歌似忠胤説法事 祐盛法師がいはく、 妙庄嚴王の二子の神變を尺するに、『大身を現ずれば、虚空にみち、小身を現ずれば、芥子に入る。』などといふは、尋常の事なるを、彼忠胤が説法に、『大身を現ずれば、虚空にせはだかり、小身を現ずれば、芥子の中にも所有り。』といへりけるが、是がいみじき分かりませんの風情にて侍也。歌は、かやうに心得て、古き事に色をそへつ、めづらしくとりなすべき也。さのみあたらしき事は、いかゞあり。あへてよまれむ。 となんかたりし。よく/\はからひなをし、風情を嗜べき歟。