勇気ある海上保安官が、海保内部では当時公然と閲覧可能であり、
コピーも禁止されていなかった映像を公開し、さらに勇気を出して
名乗り出、検察の調査にも積極的に回答している様子が、ニュースで
報道されている。
(情報管理の実質強化指示は11月1日国会議員への視聴時。
衝突事件から1カ月以上もたった10月18日になって、
馬淵澄夫国土交通相が海保側に映像の管理徹底を求めたが、
これは後出しジャンケンのようなもので単なるアリバイ造り)
身柄を確保した取り調べが二日続いても逮捕できない事情が、
検察にはあるようである。
前にも述べたが、この種の問題では世論の影響は大きいらしい。
また、「秘密」 の 「漏えい」 に該当するか?が微妙なようだ。
海保では、領海侵犯や海難事故などの状況を可能な限り映像化し、
全国の海保で経験を共有することで、事件・事故に迅速に対応できる
ようにしているとのことで、それは当然のことである。
海保提供の海難事故救出などの映像が、TVニュースで紹介される
のは、いまや常識的なものであり、北朝鮮籍の『漁船』銃撃のような
外交にも関わる映像も、予断無く迅速に公開されてきた。
今回も海保は、事件後すぐに公開するつもりであったようだが、
政治的配慮(圧力?)で、公開を差し止められた経緯があったらしい。
菅内閣(民主党政権)は、初動を誤ったというか、最初に公開を
差し止めたことが、中国に対する抗議もできず、船長を釈放するような
破目になり、諸外国にも国民にも説得力を持たなくなった次第である。
今回の 『映像流出事件』 は、事件の本質では無く、枝葉の問題で、
本筋の問題は、菅内閣の情報隠ぺい体質にあることは間違いない。
名乗り出た海上保安官は、「これが公開できない秘密だと言うなら
政府の意図で何でも非公開にできるではないか?」との趣旨を語った
という。 その通りだと思う。
正確には「これを機密とするのであれば、時の政府が自身に都合の悪いことはすべて機密にしてしまえば、何をやっても許されるのではないだろうか」
菅内閣は、この事件を逆手にとって、情報公開法に反する国家公務員の
守秘義務の罰則強化や、『国家機密法』の制定の検討などの管理強化体制
を作ろうとしているようで、本末転倒の話である。
尖閣ビデオ 中国漁船が衝突の映像 (2分28秒)
こちらは、まだ見ることができそうです。(11/9 追加)
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尖閣ビデオ、庁内ネットで拡散か パスワード設定、怠る?
産経新聞 2010年11月12日(金)08:00
(産経新聞 Web版提供 上記記事に添付)
尖閣映像、巡視艇でも閲覧可能…海保説明と矛盾
読売新聞 2010年11月12日(金)03:02
公開すべきものをしてこなかったことが問題 尖閣ビデオ問題 志位氏
赤旗 2010年11月12日(金)
ビデオ映像、海保内に拡散か 情報共有の慣行が裏目に
朝日新聞 2010年11月12日(金)03:05
「映像は船上のパソコンで、職員ならほぼ誰でも見ることができた」。尖閣事件のビデオ映像が流出した事件で、神戸海上保安部(神戸市)の男性海上保安官(43)が捜査当局の事情聴取に答えたことで、問題の映像が広範囲に流布していた疑いが出てきた。「捜査資料」が厳格に管理されなかったのはなぜか。海保内で事件や事故の映像や資料を「共有」し、職務に役立ててきた慣行が裏目に出た。
海保関係者によると、流出した44分の映像は、中国漁船と巡視船の衝突時、3隻の巡視船から撮影したものの一部。3隻が石垣海上保安部(沖縄県石垣市)に持ち帰った映像は合計で約10時間あり、44分版は、同海保内のパソコンで複数種類に編集したうちの1本だった。
この際、海保では研修用などとしてCD―Rに複製され、一部の職員に配られたとされる。
海保では経験の少ない若手保安官らのために、活動の様子を収めた映像を研修用に編集することは多いという。元海保警備救難監の武井立一さん(70)は、「大きな事件や事故の場合、担当の管区本部だけでは人が足らず、全国に11ある他の管区本部と映像などの資料を共有して対策をとることは一般的。石垣海保が当時、内部の研修資料として配ったことは理解できる」と話す。
海保では一般的に、こうした研修資料が海保本庁(東京)や海上保安大学校(広島県呉市)を通じて各管区に配布されることもあり、捜査当局はこうしたルートで拡散した可能性もあるとみている。
また、石垣海保では共有のパソコンにも映像が保管されており、ここから拡散した疑いも指摘されている。
当時は中国人船長の逮捕容疑の公務執行妨害に加え、違法操業の疑いもあり、石垣海保は第11管区海上保安本部(那覇市)からの応援保安官も加わって捜査を続けていた。映像が保存されていた石垣海保のパソコンは立ち上げる際にパスワードが必要だが、日中は電源が入ったままだったとみられる。捜査に使うために、USBメモリーなどで個人のパソコンに移した可能性もある。
さらに、海保の庁内ネットワーク(イントラネット)で広がったことも考えられる。映像の保存状態によっては、ネットワークを通じてアクセスし、映像ファイルをコピーしたりダウンロードしたりすることも可能だからだ。
今回の映像の内容については、海上事件の専門家から「捜査資料として隠す必要がある部分は必ずしも見あたらず、通常の海保職員なら、映像をみて、これが“機密”にあたるとは思わないだろう」との指摘がある。
衝突事件から1カ月以上もたった10月18日になって、馬淵澄夫国土交通相が海保側に映像の管理徹底を求めた。この日、菅直人首相はビデオを国会に提出する方針を確認している。国会からの提出要請が高まる中、事前に漏れるような事態を防ぐ意図があったとみられる。海保側にしてみると、それまでは「機密」との意識が薄く、管理が緩やかだった可能性がある。武井さんも「最初のころは当然公開されるべきものと判断し、制限していなかったのだろう」と推測している。
だが、「インターネットへの流出は話が全く別」と話す。海保は領海をめぐって常に外国と緊張を強いられる立場にあり、不手際は外交問題に直結する。「(流出が)社会一般にどういう影響があるのか、思慮が足りない」と厳しく批判する。海保関係者の間でも、保安官一人一人への教育や管理の徹底を求める声は強い。
朝日新聞(永田工、小林誠一、佐々木学)