「神奈川新聞」19日付、「論説・特報」欄に登場した思想家・内田 樹氏は、安全保障関連法案の衆院強行採決について、次ぎのように語っています。
「安倍政権の選択肢は強行採決しかありませんでした。 もし、ここで法案を撤回すれば、その瞬間に安倍首相の党内求心力は失われます。 いきなり政治生命がなくなる。 しかし、国会審議が長引けば長引くほど内閣支持率は下がる。 低い支持率のときに強行採決をして、支持率がさらに下がると内閣支持率20%台という『死に体』水域に突入するリスクがある」
「だからいつ強行採決するかの見極めが難しかったのです。 安倍首相は強行採決を『選んだ』わけではなく、それ以外に政治的に生き永らえる選択肢がなかったのです」
内田氏は、18日付の同紙の同欄で、若者たちの行動について語っています。 大変、示唆に富んだ内容で励まされました。 以下、紹介させていただきます。
「国会前の抗議行動で中心になっている学生団体『SEALDs』(シールズ=自由と民主主義のための学生緊急行動)をはじめとする20代の若者たちです。 僕は以前から『いまの20代には期待できる』と思って、そう言ってもきましたが、彼らの運動の自由と創造性は予想を超えるものでした」
「若者たちは今が巨大な歴史的転換点であること、日本社会が移行期的混乱のうちにあることを直感的に理解しています。 今の仕組みは長くは続かない。 いずれ腐り、崩壊するということが分っている」
「彼らは、1950~70年代の学生運動家たちとは全く感触が違っています。 できあいの政治イデオロギーや政治綱領によって組織されているわけではない。 そういう既存の枠組みから外れたところから出てきた運動体です」
さらに、同氏は、「彼(安倍首相)にはもう前に進むしか選択肢がない。 でも、今からも日々支持率は下がり続けるでしょう。 60日後までに支持率を30%以下に引き下げることができるかどうか、市民たちの運動は差し当たりそれを目的にすることになろうかと思います」と語っています。
19日付の「毎日新聞」の世論調査では、不支持率が51%の過半数を超え、支持率は35%に急落。 同日の「共同通信」の調査では、不支持率は51.6%に、支持率は37.7%と初めて逆転しました。
また、「共同通信」調査では、安倍政権が安全保障関連法案の政府説明に関し、「公明党支持層の94.2%が『十分に説明しているとは思わない』と回答、6月調査の77.7%より16.5ポイント増えた。 自民党支持層では、『64.4%が説明不十分』と回答」していることが注目されます。
18日の大和市内3駅での「アベ政治を許さない」アピール行動には、40人以上が参加し、寄せられた署名は200筆を超えました。 また、教会関係者とも自主的な共同行動になったことも特徴でした。