新古今和歌集の部屋

兼載雑談18 鶉

兼載雑談

一、かたうづらとは、つまのなき鶉なり。一入不便なる者なり。

  草木の中のふるみちの月

  かたうづらかへるを幾夜たのむらむ

  たつとも秋よさもあらばあれ

  なさけなくかるべき物かかたうづら

歌にも連歌にも鶉をばぬるゝ、あたゝかにすまじきとなり。
公廣といふ人關東より京へのぼりて、發句に、鶉なくのゝ朝
じめりとしたりしを、宗祇聞き給ひて、あさいしたる鶉なきや
う哉。關東の恥辱をかきたると宣ひしなり。

  夕されば野邊の秋風身にしみてうづら鳴くなり深草の里

  月すまむ夕の空のけしきにてうづらなくなり更科の里

如此こそよみならはしたれと、宗長の語りてき。

※夕されば

 千載集 俊成

※月すまむ

 壬二集 家隆

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