醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより   1443号   白井一道

2020-06-18 12:09:51 | 随筆・小説



   方丈記 12


 原文
こゝに、六十の露消えがたに及びて、更に、末葉の宿りを結べる事あり。いはゞ、旅人の一夜の宿をつくり、老たる蚕の繭を営むがごとし。是を中ごろのすみかにならぶれば、又、百分が一に及ばず。とかくいふほどに、齢は歳々にたかく、栖はをりをりにせばし。その家のありさま、よのつねにも似ず。広さはわづかに方丈、高さは七尺がうちなり。所を思ひ定めざるがゆゑに、地を占めてつくらず。土居を組み、うちおほひを葺きて、継目ごとにかけがねを掛けたり。若、心にかなはぬ事あらば、やすくほかへ移さむがためなり。その、あらためつくる事、いくばくのわづらひかある。積むところわづかに二両、車の力を報ふほかには、さらに他の用途いらず。
 いま、日野山の奥に跡をかくしてのち、東に三尺余の庇をさして、柴折りくぶるよすがとす。南、竹の簀子(すのこ)を敷き、その西に閼伽棚(あかだな)をつくり、北によせて障子をへだてて、阿弥陀の絵像を安置し、そばに普賢をかき、まへに法花経をおけり。東のきはに蕨のほどろを敷きて、夜の床とす。西南に竹のつり棚を構へて、黒き皮篭三合をおけり。すなはち、和歌・管絃・往生要集ごときの抄物を入れたり。かたはらに琴・琵琶おのおの一張をたつ。いはゆる、をり琴・つぎ琵琶これ也。かりのいほりのありやう、かくの事し 。

現代語訳
 ここに60の命が消えかかる事態になって、更に晩年の住まいを作ることになった。云わば旅人の一夜の宿を作り、老いた蚕の繭を紡ぐようなものだ。この住まいを三十歳余ての時に建てた住まいと比べてみると、また百分の一にも及ばないものだ。歳を重ねるに従って住まいは狭くなっていった。その家の有様は世の常に似ていない。広さは僅かに一丈、高さは七尺に満たない。場所を思い決めていたのではなかったので、土地を購入して作ったわけではない。材木の土台を築き、上を覆っただけの簡単な屋根で継ぎ目毎に掛け金を懸けただけのもの。もし、ここが気に入らなければ簡単に他所に移そうとしたためだ。その改めて作ることは多少のわずらわしさだけだ。かかる費用は僅かに二両、車にお願いする以外は何もない。
 今、日野山の奥に遁世して後、車に三尺余りの庇を作り、そこを芝をくべる場所にした。南側に竹の簀子を敷き、その西側に水や花、仏具を置く棚を作り、北側には衝立を置き、阿弥陀様の絵を掲げ、そばには普賢菩薩を描き、前に法華経を置いた。東の際には枯れた蕨を敷き、夜の寝床にした。西南に竹の吊り棚を作り、黒い皮桑折を置いた。すなわち、和歌・管絃・往生要集のような抄物を入れた。傍らには琴・琵琶各々一張を立てかけた。いわゆる折りたたんだ琴・柄の取り外しのできる琵琶だ。仮の庵の有様はこのようなものである。


 日本の住まいの特徴  白井一道
 日本建築の特徴は日本の風土が培ったものである。
日本の気候の特徴を気温と雨量で区分したケッペンの気候区分によると日本はほぼ温帯湿潤気候か冷帯湿潤気候に属し、世界的に見ると四季がはっきりしていている。はっきりした四季がある国と言うのは世界的には少ないようだ。気温の年較差が日較差よりも大きい。また、降水量が多く、梅雨や秋霖の影響で降水量の年変化が大きい特徴がある。
 日本の気候が日本建築に大きな影響を与えている。雨量が多いので家の中では屋根が大きい。大きな屋根の家に美しさを求めて作るようになった。屋根の美しさに日本建築の特徴がある。軒の深い屋根を持った家に日本人は美を追求してきた。茅葺の家も檜皮葺きの家も瓦葺の家も皆、美しい屋根を競って作って来た。軒の深さに家の陰影が表現される。この陰影に美を発見してきた。
 陽射しが冬は低く、軒に遮られることなく部屋の中に日が当たる。夏は陽射しが高く、軒が深いと部屋の中に日が射すことはない。日当たりに重点を置いた家造りが日本の家屋の特徴の一つのようだ。また、日本は雨量が多く、湿度が高い。だから通風の良い家造りをした。風通しの良い家造りをしてきた。だから床の高い家造りをした。壁を重視する西洋の家ではなく、柱と梁、桁を大事にする家造りをした。壁を重視すると風通しが悪くなる。ヨーロッパのように日本に比べて湿度の低い地域では、壁を重視する家も良いが日本では不向きな家造りだ。気温と湿度の高い日本では風通しの良い家がいい。

醸楽庵だより   1442号   白井一道

2020-06-18 12:09:51 | 随筆・小説



   河井前法相夫妻は逮捕か



 陣営関係者「買収」告発=河井前法相夫妻、本格捜査へ―参院選現金疑惑・検察当局
 自民党を離党した河井案里参院議員(46)=広島選挙区=が初当選した昨夏参院選をめぐり、案里議員の陣営関係者が、夫の衆院議員、河井克行前法相(57)=広島3区、自民離党=の買収行為を検察当局に告発していたことが17日、関係者の話で分かった。検察当局は案里議員への票の取りまとめを依頼した公選法違反(買収)容疑で夫妻の刑事責任を追及する構えで、近く捜査を本格化させる見通し。
 関係者によると、告発は、広島地検がウグイス嬢と呼ばれる車上運動員への違法報酬事件を捜査していた最中に寄せられた。複数の陣営関係者が、参院選で案里議員が自民党の公認を得た2019年3月以降、「前法相が県議、首長などの地元政界関係者に現金を配った」との情報を提供。案里議員への票の取りまとめを依頼する買収目的だった疑いを示唆したとされる。
 告発内容などから、現金配布は前法相が主導したとみられるが、一部は案里議員自らが配布していたという。検察当局は夫妻が意を通じていたとみて捜査を進めているもようだ。
 複数の県議らによると、河井前法相は昨年4月投開票の統一地方選の前後、地元政界関係者の事務所や自宅を訪問し、20万~30万円を入れた封筒を手渡すなどした。現金は「陣中見舞い」や「当選祝い」名目だったとされるが、案里議員の参院選出馬との関連を疑い、受け取りを拒否した人もいた。
 検察当局は前法相の関係先から、現金配布先をまとめた「買収リスト」を押収。陣営関係者からの告発や、リストの記載内容などを精査し、夫妻の刑事責任を追及する必要があると判断したとみられる。前法相夫妻はこれまでの任意の事情聴取に買収を否定している。 
                                                   時事通信社

 【独自】河井夫妻に出頭要請…検察、買収容疑で逮捕へ
  昨年7月の参院選で初当選した河井案里・参院議員(46)(広島選挙区)の陣営を巡る買収事件で、検察当局が夫で衆院議員の河井克行・前法相(57)(広島3区)と案里氏に対し、18日に出頭するよう要請したことが関係者の話でわかった。検察当局は、夫妻が地元議員ら約100人に提供した計約2500万円が公職選挙法違反(買収)容疑での立件対象にあたるとの見方を強めており、容疑が固まり次第、逮捕する見通し。
 夫妻は16日付で自民党に離党届を提出し、17日に受理された。
読売新聞オンライン

 秘書有罪「案里氏の態度が影響して重い判決になったのでは」…広島県会議長
自民党の河井案里参院議員(46)の陣営を巡る選挙違反事件で、案里氏の公設第2秘書・立道たてみち浩被告(54)が執行猶予付きの有罪判決を受けた16日、広島県内の自民関係者や市民から厳しい声が相次いだ。
 中本隆志・県議会議長は記者会見を開き、「昨秋に疑惑が浮上してから、一区切りがついた。案里氏は反省せず、一言の釈明もせず、何食わぬ顔をして国会に出ている。そうした態度が影響して重い判決になったのではないか」と批判した。
 同党の別の県議も「地元や党のイメージを大きく傷つけた」と憤り、湯崎知事は「公設秘書の有罪判決があった中で、依然として議員本人から何の説明もないのは誠に遺憾だ」との談話を出した。
 案里氏と、夫で衆院議員の克行・前法相(57)は昨夏の参院選に関連し、公示前に県議らに現金を渡したとされる疑惑も浮上しており、広島市西区の50歳代の会社員男性は「夫妻は事件について説明する責任がある。一刻も早く永田町から退場してほしい」と話した。
 同党県連会長を務める宮沢洋一・参院議員は「今からでも遅くないので事実の説明をしてもらいたい」とのコメントを出した。
                                              読売新聞オンライン

 国会が閉会したら河井前法相夫妻の逮捕が予想されると郷原信郎氏は「日本の権力を切る」で述べていた。郷原氏の予測は的を射ていたようだ。検察の安倍内閣への反撃なのかもしれない。