新古今和歌集竟宴
和歌
いそのかみふるきをいまにならべこし
むかしのあとをまたゝづねつゝ
應 製倭歌
摂政太政大臣從一位藤原朝臣良經上
しきしまやゝまとこと
ばのうみにしてひろ
ひしたまはみがゝれ
にけり
應 製一首
從一位行皇太弟傳臣藤原朝臣頼實上
わかのうらなみものど
けきみよなればかき
あつめたるたまもし
ほぐさ
太上皇應 製一首
從二位行權中納言兼左衛門督臣源朝臣通光上
ちよまでとよするたま
もをかきつめてなみ
もいくよのわかのうら
風
竟宴應
太上皇製倭歌
参議正三位行右衛門督兼備中權守臣源朝臣通具上
むかしいまのむかしを
うつすたまのこゑこゑ/"\
きみがちよぞきこゆる
同詠一首應 太上皇製倭歌
参議正三位行伊豫權守臣藤原朝臣隆衡上
よろづよのことのは
いまやしげからむ
けふふきそむるわかの
うら風
太上皇製和歌
正三位臣藤原朝臣經家上
ふりにけるあとにまか
するみづくきもなほ
ゆくすゑのためしに
ぞかく
太上皇製和歌
大藏卿正四位下兼行長門權守臣藤原朝臣有家上
しきしまややまとし
まねのかぜのつてけ
ふのためとやたえずふ
きけむ
竟宴應 製和歌
正四位下行左近衛中將臣藤原朝臣經通上
いくちたびきみがみ
ことのけふにあはむ和歌
のうらかぜふきつた
へつゝ
太上皇製和歌
散位正四位下臣藤原朝臣保季
わがきみのながきた
からとしきしまやゝま
とことのはかきあつ
むらむ
太上皇製和歌
散位正四位下臣藤原朝臣家衡上
よるなみもこゑしつむ
らしいにしへにいま
ふきかよふわかのう
らかぜ
製和歌
前上総介從四位上臣藤原朝臣家隆
きみすめばよするたま
もゝみがきいでつ
ちよもつたへよわかのう
らかぜ
太上皇製和歌
正五位下行左近衛權少將兼加賀權介臣藤原朝臣雅經上
きみがよになれぬる
わかのうらかぜに
あまねきなみやしま
のほかまで
太上皇製和歌
防鴨河使正五位下行左衛門權佐臣藤原朝臣親房上
ふりにけることのはとては
あつむれどむかしはかゝる
ためしやはある
應 太上皇製和歌
正五位下行宮内少輔臣平朝臣宗宣
なかきよのためし
なるかなしきしまや
やまとみことのゆくすゑ
のはる
太上皇製和歌
左近衛權少將正五位下兼行阿波權介臣藤原朝臣忠定上
みなひとのことはの
つゆもあらはれて
はこやの山にみがく
月かげ
太上天皇製和歌
從五位上行左兵衛佐臣源朝臣具親上
ふくかぜものどけきき
みのよゝのあとむかし
にかへるわかのうらなみ
太上皇製和歌
從五位下守兵庫頭臣源朝臣家長上
わかのうらにもしほもる
みのいとまなみけふより
のちやたちもはなれむ
太上皇製和歌
左近衛將監臣藤原朝臣清範 三木菅上字无
よものうみのうら/\
ごとにたづねみてひ
ろへるたまのこゑもあ
りけり
應 製倭歌
正六位上行主馬首兼左衛門少尉臣藤原朝臣秀能上
いくちよもことばの
はなのいろにみよむか
しもきかぬはなのま
とゐを
元久二年三月二十六日新古今和歌集竟宴
和歌
御製講師 右衛門督通具
講師 前上総介家隆
讀師 前太政大臣
群書類從巻百七十八
和歌部卅三
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