写真は、指揮者井上道義氏
梶本音楽事務所HPより
久々ほどではない、音楽レビュー
前回は、チャイコフスキーの交響曲第4番でしたが、
今回は、ショスタコヴィッチの交響曲第7番『レニングラード』を
九州交響楽団の定期演奏会で7月19日聴きました。
最初に一言。
九州交響楽団(略して、九響)は、本格的オーケストラになりましたね。
欧州諸国の出稼ぎオケより、よほどうまいと思います。
大阪フィルも味があってうまいですが・・・
今日の演奏は、外部応援の演奏家(いわゆる業界用語で「トラ」:Extraのこと)も数十人は居たかと思いますが、井上道義氏の指揮で繊細かつ大胆で迫力ある演奏を行っていました。
井上道義 氏が20世紀の音楽に定評のある指揮者だけに、緩急やダイナミーク自由自在にオケを操っていました。
今年は、ショスタコヴィッチ生誕100周年。昨年は没後30年(1906-1975)ということで、生誕250年のモーツァルトと並んで、ショスタコヴィッチの曲を聴く機会が増えています。
ショスタコヴィッチ 交響曲第7番『レニングラード』1曲だけでも大変なところを、前半では、同じく、ショスタコヴィッチのピアノ協奏曲第2番を取り上げ意欲的なプログラムでした。
その上、ピアニストがジャズピアノの明日の貴公子・松永貴志 (20才)。
実は、私はこの日初めて、松永貴志さんを知りました。
ジャズ・ピアノが本職とはいえ、基礎が相当きちんとできているようで、ただガンガン引く訳ではなく、そういう部分は迫力満点ながら、繊細なパッセージも澄み切った音で3階席まで聴かせる絶妙さ。
ソフトな肌触りからハードロックのような激しい表情まで自在に操っていました。
ただ、脚でリズムを取るので、ドンドンと舞台を踏む音がするのは、ご愛嬌か?
協奏曲1曲でも相当ハードな仕事だと思うのに、アンコールもすごい迫力の曲。それも結構長い。10分近くあったのでは?
聴いたことない曲なので、彼が作曲した曲かもしれない。(公演パンフには、彼が作曲した曲が、報道ステーションのテーマとして流れているとか)
それはそうと、このピアノ協奏曲も私には初聴きでした。
ショスタコヴィッチが、音楽家を目指し始めた息子マクシムの19歳の誕生日に送った明るい曲です。しかし、高度なピアニズムのようです。
超高速で音階のような連続する音列を、上へ下へと引きまくるのです。
曲目解説を見ると、ピアノの初心者からプロまで使う「ハノン」ピアノ教則本のパロディだそうで、なるほどと納得。
前回のレビューで、バイオリニストは酷評しましたが、今回のピアニストは本物です。
さて、後半は、
ショスタコヴィッチ 交響曲第7番『レニングラードに捧ぐ』
この曲は、ナチス・ドイツが不可侵条約を一方的に破って、1941年にソ連に進入してきた時の、国民の英雄的戦いを描いたものと言われています。
30分近い、第一楽章での単純なメロディを際限なく繰り返しながら、行軍を描くところは、下手な演奏であれば飽きてしまうところですが、井上道義氏と九響は、緊張感のあるメリハリの利いた演奏で、少しも飽きさせずに2楽章に繋ぎました。
第一楽章では、聴こえないほどの小さな音から始まり、最後に向けてダイナミークがどんどん加わるのですが、その表現は凄いものでした。
ホルン4本、トランペット・トロンボーンそれぞれ3本、小太鼓からなる「バンダ」(本隊とは別の音楽隊)も加わって展開します。
そうそう、編成は3管編成(木管は2管+バスクラリネット、コントラファゴット、コールアングレ、ピッコロ)が基本で、本隊のホルン4本。
コントラバス7本、チェロ8本、ビオラ10本、第2ヴァイオリン12本、第一ヴァイオリン14本(今日は数えられた)
ハープ2、ピアノ1、木琴1、銅鑼1、大太鼓1、小太鼓1、ティンパニ4本セット、シンバル1、タンバリン1など。
各楽章をそれぞれ論評していると夜が明けるので、この辺で終わりますが、
本当に、ショスタコヴィッチは音の魔術師(普通はラヴェルの通称)であり、
天才であると思います。
この交響曲はCDでは何度も聴きましたが、2・3楽章は聞き流しになってしまうことが多く、今日のように対峙して聴いたのは初めてでした。もちろん生の7番も初めて。
オーケストレイションの繊細さを感じ取れます。
また、3拍子を基本としたメロディが結構多いことに驚きました。
3+3+3で9拍子とか・・・さまざまなバリエーションが展開されていました。
曲そのものも、演奏も堪能した2時間でした。
客席は7-8割の入りでした。
梶本音楽事務所HPより
久々ほどではない、音楽レビュー
前回は、チャイコフスキーの交響曲第4番でしたが、
今回は、ショスタコヴィッチの交響曲第7番『レニングラード』を
九州交響楽団の定期演奏会で7月19日聴きました。
最初に一言。
九州交響楽団(略して、九響)は、本格的オーケストラになりましたね。
欧州諸国の出稼ぎオケより、よほどうまいと思います。
大阪フィルも味があってうまいですが・・・
今日の演奏は、外部応援の演奏家(いわゆる業界用語で「トラ」:Extraのこと)も数十人は居たかと思いますが、井上道義氏の指揮で繊細かつ大胆で迫力ある演奏を行っていました。
井上道義 氏が20世紀の音楽に定評のある指揮者だけに、緩急やダイナミーク自由自在にオケを操っていました。
今年は、ショスタコヴィッチ生誕100周年。昨年は没後30年(1906-1975)ということで、生誕250年のモーツァルトと並んで、ショスタコヴィッチの曲を聴く機会が増えています。
ショスタコヴィッチ 交響曲第7番『レニングラード』1曲だけでも大変なところを、前半では、同じく、ショスタコヴィッチのピアノ協奏曲第2番を取り上げ意欲的なプログラムでした。
その上、ピアニストがジャズピアノの明日の貴公子・松永貴志 (20才)。
実は、私はこの日初めて、松永貴志さんを知りました。
ジャズ・ピアノが本職とはいえ、基礎が相当きちんとできているようで、ただガンガン引く訳ではなく、そういう部分は迫力満点ながら、繊細なパッセージも澄み切った音で3階席まで聴かせる絶妙さ。
ソフトな肌触りからハードロックのような激しい表情まで自在に操っていました。
ただ、脚でリズムを取るので、ドンドンと舞台を踏む音がするのは、ご愛嬌か?
協奏曲1曲でも相当ハードな仕事だと思うのに、アンコールもすごい迫力の曲。それも結構長い。10分近くあったのでは?
聴いたことない曲なので、彼が作曲した曲かもしれない。(公演パンフには、彼が作曲した曲が、報道ステーションのテーマとして流れているとか)
それはそうと、このピアノ協奏曲も私には初聴きでした。
ショスタコヴィッチが、音楽家を目指し始めた息子マクシムの19歳の誕生日に送った明るい曲です。しかし、高度なピアニズムのようです。
超高速で音階のような連続する音列を、上へ下へと引きまくるのです。
曲目解説を見ると、ピアノの初心者からプロまで使う「ハノン」ピアノ教則本のパロディだそうで、なるほどと納得。
前回のレビューで、バイオリニストは酷評しましたが、今回のピアニストは本物です。
さて、後半は、
ショスタコヴィッチ 交響曲第7番『レニングラードに捧ぐ』
この曲は、ナチス・ドイツが不可侵条約を一方的に破って、1941年にソ連に進入してきた時の、国民の英雄的戦いを描いたものと言われています。
30分近い、第一楽章での単純なメロディを際限なく繰り返しながら、行軍を描くところは、下手な演奏であれば飽きてしまうところですが、井上道義氏と九響は、緊張感のあるメリハリの利いた演奏で、少しも飽きさせずに2楽章に繋ぎました。
第一楽章では、聴こえないほどの小さな音から始まり、最後に向けてダイナミークがどんどん加わるのですが、その表現は凄いものでした。
ホルン4本、トランペット・トロンボーンそれぞれ3本、小太鼓からなる「バンダ」(本隊とは別の音楽隊)も加わって展開します。
そうそう、編成は3管編成(木管は2管+バスクラリネット、コントラファゴット、コールアングレ、ピッコロ)が基本で、本隊のホルン4本。
コントラバス7本、チェロ8本、ビオラ10本、第2ヴァイオリン12本、第一ヴァイオリン14本(今日は数えられた)
ハープ2、ピアノ1、木琴1、銅鑼1、大太鼓1、小太鼓1、ティンパニ4本セット、シンバル1、タンバリン1など。
各楽章をそれぞれ論評していると夜が明けるので、この辺で終わりますが、
本当に、ショスタコヴィッチは音の魔術師(普通はラヴェルの通称)であり、
天才であると思います。
この交響曲はCDでは何度も聴きましたが、2・3楽章は聞き流しになってしまうことが多く、今日のように対峙して聴いたのは初めてでした。もちろん生の7番も初めて。
オーケストレイションの繊細さを感じ取れます。
また、3拍子を基本としたメロディが結構多いことに驚きました。
3+3+3で9拍子とか・・・さまざまなバリエーションが展開されていました。
曲そのものも、演奏も堪能した2時間でした。
客席は7-8割の入りでした。