2014年春闘がスタートしました。 全労連は、全ての労働者の賃上げをめざし、月額1万6000円以上、時給120円以上の賃上げを要求しています。 連合は5年ぶりに1%以上の賃上げをめざす統一要求を掲げました。
日本共産党は1月29日の衆院本会議の代表質問で志位委員長が、安倍首相に賃上げを実現するための3つの提案をしました。
一つは、270兆円にのぼる大企業の内部留保の一部を賃上げに活用するよう、経済界に正面から提起することです。
二つは、最低賃金の抜本的引き上げと、そのための財政出動を行うことです。
三つは、雇用のルール破壊をやめ、人間らしく働ける雇用のルールを強化することです。
こうした中、1月28日のアメリカのオバマ大統領の一般教書演説が注目されています。 その背景を考える際に、 「しんぶん赤旗」日曜版9日付の島田峰隆ワシントン特派員の記事が大変参考になります。 以下、要旨を紹介させていただきます。
「フルタイムで働く人が貧困の中で家族を養うことがあってはならない。 この点では圧倒的な国民が賛同している」とオバマ大統領は訴え、「大統領令を出して、政府の契約職員の最低賃金を時給10.10㌦(約1030円)まで引き上げると表明しました」
「また、企業経営者や自治体首長に最賃引き上げを呼び掛け、国の最低賃金を『現在の同7.25ドル(約740円)から同10.10㌦に引き上げる法案の可決』を求めました」
「 なぜ、オバマ氏は最低賃金の引き上げを提起したのかー」
「オバマ氏は昨年12月の経済演説で、富裕層や大企業さえもうかればいずれ庶民におこぼれがしたたりおちてくるという『トリクルダウン理論』を批判。『この理論が顕著になる中で富裕層課税は減らされ、万人を豊かにするための投資は消え去った」「経済は、成長がより広く共有されるときに最も成長する」と述べ、「「中間層支援こそが必要だと指摘しました」
島田記者によれば、「米国ではブッシュ前政権による富裕層減税などによりトリクルダウン理論に基づく政策が長く進められてきました。 その結果、米国の最富裕層10%が国民の収入全体に占める割合は、30年前の35%から50%となっています。 現在の格差の規模は世界大恐慌前年の1928年以来最大とされます」
「経済成長には賃上げで国内需要を刺激することこそが有効だ、ということは、米国の多くの経済学者が主張しています。 米国の『経済政策研究所』(EPI)は昨年12月の報告書で『消費者の需要が抑制されている時期には、最低賃金を引き上げることが経済活動全体にある程度の勢いをつける』と指摘」
「最低賃金を2016年までに段階的に10.10㌦まで引き上げれば約220億㌦(約2兆2500億円)の経済活動が新たに生まれ、雇用も増えて国内総生産(GDP)はお0.3%伸びると試算しています」
「ノーベル賞経済学者のスティグリッツ氏らは1月14日、オバマ氏や上下両院の与野党幹部に宛てた公開書簡で『最低賃金の引き上げは、需要を伸ばし、雇用を増やす刺激的効果がある』と強調しました。 書簡に賛同を表明した経済学者は600人を超えています」
安倍政権との賃金、雇用政策の違いを痛感させられます。
全労連の大黒作治議長は、「賃上げは、自動的についてくるものではなく、たたかいとるものだ」と訴えています。 大いに期待しています。 同時に労働者と労働組合の要求実現のために連帯していきたいと思います。