡右大将豊忠(1666年-1737年8月26日)
1719-1720 右近衛大将 ★
清水谷宰相中将雅季(1684-1747)
1705 左近衛中将 ★
1719 参議 ★
1722 権中納言
庭田宰相中将重孝(1692-1745)
1713 右近衛中将 ★
1718 参議 ★
1722 権中納言
広橋大納言兼廉(1678ー1724)
1719-1724 権大納言 ★
芝山宰相広豊(1674ー1723)
1719-1722 参議 ★
となっており、5人とも1719~20年に札に記載されている役職となっている。
つまり、享保四年(1719年)から享保五年(1720年)に執筆依頼者へ渡されたものと考えられる。
また、5人とも特に有名人という訳でもなく、偽物をわざわざ作る必要も無いと言う点からも本物と思われる。
2 筆跡による比較(拙コレクション)
(1)広幡豊忠
「躰」、「身」の字が一致。同筆と断定できる。
(2)清水谷雅季(拙コレクション無し)
(3)庭田重孝筆
「體」の字が似ている。「い」の字が一致する。同筆と思われる。
(4)広橋兼廉(拙コレクション無し)
(5)芝山広豊
「おもふ」が一致する。同筆と認められる。
同シリーズで、同筆と認められる書がある事から、本物と断定できる。