新古今和歌集の部屋

兼載雑談4 無名抄、家隆才、稽古

一、鴨長明抄云、芥子の中に須彌山を入れても、猶せきの
ありて廣しと云ふ心をもたでは、句に一重の作は出來まじ
となり。秋の夜の千夜を一夜にの返歌是なり。けしの中に
須彌山を入るゝほどまでの作は、誰もおもひよるなり。
一、家隆卿わかゝりし時、俊成に歌のごと問はれしに、故
實などを問はずして、たゞ歌よむ事ばかりとはれしとなり。
俊成褒美せられしとなり。げにも大才あるとも、作をせず
はかひなかるべし。
一、作より稽古すべし。才覺より稽古すべからず。作にい
たりぬれば、何事の才かくをもよくするなり。才覺よりい
たりぬれば、めづらしき事出來がたし。定家、家隆、俊成、
慈鎮などはうたよみなり。其の餘は歌作りなり。古詞をつ
らねて、三十一字にしたるばかりにて、作も餘情もなけれ
ば、うたも作りたる迄にて我が力なし。

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