醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより   1419号   白井一道

2020-05-03 10:10:30 | 随筆・小説



  安倍政権の新型コロナウイルス対策は自粛?


 
 「医師が必要と判断した場合および、濃厚接触者を中心にやってきたため、我々は感染の実態の一部しか把握していないのは当然だ」。尾身副座長は日本の検査の現状についての検討する専門家会議後、このように説明し、PCR検査を絞っているにも関わらず新規感染者が減少していると解説しているテレビ映像を見た。
 国会で野党がPCR検査を重症化する可能性が濃厚な患者にしか行わないことでは、新型コロナウイルスに感染する人を救うことはできない。ぜひPCR検査を実施すべきではないかと政府を追及する国会中継を見た。その追求に対して安倍総理は新型コロナウイルスの感染拡大への対応策として2月28日の衆院予算委員会で二万件のPCR検査をすると答弁した。しかし二か月が過ぎてもPCR検査は遅々として進むことはなかった。野党から追求されると安倍首相は、2カ月前と同様の答弁を繰り返している。
 PCR検査法は40年も前に活溌されたものであると聞いた。検査できる機関は日本各地の大学病院でも日本各地の公立病院でも可能であるという話も聞く。問題はやる気の問題のようだ。検査をしなければならないのは帰国者、接触者のみに特化して行うことが医療崩壊を防ぐという主張だ。厚労省管轄の行政検査として保健所の承認のもとでなければPCR検査はできないという縛りがあるからのようだ。PCR検査を大量に実施すると医療崩壊するという人々の主張を安倍政権は尊重しているようだ。
 しかし新型コロナウイルス感染者は増大していく。新型コロナウイルスに感染しても8割の感染者は軽症のまま全快している。にもかかわらず軽症者であっても他人への感染力はある。また感染していても他人へ感染させる力のある人は少数で、多数の感染者は他人への感染力がないようだ。このことをクラスターと言っているようだ。尾身さんは山中伸弥さんとの対談でこのように説明していた。クラスター対策をするなら、新型コロナウイルスを封じ込めることができると考えていたのかもしれない。このような新型コロナウイルス対策は間違っていた。新型コロナウイルスはしつこい。悪さをするウイルスだ。血液を固め、脳梗塞や脳血栓を引き起こしたりする悪さをするウイルスである。30代や40代の感染者が脳梗塞、脳血栓を引き起こしている。無症状の感染者が急激に重症化し死に至る。このような事情が明らかになるに従って今までのようなPCR検査を一部の者に限定する方法では新型コロナウイルスを撲滅する事は出来ない。このような認識が全国民的なものになるに及んで安倍総理もやむなくPCR検査をせざるを得なくなったにもかかわらず、口先ではPCR検査をすると言うが実際は遅々として進まない。
「専門家会議とは一体何の専門家なのか、ウイルス研究や数理処理の専門家以上に、治療の現場から臨床的に何が起きているのかを把握して感染拡大を止める人材が必要。自分達の主張する検査方式に固執し、次いで8割制限に固執、発熱前から感染力のある事実への対処も後手、医療や介護現場の感染者も多数。」このように医師でもある阿部知子衆議院議員はツイートしている。
 国民へは外出自粛を要請し、8割の国民が外出を自粛するなら、感染爆発を抑えることができるという宣伝を懸命にしているがそれで本当に感染爆発を抑えることができるのだろうか。先日、デモクラシータイムスに出ていた児玉龍彦さんの主張を聞いて、落涙してしまった。児玉さんは訴えていた。ライフラインを守る事ですと言っていた。スーパーで食品の販売に従事する人、日常生活に必要な物品の生産や流通に従事する人々、郵便局に勤めている人々を新型コロナウイルスから守るということが大事だと説明していた。もちろん病院で働く人すべてが安全に働ける環境を守ることが大事だと力説していた。東大先端医療研究のリーダーを務める児玉さんがこのような現場で働く人々への優しい眼差しに真実があるように思う。自粛一本やり対策では新型コロナウイルスとの長期戦を戦い抜くことは出ないと。それにはPCR検査をもっともっとやりやすくして、ウイルス感染者、ウイルス抗体を得ている人、非感染者とを区分することによってこそ長期戦が戦えると述べていた。それにはまず院内感染を引き起こした病院をすべて公表し、これらの病院の正常化を一日も早く実現する。病院に通院する患者にはすべて検査をし、感染しているか、どうかが確認できるようにしなければならないとも述べていた。