裁判員に、これほどの精神的痛苦を与えないで欲しい。
少年に死刑判決を下した裁判員は記者会見で、
【「一生悩み続けるんだなと思った」
「自分の考えを誰にも話せず、つらかった」
「重圧で押しつぶされそう」
「最後まで精神的なケアをしてほしい」】
と語ったという。
「一生悩み続ける」=少年犯罪「大人と同じ刑に」―裁判員経験者2人が会見(時事通信)
2010年11月25日(木)20:03
どうして自らその職業を選んだ訳でもない一般市民にこのような
精神的苦痛(意に反する苦役)を強要することができるのだろうか?
この憲法第18条違反の法的根拠は、裁判員制度を制定した法律に
どのように規定されているのだろうか?
日本国憲法第18条
【何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。】
早急な制度見直しが必要である!
今日は、私の意見に近かった【河北新報】の社説を紹介する。
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(裁判の争点 河北新報 11月24日付けによる)
裁判員裁判、少年に初の死刑判決 石巻3人殺傷(朝日新聞)
Asahi.com 2010年11月25日(木)22:22
少年に死刑判決 更生より厳罰選んだ裁判員(読売新聞)
Yomiuri ONLINE 2010年11月26日(金)01:52
少年に死刑判決 市民が裁くには酷すぎる
西日本新聞【社説】 2010/11/26付 朝刊
少年に死刑判決/裁きの負担重すぎないか
河北新報 【社説】 2010年11月26日金曜日
2人が殺され、さらに1人が重傷を負った。18歳7カ月だった少年が今、被告席にいる。償いは「死」であるべきかどうか。
6人の裁判員が石巻3人殺傷事件でその問いに向き合わされた。評議で導き出し、仙台地裁できのう言い渡された判決の主文は死刑だった。
裁判員裁判の判決が死刑だった前例は、まだたった一つ。少年に死刑が求刑されたのはこれが初めてのケースだった。
死刑を適用する判断基準としては最高裁が九つの留意点を挙げている。しかしそれが、数量的に明確な物差しになるわけではない。加えて、少年法の理念、仕組みを理解した上で更生の可能性も吟味しなければならない。二重の負担である。
市民が初めて体験する場で担う仕事として重すぎないか。
裁判員制度を見直す作業の最重点に位置付ける必要がある。
今年2月、交際していた女性(18)の石巻市の家で、姉=当時(20)=と友人の女子高生=当時(18)=を刺殺し、会社員男性(21)にも大けがをさせた。殺人罪などに問われた被告(19)=石巻市、元解体工=は、そんな内容で起訴された。
「死刑は更生の道を完全に閉ざす冷厳な刑罰。適用は極めて慎重でなければならない」。被告の弁護士はこう主張して、死刑の回避を求めていた。反省の深さや更生の可能性を強調して裁判員に理解を促した。
裁判員は起訴内容の確からしさに目を凝らした上で、1983年の最高裁判決が示した死刑の判断基準(「永山基準」)の意味合いを学ばなければならなかったはずだ。
永山基準は被害者の数をはじめ「残虐性」「犯行後の情状」など9項目を挙げる。「被告の年齢」もその一つだ。
きのうの判決はこの基準に沿って、被害の重大性、深刻さや犯行の際立った残忍さを指摘し、「反省に深みがあるとは言えない」「更生の可能性は著しく低い」と認定した。事件当時の年齢についても「死刑を回避すべき決定的事情とは言えない」と判断した。
弁護側は、健全育成という少年法の理念を弁護の立脚点にしてきた。保護処分が原則で、刑事処分は例外的であるべきだという考え方だ。
少年法の仕組みは複雑だと思っている人は多いはずだ。刑事裁判の進め方を刑事訴訟法に沿ってのみ込む作業に加えて、少年法の精神、手続きへの理解も求められるのが、少年犯罪を裁く裁判員の責務になる。
少年犯罪の審理は難しいと感じさせてきたのは、事件の背景分析や矯正処遇の実情についての情報が乏しかったことも影響している。
知らされていないことは難しく映る。突然、理解を求められるのは酷だ。
重すぎる負担を軽減する手だてが不可欠だ。
「一生悩み続けるんだなと思った」「自分の考えを誰にも話せず、つらかった」。死刑判決にかかわった後、裁判員はそんな感想を話した。
市民の悩み、つらさが市民参加制度の見直しに生かされなければならない。
河北新報 【社説】 2010年11月26日金曜日
更生可能性どう評価 石巻3人殺傷あす判決
河北新報 2010年11月24日(水)12:00