JUNSKY blog 2015

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「父親たちの星条旗」 見る価値【大】

2006-11-04 02:27:21 | 映画レビュー
クリント・イーストウッドとスティーブン・スピルヴァーグによる、硫黄島の戦闘を描いた「父親たちの星条旗」;FLAGS OF OUR FATHERS を見た。

 イラク戦争で、少女のような米軍女性兵士が戦闘中捕らえられて監禁されているのを、米軍の決死隊が突入して救い出し、彼女はイラク戦争の「英雄」として、戦意高揚に最大限利用したのは、つい数年前のことである。
その、彼女は良心に反する英雄扱いで心が痛み、真相を書いて出版した。
怪我で動けないところをイラク人に助け出され、イラクの病院で手厚い看護を受けていたというのが本当の話だった。

 この映画は、硫黄島の闘いで、星条旗を峰に立てた6名を英雄視し、その生き残り3名を国内に召喚し、人寄せパンダよろしく全国各地を訪問させ、「戦時国債」購入キャンペーンに協力させるというものである。

 その「星条旗を立てた」写真も実は、最初のショットではなく、メディア向けに再現した写真であり、英雄視されている3名は実は別人であるということを、冒頭に提示して、政府による「ヤラセ」世論誘導をえぐってゆく。

 その英雄の一人がインディアン(ネイティブ・アメリカン:映画では露骨に差別用語としてインディアンと放言させている)であり、表向きは「英雄」として歓迎する振りをしながら、舞台裏では露骨な差別と蔑視をやっているという「人種差別」が映画のもう一つのテーマである。
彼は、差別に心を痛め、また英雄視に対しても良心が許さず、酒に溺れてゆくことになる。

 とはいえ、何といっても第一のテーマは「ヤラセ」により徹底した世論誘導を行い、「戦時国債」を買わせるキャンペーンの実態である。
そして、直接的ではないが、これらの戦時国債により国民の資産を没収し、軍需産業だけが潤うという構造を示唆する。
 そして、このキャンペーンの推進者(財務省役人)自らに、ドルの印刷を無制限に続けており、そのうち紙切れになる、という発言をさせている。

 映画では、ベトナム戦争でも同じような「ヤラセ」が行なわれたことを、セリフの中で伝える。

 この事実を追究しているのは、硫黄島の生き残りを父に持つ、中年の男(原作者)である。
記録は、ノートパソコンを使用して行なっているので、現代に繋がっていることを強く象徴している。

 私の父も、戦時中、商社務めで上海の事務所で働いている時に、現地召集を受け、満州鉄道の防衛に参加させられたというから、年代的には殆ど同じである。
まさに、今に繋がっている話であることを実感した。

 ところで、「戦時国債」キャンペーンのパーティ会場で、戦死した戦友の母親に会う場面の背後で、楽団が演奏していた曲はモーツァルトの交響曲(おそらく40番)だった。
日本では、敵性音楽は禁止だったようだが、アメリカではモーツァルトはモーツァルトとして受け容れられていたのだろうか?
時代考証もして、選曲したものと思われるので・・・

 最後のエンディング・クレジットでは、その『英雄たち』本人(俳優ではなく)の写真と、戦死した戦友たちの写真を次々と流す。そして、おそらく映画のシーンではなく、当時の従軍カメラマンが取ったであろう歴史的資料価値の高い、戦闘写真を次々と流し、戦争の悲惨さを静かに訴えている。

 時間を計った訳ではないが、全編の半分が、硫黄島でのすさまじい残酷な戦闘シーンであった。それが、現代と、国債キャンペーンの前後と、硫黄島に派遣される前とをアトランダムに入れ子にした作りであった。
 映画の中だけでも凄まじい戦闘が36日間も続いたのである。

「補給も無い中で日本兵士も良く36日も持ちこたえて頑張った」という気持ちになってしまう自分が居た。

終演後「硫黄島からの手紙」(日本の視点で描く)の予告編が流されたが、国粋主義者にならぬよう「心して」見たいと思う。

公式ホームページは、ここをクリック


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秋田「大仙市の男児死亡」事件

2006-11-03 18:18:38 | 事件・事故
畠山鈴香さんが容疑者とされた藤里町の事件以来、「秋田魁新報」メールニュースを配信してもらっている。

今週の「秋田魁新報」Web版へのアクセスランキングTOP3は、「大仙市の男児死亡」であった。(TOP5のうち4本がこの事件)
この事件は、気に掛けていたが、これまで書いてこなかった。
マスコミは、藤里町の事件報道への“反省”からか? 報道を抑制してきたように見える。
それが、この数日ニュースなどに取上げられるようになった。

「さきがけ on the Web」の内容は、それぞれ見ていただくとして、見出しを引用すると、
<1>事件の疑い強まる 大仙市の男児死亡、遺体に複数の傷
 
<2>捜査本部並みの態勢 大仙市男児死亡、実況見分や聞き込み続行
 
<3>現場近くの草倒れる 上から圧力か、大仙市男児死亡
 
<5>報道陣など立ち入り禁止 高畑保育所と東大曲小、大仙市男児死亡
 

ところで、第4位は、秋田でも必修単位偽装事件である。
<4>秋田南高でも未履修 3年生320人、補習へ

これら、事件に関連した記事のうち、一つだけWeb版の記事を引用しよう。
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空白の時間に何が、数多い不自然な点 大仙市の男児死亡

 大仙市の農業用水路で遺体で見つかった保育園児、進藤諒介ちゃん(4つ)=同市大曲住吉町=について、大仙署と県警捜査一課は事件に巻き込まれた可能性が高いとみて捜査を進めているが、これまでに事件と断定できる決め手は得られていない。諒介ちゃんが23日夕に行方不明になってから、遺体で見つかるまでの約1時間半の間に何があったのか。

 同署と捜査一課が事件性があるとの疑いを持ったのは、行方不明になったとされる時間帯や遺体発見現場に不自然な点があるからだ。

 23日の日没は午後4時50分。母親と外出先から帰った午後5時ごろには、辺りはすでに暗くなっていた。諒介ちゃんは30分後に姿が見えなくなったといい、母親が同6時10分、近所の人を通じ110番した。

 用水路は自宅からつながる道路沿いにあり、自宅からの距離は400メートルほど。「4歳児が暗くなってから、一人でそんなに離れた場所まで歩いたとは考えにくい」と捜査幹部は話す。

 用水路の脇の斜面などに滑ったような跡があれば、誤って転落した可能性も否定できない。斜面には、上から圧力をかけられたようにして草が倒れていたことが分かっているが、それだけで転落したとは断定できず、用水路で倒れていたという不自然さは解消されていない。

 遺体には複数の外傷があった。だが司法解剖の結果、死因は窒息死の疑いが強く、こうした外傷が致命傷ではなかった。

 大仙署などは現在の態勢を維持して、聞き込みを中心とした捜査を続ける。

秋田 さきがけ on thw Web(2006/10/28 14:18 更新)
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畠山鈴香さんが投獄されていなかったら、これまでの経緯からみて、この事件も彼女の犯行にされかねなかったところだと思う。

秋田「さきがけ on thw Web」のTOP Pgae アドレスは下記。
http://www.sakigake.jp/

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モスクワ・フィル 演奏会

2006-11-03 17:49:16 | 音楽レビュー

11月2日のコンサート・レビューの続き。
私が着席しているのは、下手2階1列目の中間付近。

後半は、チャイコフスキーの定番「白鳥の湖」(指揮者のシモノフ編)

レニングラード・バレエなどで、全曲通しバレエ公演を見たことがあるが、オケピットに入っているときには、こんなに大迫力・大音響だったかと疑うほど、凄い大音響。
もちろん、静かに進むところもあるからこそ、コントラストが明瞭で好い音楽となる訳ではある。
とはいえ、迫力満点ながら、背筋ゾクゾク感の感動を呼ぶには及ばなかった。

以前、東京の国立劇場コンサートホールでも「白鳥の湖」をコンサート形式で聴いたことがあったが、その時もそう言えば、迫力満点で満喫した覚えがある。

シモノフ選の本日の公演。あの有名な曲が選ばれていないのは何故?
というところがあった。
しかし、そこはなかなか曲者。
アンコール曲に、その曲「四羽の白鳥の踊り」を持ってきたのだった。
鳴り止まぬ拍手にもう1曲アンコール。
ポケットから懐中時計を取り出して時間を見て、「よしもう一曲行こう!」という仕草に会場爆笑。
ユーモアもサービス精神も兼ね備えた指揮者である。
そのアンコール曲は「眠りの森の美女」から最も有名なワルツ。

その曲も終わると、開いていた楽譜を聴衆に良く解るように大げさに閉じ、指揮棒を譜面台に押し付けた。すると、その指揮棒が縮んだ! テレスコピック式・指揮棒だったのだ。
そういう仕草も大げさにするので、観客の喝采を受けていた。

今日の入りは、一部空席(売れているが来られなかった席?)もあったが、補助席も出すほど、ほぼ満席であった。

コンサートが終了したのは9:45と、日本のクラシック・コンサートでは破格の遅さ。やむをえず、途中退席する観客も居た。


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フジコ・ヘミング ショパンのピアノ協奏曲を弾く

2006-11-02 23:35:04 | 音楽レビュー
一昨日に引続き、アクロス福岡でのコンサート。

今日は、フジコ・ヘミングがモスクワ・フィルハーモニー交響楽団と
ショパンの「ピアノ協奏曲第1番」を弾くと言う興味深い組み合わせ
指揮はユーリ・シモノフ

以前、フジコ・ヘミングのチケットは即日完売だったが、当日券が僅かに残っていてそれをGET!(¥15,000)

前座は、ロシアの作曲家グリンカの幻想曲「カマリンスカヤ」
もちろん初聴きであった。

続いて、本命のイングリット・フジコ・ヘミングによる
ショパンの「ピアノ協奏曲第1番」

紋付和服へのオマージュと思わせる黒をベースの特殊な衣装で登場。(本当に紋がついている)
インターネットで検索しても年齢はわからず。
実弟の俳優大月ウルフが1934年生まれというから、1930年ごろ生まれたとすれば、76歳というところだから、結構ご高齢ではある。

その演奏方法は自由奔放というか、自在にというか、思いのままというか、テンポが大きく揺れて『歌う』という演奏法で、指揮者もオケも必死で合わせている感じであった。
ソロ部分のテンポは相当ゆったりと取っており、意の向くままに弾いているという感触を受けた。
ミスタッチも少なくはなかった。

フジコは、TVのインタビューで次のようなことを言っていた。
「いつも同じで、ミスも無く完璧に弾くのなら機械に任せておけばいいのよ。ミスもするし、いつも違うのが生演奏じゃないの」と(要旨:表現は正確ではありません)

その通りである。
そう言う揺らぎやミスがありながらも、「魂の声」を聴くことができ、聴衆に感銘を与えることができるのが、フジコ・ヘミングたる由縁であろう。

第1楽章が終わると拍手が来た。彼女の演奏会ではどうやら定番らしい。
拍手を早まった!とすぐに鳴り止むのではなく、鳴り続く拍手!
ようやく第2楽章に。

ソロが中心の、その第2楽章では、繊細な表現に聴衆みんなが惹き込まれていた。
2楽章が静かに終わると、ここでも長い拍手。
指揮者も、その辺は心得ているようだった。
通常この曲は、第2楽章と第3楽章をアタッカ(休み無し)で演奏するのだが・・・

3楽章はフィナーレだけあって、テクニックと迫力満点の曲であるが、ここでもテンポはゆったり目。オケだけでの演奏場面ではスピードを上げていた。
第3楽章が終わったとき、ブラボーが出たのはもちろんだが、聴衆の感動の波動が会場全体に堰を切ったようにあふれていた。

協奏曲が終わり何度目かの拍手による連呼に応えて、
フジコ・ヘミングはお祭り法被風の赤字に白抜きの大柄のサクラをあしらった衣装に着替えて登場し、
ショパンの練習曲2曲と、みなさんお待ちかねのリストの「ラ・カンパネラ」を演奏。
アンコール演奏と言うよりは、ソロ・リサイタルであった。オケは後ろで待機。

「ラ・カンパネラ」もテンポはゆったりめであるが、それでもこんなに細かく早いパッセージがあったのかと驚く。あまりに早弾きだと、そういうディティールが聴こえて来ないところを、明瞭に聴かせることで、この曲の難曲ぶりが浮き上がる演奏となった。

休憩をはさんで、オケの演奏は「白鳥の湖」。
これは、次の記事にする。

イングリット・フジコ・ヘミング公式ホームページは、ここをクリック

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嘉穂劇場「第九」其の参 練習

2006-11-01 23:47:40 | 音楽レビュー
   (写真は練習風景)

今日は、早くも11月1日。今年もあと2ヶ月か・・・早い!

というわけで、「嘉穂劇場・第九」の3回目(全体では5回目)の練習でした。
前回同様、冒頭の全体練習は、発声練習のみ。
その後は、経験者と初心者に分かれて、練習。
今日は、ここイイヅカ・コミュニティセンターでは、音楽室の一部屋しか確保できなかった、ということで、初心者組は、本番会場でもある「嘉穂劇場」での練習と言うことでした。
嘉穂劇場までは歩いても5分ちょっとという距離。

今日も、主な練習は、男声がコラール風に出てくる
 Seid umschlungen, Millionen! Diesen Kuß der ganzen Welt!
 【百万の人々よ(歓喜に)抱かれよ! この口付けを全世界に!】
 の、ところから二重フーガのところまで。

【~er】 の発音で質問続出。
と言うのは、練習指揮者が、ここはドイツ語式(~エル)、こちらの英語式(~エァ)と、
単語によって『巻き舌』にするかどうかを指示したため。
彼も私も【~エル】世代。 注意していても、つい【~エル】が出てしまいます。

たとえば

 Brüder, über'm Sternenzelt は、
ブリーダー 【~エァ;英語式】
いーベルム シュテルネンツェルト と【~エル;ドイツ語式】

練習指揮者が、本番の指揮者のフォルカ・レニッケ氏に再確認することになった。

さて、8時過ぎに嘉穂劇場組が帰ってきて、二重フーガの合同練習。
まだまだ、なかなか! というところ。

来週は、最後までとにかく通すので、練習してくるように!
とのキツーイお達しでした。
初心者組みには難題だと言えるでしょう。


今日はブログ用に持っていってたデジカメで何枚か写真を撮ったので、
とりあえず貼り付けときます。

嘉穂劇場「第九」・3回目
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