
■■■■■■■タイ・ロングスティ事情■■■■■■■
■「魅惑のチェンマイ ロングスティ」
●いま日本は初春2月、とはいえまだまだ寒さはひとしお身に染みる毎日
である。
ところが 遥か南の古都チェンマイでは、夏の花が咲き誇り、夕刻には涼し
い風が立ち込め、至って過ごしやすいとの便りが聞こえて来る。
そのチェンマイを目指して、定年後のロングスティが始まってからかれこれ
20年近くになるが、今では 3500人近くの日本人高齢者が定住している。
●ここチェンマイは、街全体が ほぼ400メートルの高地平野にあり、
年中初夏の趣である。本来タイでは 古くから首都バンコクのお金持
ちが、週末をここで過ごす避暑地として栄えてきたという。 いわば
日本の軽井沢のようなところである。
四囲を低い緑の山に囲まれ街の真ん中をピン川が流れれる風景は 古
都京都とあまりにもよく似ている。加えて生活物価が、購買平価に
より日本の約3分の1という格安である事が、日本の高齢者シニアの
心を掴んだと言っていい。
■「専門家が見たロングステイの現実」
●タイ事情に詳しい大阪大学の研究者,河原雅子さんは、
「タイを知るための72章」という本の「ロングスティ」項の中で、
チェンマイロングステイについて次のように記している。
「資産を持ち込み消費しながら滞在する」 チェンマイでは、日本人
ロングスティヤーの存在が目立つ。物価の高いバンコクに対して チ
ェンマイは物価だけでなく住居費も半分程度である。そのために、
滞在コストを重視するロングスティヤーは、チェンマイを選択する
傾向にある。
🔵2004年から2012年にかけての9年間のタイ北部9県の在
留邦人数によると、2012年10月現在3867人1597人だった2004年から
約2,4倍に増加している。(一部省略)
やはりロングスティを目的とした滞在者が飛躍的に増加したと考える
のが妥当であろう。基本的には夫婦、もしくは単身で滞在しているこ
とが多いが、中には親を伴って来タイし、親の介護に従事しているケ
ースもある。
「介護」についても関心が高い。帰国を選択するケースもあるが、外人
向け介護施設ができていることから、チェンマイに留まって現地で介護
を受けるか否かを迷うものもいる。
中には夜半に徘徊したりなどして保護されたケースもある。これは「徘
徊」の輸出、つまり、本来ならば高齢者を扶養する立場にある人々が介
護の負
担を現地社会に負わせる現象であるととらえることもできる。
●ロングステイヤーも着実に老いていく。
タイ社会自体が高齢化する中で、彼らの受け入れを巡っては、今後その
妥当当性が問われて行くこともありうる。しかしその一方で、ロングス
テイヤーは現地社会と積極的な交流を図ってきた。 ロングスティヤーは、
より良好な日タイ関係構築の主体となりうる可能性を秘めている(河原雅子)
さすが、タイ研究者ならではの薀蓄に富んだ分析といっていい。
■「成熟化した海外ロングスティ」
●しかし、盛況を極めてきたチェンマイロングステイにも、このところ初めて
の翳りが見えてきた。それは何かというと、
・在住ロングスティヤ‐の高齢化が進み、やむなく帰国を余儀なくされるとか、
・痴呆症の日本人の夫が、タイ人妻に逃げられて孤独死を遂げたとか、
今まででは、考えられなかった出来事が起きている。
これらは、海外定住者の高齢化に伴う 新しい深刻な問題と言っていい。
これらは長きにわたって拡大傾向にあったロングステイに、初めて低減化
の傾向が出てきたことを物語っている、
■「タイ北部9県(チェンマイを含む)在住者数」
(年度) (在留人数) (前年対比)
平成23年 3、573人 7,3%
平成24年 3、867 8,2%
平成25年 3,920 1,4%
平成26年 3,843 -2,0%
平成27年 3,733 -2,9%
■「チェンマイ介護研究会」
●そんな時、昨年産声を上げたのが「チェンマイ介護研究会」(会長志田
義晴氏)である。
いままでロングスティヤ‐のための団体は、チェンマイに 大小織り交ぜて
相当数在するが、そのほとんどは親睦を目的にするもので、介護や高齢
者のケアを志向するものは皆無だった。それだけに今回の介護研究会は、
ロングスティヤ‐いわゆる在住定住者から、挙って拍手で迎えられたといっ
ていい。
●発足時の活動内容を見ても、極めて実務的で素晴らしい。
現在チェンマイに在住する殆どのロングスティヤーにとって、介護や終末
医療についての身近なサポートは、何物にも代えがたい心強い存在と言
えよう。
(チェンマイ介護研究会のブログ)→ URL http://scc2025.blog.fc2.com/
ただあくまで運営の主体がボランティア団体だけに、今後活動を伸ばすた
めには、まずは在住者全員の参加と、地元行政や関係企業の協働が欠か
せない。今後の活動に期待して注目したいと思う。
■「チェンマイ・ロングステイの行方」
●カって海外ロングステイは、シニアの先端的な居場所として 華々しく台
頭してきた.
17年前の第1回目のチェンマイロングステイのテストツアーには、関西か
ら8組のシニア夫婦が勇んで参加した。
チェンマイでは、北欧の人たちが、毎年12月から3月にかけて避寒のため
にロングステイするチェンマイきっての著名な「スアンプルナ」山岳リゾート
を選んで、2泊することに決めた。
ご婦人たちには 本格の温泉やタイマッサージやタイシルクの織物教室が
大変好評だったが、どうしたことか、2日目になってからは夜になると男性
軍が落ち着かない。ホテルの外は、山林で暗黒の世界である。
男性軍は、やはり夜の紅灯が恋しくて、3日目からは、都心のホテルに居
を移した。その当時は、まだまだ男性主導の世の中だつた。
北欧の人達は、毎冬400人くらいでここを訪れ、 避寒のために3ヶ月間を
夫婦で静かにすごすという。生活習慣の違いとはいえ、大きな違いである。
ロングステイの当初には、こんな笑えない話がいろいろあった。なつかしい
想い出である。
●しかし20年を経過すると、高齢化と世代交代など、海外ロングステイも
成熟化してきた事は否めない。
魅惑のロングステイといわれたチェンマイロングステイも、定住者の高齢化
で陰りが出てきたといわれる。しかも このところの円安と、タイ国の中進化
による 生活物価の上昇で かっての様に 日本の3分の1で暮らすことは無
理になったと言われる。加えて2014年の軍によるクデターの民政化は 未
だ 実現化していない不安も残る。
●しかし新たにロングステイの概念を見直して 楽しい余後の海外暮らしを
志向する動きも見えてきた、日本のシニアの世代交代や国際的な経済環
境で、海外ロングステイの行方も大きく変容しようとしている。
特に、いまのロングステイの主役といえる団塊世代の人たちの台頭で海外
ロングステイのかたちも変りつつある。
■「旅するように暮らす」
その顕著な新しい形かたちの一つが、「旅するように暮らす」いわゆる観光
ビザ(90日)で 好きな時期に短期間チェンマイに生活滞在し、帰国しては、
また訪れるというリピート型の新しい海外ステイである。団塊世代には 変化
があって大うけの様である。
●いまチェンマイでは、マンションと車を2家族でシエアして所有し、滞在時
期をずらして暮らすという 極めて合理的で賢明な 団塊世代の人たちの話を
聞いた事がある。
この人たちは、総領事館の「ロングステイ在住統計」にはカウントされないよう
だが、このような潜在的なロングステイヤーが、増えているの は確かなようで
ある。
●チェンマイは、人口わずか15万ばかりの由緒ある古都だが そこには古く
からおよそ2万人ばかりのの世界の外国人が定住している。
その内訳は 北欧系5千人 、米国人5千人、欧州系5千人、 アジア系5千人
(日本人含む)いわゆる世界屈指の魅惑の国際都市なのである。
しかも、2016年の観光都市ランキングでは、世界第2位にランクされた実績を
持つ。
●それだけに、チェンマイに定住する意味とその価値は、極めて大きいと思う
のだが、加えて今年は日タイ友好130年にあたる、
これを機会に新世代によるチェンマイ・ロングステイが、ますます振興するよう
期待してやまない。
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