北朝鮮によるミサイル発射事件に対して、
日本政府はアメリカ政府の協力を得て、国連安全保障理事会での制裁決議を通そうと工作していた。
しかし、一昨日は中国政府の北朝鮮説得工作を見守るということで、今日はアメリカも制裁決議に及び腰になるということで、結局日本の提案は、いわば『総スカン』を食ったことになる。
中国政府の武大偉(ウー・ターウェイ)外務次官の訪朝は、日本の意向を受けて説得に行った訳ではなく、中朝の安全保障条約の50周年記念イベントへの参加であったことが、きのう明らかになったし、アメリカのヒル国務次官補の中国再訪問は、サミットまでの時間稼ぎではないかと言われている。
結局、小泉のアメリカ追随外交が、国際政治の中では何の力ももっておらず、中国も朝鮮も、そしてアメリカさへも日本の存在など無視してしまうような状態に陥ってしまっているのである。
この辺のいきさつは、asahi.com 7月12日付けに詳しい。
中・朝・ロシア・ヨーロッパ諸国は、「日本はアメリカの意のままに動いている属国だ」と思っているし、アメリカの方はと言えば「日本は要求すればなんでもハイハイと応じる意のままになる国」と考えているのである。
誰からも交渉相手と認識してもらえない無能な国なのである。
今夜のニュースステーションに、民主党の小沢代表が出演していたが、「日本はどこからも相手にされない。小泉首相は日米関係を緊密にすれば、全てうまく行くように行っているが、日米の緊密な関係というのは、日本政府がアメリカ政府に尻尾を振って擦り寄っているだけで、本当の信頼関係などないのではないか? 今回の国連安保理での制裁決議も階段を外されたような状態になっている」(大意)と言っていたが、結構本質を突いた発言であった。
小沢氏の過去のイメージからすると、率先して「先制攻撃論」を唱えるかと思ったが、逆に「日本はもっと冷静になるべきだ」と、この考えに明確に反対していた。
私は、民主党支持でもないし、二大政党制が良いとも思わないし、民主党が政権をとっても大して変わりの無い政治になると考えているが、今夜の小沢代表の発言には一目置きたい。
話変わって、先日紹介した「Tanaka News」の最新版(7/11) の一節を信用する。
【 日本が提案する北朝鮮制裁や、先制攻撃といった強硬策は、問題を解決できず、逆に、北朝鮮に戦時体制を強めさせ、金正日政権を維持する効果がある。
北朝鮮は、もう何十年も戦時体制を続けており、金正日政権は、外国から攻撃されそうな状態が続く限り、軍内や党内からの異論を封じ込めることができ、国内政治的に安泰である。
日本は、日米同盟の強化を願って、北朝鮮に対する強硬姿勢をとっているが、この日本の姿勢を利用してアメリカは、日本の願いとは逆に、中国中心のアジア諸国の自立した動きによって、朝鮮半島の問題を解決する新体制を作ろうとしている。
中国の外交努力が成功したら、その後の朝鮮半島は、中国と韓国、ロシア、北朝鮮という当事者間の話し合いで動いていくようになる。
アメリカは、東アジアおける国際体制の多極化を容認する度合いを強める。
日米同盟強化のための日本の強行策は、結果的に、日米同盟の空洞化を進めることになりかねない。
アジア周辺諸国は、日本に対する批判的な姿勢を強め、日本抜きでアジアの問題を解決していく体制を作るようになる。 】
北朝鮮によるミサイル発射事件-4 【連載第1回目から読む】
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日本政府はアメリカ政府の協力を得て、国連安全保障理事会での制裁決議を通そうと工作していた。
しかし、一昨日は中国政府の北朝鮮説得工作を見守るということで、今日はアメリカも制裁決議に及び腰になるということで、結局日本の提案は、いわば『総スカン』を食ったことになる。
中国政府の武大偉(ウー・ターウェイ)外務次官の訪朝は、日本の意向を受けて説得に行った訳ではなく、中朝の安全保障条約の50周年記念イベントへの参加であったことが、きのう明らかになったし、アメリカのヒル国務次官補の中国再訪問は、サミットまでの時間稼ぎではないかと言われている。
結局、小泉のアメリカ追随外交が、国際政治の中では何の力ももっておらず、中国も朝鮮も、そしてアメリカさへも日本の存在など無視してしまうような状態に陥ってしまっているのである。
この辺のいきさつは、asahi.com 7月12日付けに詳しい。
中・朝・ロシア・ヨーロッパ諸国は、「日本はアメリカの意のままに動いている属国だ」と思っているし、アメリカの方はと言えば「日本は要求すればなんでもハイハイと応じる意のままになる国」と考えているのである。
誰からも交渉相手と認識してもらえない無能な国なのである。
今夜のニュースステーションに、民主党の小沢代表が出演していたが、「日本はどこからも相手にされない。小泉首相は日米関係を緊密にすれば、全てうまく行くように行っているが、日米の緊密な関係というのは、日本政府がアメリカ政府に尻尾を振って擦り寄っているだけで、本当の信頼関係などないのではないか? 今回の国連安保理での制裁決議も階段を外されたような状態になっている」(大意)と言っていたが、結構本質を突いた発言であった。
小沢氏の過去のイメージからすると、率先して「先制攻撃論」を唱えるかと思ったが、逆に「日本はもっと冷静になるべきだ」と、この考えに明確に反対していた。
私は、民主党支持でもないし、二大政党制が良いとも思わないし、民主党が政権をとっても大して変わりの無い政治になると考えているが、今夜の小沢代表の発言には一目置きたい。
話変わって、先日紹介した「Tanaka News」の最新版(7/11) の一節を信用する。
【 日本が提案する北朝鮮制裁や、先制攻撃といった強硬策は、問題を解決できず、逆に、北朝鮮に戦時体制を強めさせ、金正日政権を維持する効果がある。
北朝鮮は、もう何十年も戦時体制を続けており、金正日政権は、外国から攻撃されそうな状態が続く限り、軍内や党内からの異論を封じ込めることができ、国内政治的に安泰である。
日本は、日米同盟の強化を願って、北朝鮮に対する強硬姿勢をとっているが、この日本の姿勢を利用してアメリカは、日本の願いとは逆に、中国中心のアジア諸国の自立した動きによって、朝鮮半島の問題を解決する新体制を作ろうとしている。
中国の外交努力が成功したら、その後の朝鮮半島は、中国と韓国、ロシア、北朝鮮という当事者間の話し合いで動いていくようになる。
アメリカは、東アジアおける国際体制の多極化を容認する度合いを強める。
日米同盟強化のための日本の強行策は、結果的に、日米同盟の空洞化を進めることになりかねない。
アジア周辺諸国は、日本に対する批判的な姿勢を強め、日本抜きでアジアの問題を解決していく体制を作るようになる。 】
北朝鮮によるミサイル発射事件-4 【連載第1回目から読む】
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