最近のマスコミは政府広報であるかのようだ
在日韓国人が安倍政権に抗議する集会をyou tubeで見た。その集会に参加し、マイクを握って話し始めた青年がいた。その青年は日本共産党参議院議員山添拓氏だった。リュックを背負っていた彼はリュックを傍らに置き、話し始めた。私は彼の話を聞き、感動した。日本の青年と在日韓国人とが心を一つにして安倍政権に抗議する姿に感動したのだ。山添氏は前もって演説が予定されていたものではなかったようだ。たまたま通りかかった在日韓国人たちの集会に飛び入りで参加し、演説をしたようだ。日本の市民と韓国の市民が協力し、日本政府と韓国政府が仲良くするよう働きかける。日本の主権者と韓国の主権者とが協力し、国際社会を作っていく。これが21世紀の世界だと実感した一瞬だった。
安倍総理は韓国と仲良くしたくないようだ。口を開けば、1965年の日韓請求権協定で解決済みと言う。この安倍総理の主張は正しいのだろうか。次のような質問を衆議院議員初鹿明博氏はしている。
「大韓民国大法院で元徴用工に対する賠償を日本企業に命じる判決が確定したことに対する受け止めを問われた安倍総理は「一九六五年の日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決している。今回の判決は国際法に照らしてあり得ない判断だ。」と答えています。
また、河野外務大臣も「日韓請求権協定は日韓の国交樹立以来、両国の法的基盤となってきた。今日の判決は法的基盤を韓国側が一方的かつ、かなり根本的に毀損するものだ。法の支配が貫徹されている国際社会の中で常識では考えられない。」とのコメントを出しました。
日韓請求権協定について、政府は「両国間の請求権の問題は最終的かつ完全に解決した」とし、「日韓両国が国家として有している外交保護権を相互に放棄したことを確認する」ものではあるが、「いわゆる個人の財産・請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたものではない」との見解を明らかにしてきました。
この立場は国会審議の中でも明確にしており、一九九一年八月二十七日参院予算委員会での清水澄子議員、同年十二月十三日参院予算委員会での上田耕一郎議員の質問に対し、柳井俊二条約局長(当時)が、「日韓両国が国家として持っております外交保護権を相互に放棄したということでございます。したがいまして、いわゆる個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたというものではございません。日韓両国間で政府としてこれを外交保護権の行使として取り上げることはできない、こういう意味でございます」「昭和四十年の日韓請求権・経済協力協定の二条一項におきましては、日韓両国及び両国国民間の財産・請求権の問題が完全かつ最終的に解決したことを確認しておりまして、またその第三項におきましては、いわゆる請求権放棄についても規定しているわけでございます。これらの規定は、両国国民間の財産・請求権問題につきましては、日韓両国が国家として有している外交保護権を相互に放棄したことを確認するものでございまして、いわゆる個人の財産・請求権そのものを国内法的な意味で消滅させるものではないということは今までも御答弁申し上げたとおりでございます。」と答弁しています。
この答弁を踏まえて、以下質問します。
一 この度の安倍総理並びに河野外相の発言は一九九一年の柳井俊二条約局長の答弁を変えるものであるのか、政府の見解を伺います。
二 それとも、日韓請求権協定は、いわゆる個人の財産・請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたものではないという見解は変わりないのか、政府の見解を伺います。
右質問する。
衆議院議員初鹿明博君提出日韓請求権協定における個人の請求権に関する質問に対する答弁書
一及び二について
大韓民国(以下「韓国」という。)との間においては、財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(昭和四十年条約第二十七号。以下「日韓請求権協定」という。)第二条1において、両締約国及びその国民(法人を含む。)の間の請求権に関する問題が、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認し、また、同条3において、一方の締約国及びその国民の他方の締約国及びその国民に対する全ての請求権であって日韓請求権協定の署名の日以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もすることができないものとしている。
御指摘の平成三年八月二十七日及び同年十二月十三日の参議院予算委員会における柳井俊二外務省条約局長(当時)の答弁は、日韓請求権協定による我が国及び韓国並びにその国民の間の財産、権利及び利益並びに請求権の問題の解決について、国際法上の概念である外交的保護権の観点から説明したものであり、また、韓国との間の個人の請求権の問題については、先に述べた日韓請求権協定の規定がそれぞれの締約国内で適用されることにより、一方の締約国の国民の請求権に基づく請求に応ずべき他方の締約国及びその国民の法律上の義務が消滅し、その結果救済が拒否されることから、法的に解決済みとなっている。このような政府の見解は、一貫したものである」。
これが政府の主張である。この主張に基づいて安倍総理や河野外相の主張を擁護している。しかし韓国国民の請求権が消滅していると日本政府は言っていない。外交的保護権の観点からの説明だと言っているに過ぎない。過去の日本人が韓国国内に所有した権利を日本政府は保護しないと韓国政府に約束する一方韓国政府は過去の韓国人が日本国内に所有する権利を保護しないと約束した。このことを外交的保護権と日本政府は説明している。外交保護権とは、政府が国民からの請求権を拒否する権利だ。政府は無責任だという論理を創りだしたものが外交保護権のようだ。
安倍総理も河野外相も国民のための政治はしない。政治家として行ったことはすべて無責任だという勝手な法理の上に胡坐をかく人間たちのようだ。