醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより  311号  白井一道

2017-02-11 11:37:20 | 随筆・小説

 歴史発展の不均等性

侘助 トランプ大統領の出現はアメリカ衰退の象徴的出来事なんじゃないかな。
呑助 アメリカファーストを唱え、アメリカを盛り返していこうということを唱えているんじゃないですか。
侘助 アメリカファーストと言うこと自体が衰退を自ら認めていることなんじゃないかな。
呑助 経済大国アメリカは世界一位なんじゃないですか。
侘助 いや、平価で比較すると2014年にアメリカは中国に追い抜かれているみたいだよ。
呑助 へぇー、そうなんですか。
侘助 歴史発展の不均等性という法則があるんだ。
呑助 そりゃなんですか。
侘助 今から2千年前、地中海周辺地域にはローマ帝国という大国が君臨していたんだ。しかしローマ帝国は永遠に反映し続けることはなかった。
呑助 どうしてローマ帝国は滅びてしまったんですかね。
侘助 それはローマ帝国周辺地域に新しい国が誕生し、その国の経済力が大きくなったからなんだ。
呑助 その国は何という国だったんですか。
侘助 初めはフランク王国と言っていたんだが、後の神聖ローマ帝国という国だったんだ。
呑助 その国はどこにあったんですか。
侘助 今のドイツ・オランダ・フランスにまたがるアルプス山脈の北側にできた国だったんだ。
呑助 なぜローマ帝国の経済力は弱体化し、フランク王国や神聖ローマ帝国の経済力が強大化していったんですかね。
侘助 ローマ帝国の経済力はエジプト・パレスチナ・メソポタミアに至る肥沃な三日月地帯と呼ばれる地域における奴隷制大農園経営にあったんだ。その地域がイスラム勢力の台頭によって奪われてしまった。
呑助 あぁーそれでローマ帝国は衰退してしまったわけですか。
侘助 経済力が亡くなると軍隊を支えることができなくなるからローマ帝国はゲルマン民族のローマ帝国内への侵入が相次ぎ、滅んでいった。
呑助 アフガニスタン・中東・シリア難民のEUへの流入とケルマン民族のローマ侵入は似ているような現象ですかね。
侘助 言われてみると似ているような現象かもしれないな。生活を破壊された難民が豊かなローマに侵入していったように、生活を破壊された中東の人々が豊かなヨーロッパ目がけて侵入しようとしている。
呑助 アメリカを中心にしたヨーロッパ諸国が衰退して新しい国々が台頭し始めている。これが現代の世界なのかもしれませんね。
侘助 正にそうなのかもしれない。
呑助 どこの国が世界に羽ばたき始めているんですかね。
侘助 それは中国・ロシア・インド・ブラジル・南アフリカらのブリックスと言われる国々なんじゃないかな。
呑助 中国・インド・ロシアですか。
侘助 アメリカは金融資本が実験を握ってしまったので、その結果、アメリカの産業が衰退してしまった。あまりにも自分たちの利益を優先してしまったため、アメリカ全体が衰退したようだ。