長尾景虎の戯言

読んだり聞いたりして面白かった物語やお噺等についてや感じたこと等を、その折々の気分で口調を変えて語っています。

私は口笛が嫌いです。

2017-06-28 18:30:02 | 日記・エッセイ・コラム
口笛を聴くと、人を小馬鹿にしているように聴こえます。
被害妄想かもしれませんが、どんな美しい口笛でも嫌です、気分を害します。
例えば、犬を呼ぶとき口笛で呼ぶ場合がありますが、人間に対してやったら屈辱です。
その意味で私は、絶対に口笛は嫌いです。
人間は言葉があります、口笛で人を呼んだり、指図したり、これは傲慢です。
私は絶対に許しません!!
そんな人間は再起不能にするほど、強烈な攻撃をします。
私は正義だと思います。

北村薫著【中野のお父さん】

2017-06-27 17:05:25 | 本と雑誌

田川美希は文宝出版の編集者、学生時代バスケットをやっていた体育会系人間、就職して都心のマンションに引っ越したが、中野に実家がある。
その中野の父は定年間際の国語の教師、どうしてそんなこと知ってるの?と、いいたくなる百科事典タイプの人間だ。
中野のお父さんが快刀乱麻、謎を解く!
{夢の風車}
新人賞最終選考に残った候補者からの思いがけない一言、「応募していませんよ、わたしは」…。
{幻の追伸}
古書店の店主がいう「実は、扱いに困っている手紙がありましてね…」と、ある大物作家に充てた女性作家の手紙には愛の告白?…。
{鏡の世界}
亡くなって十年以上経つ大物作家、その作家は画集も出す。
その作家の子息から未発表の画帳があったとの話がくるが…。
{闇の吉原}
落語好きのミステリ作家と、歌謡曲好きな若手落語家との対談を担当する美希。
対談の後の雑談で「闇の夜は、吉原ばかり月夜かな」とするか「闇の夜は吉原ばかり、月夜かな」切りかたで明暗を分ける…。
{冬の走者}
中堅時代小説家の誘いで、文宝出版から数名、北関東の地方都市で行われる、市民マラソンに参加することになった。
もちろん、体育会系の美希も参加する。
たまたま、その場所が編集長の出身地であったから、編集長も参加することになったが…。
{謎の献本}
会社の机が新しくなるで、今の机を整理しなければならない。
美希の机の上には、国岡学先生の新刊が置いてあった。
出たばかりの中国古代を舞台にする大作で、その第7巻である。開けば、田川美希様 国岡学と書かれている。
第6巻は机の中に入れてあったはずが…。
{茶の痕跡}
定期購読者の話を聞いているうちに思いもよらない事態に。
「わたしは殺人事件の現場に行き合わせることになったわけです」
{数の魔術}
美希の後輩虎谷紫苑ことトラちゃんが、「宝くじおばさん」の記事を書いた。
おばさんは、三十年も同じ人気売り場で買い続けていた。
当たりの、最高額は百万円。
その「宝くじおばさん」が襲われた…。
以上八編からなる連作短編集。
前回の「太宰治の辞書」より、もっと緩く、ユーモアもきいてぐっと馴染み安い。
これはなかなか面白い、北村薫は新たなキャラクターを生み出したようだ。
体育会系な文芸編集者の娘&定年間際の高校国語教師の父。
「あの、おかしなこと、いいだすとお思いでしょうけど…わたしには父がいるんです。
定年間際のお腹の出たおじさんで、家にいるのを見ると、そりゃあもうパンダみたいにごろごろしている、ただの<オヤジ>なんですけど…謎をレンジに入れてボタンを押したら、たちまち答えが出たみたいで、本当にびっくりしたんです。お願いです。
このこと…父にだけ、話してもいいでしょうか。」{幻の追伸}より


北村薫著【太宰治の辞書】

2017-06-24 01:41:17 | 本と雑誌

「私」シリーズの最新作。
「朝霧」以来か?
それから四半世紀たち、「私」は編集者として働いている、夫も中学生の男の子もいる。
「花火」「女生徒」「太宰治の辞書」の三篇連作の作品。
仏蘭西の海軍将校であり、作家でもあるピエルロチの「日本印象記」を元に、芥川龍之介が「舞踏会」を書いている。
主人公明子は十七歳、仏蘭西語と舞踏との教育を受けていたが、正式に舞踏会に臨むのは、生まれて始めてであった。
フランスの将校が歩み寄っていき、「一緒に踊っては下さいませんか」
鹿鳴館の夜空に上がる花火。
「私は花火の事を考えていたのです。我々の生(ヴィ)のような花火の事を」
暫くして仏蘭西の海軍将校は、優しく明子の顔を見下ろしながら、教えるような調子でこう云った。
三島由紀夫は<芥川は本質的にワットオ的な才能だった>といった。
「舞踏会」は<彼の真のロココ的才能が幸運に開花した短篇>だという。
「私」の親友正ちゃんこと高岡正子は、高校の国語の先生になっていて、職場結婚して、子供は高校生になっている。
その正ちゃんが「ロココっていえば太宰だな」という。
太宰の「女生徒」の中に、ロココ料理なるものが登場するそうな。
正ちゃんは返さなくていいと、「女生徒」を貸してくれた。
有明淑(しず)が書いた日記を元に執筆した作品らしい。
この小説ではロココを<華麗のみにて内容空疎の装飾様式、と定義されてゐたので、笑っちゃった。美しさに、内容なんてあってたまるもんか。純粋の美しさは、いつも無意味で、無道徳だ。きまってゐる。だから、私は、ロココが好きだ。>といっている。
さて太宰の辞書には、ロココは何と書いてあったのだろう?
春桜亭円紫は恰幅もよくなり、大真打ちになってしまった。
その円紫さんが指摘したことだ。
「太宰の辞書には<華麗のみにて内容空疎の>とまで、書かれていないだろうと思います。あまりにも注文通りです。文学的であっても、辞書的ではない」
「<一足す一は?>といった問題ではない。唯一無二の答えが出るようなら、小説とはいえない。それでも、こういったことを考えるのも、作品を読む面白さですね」
その円紫さんの言葉に導かれて、「私」は創作の謎を探る旅に出る…。
はっきりいって、この小説は私にはよく分からなかった…。
何か文学論を北村薫が、ぶっているだけという印象しか残らない。
高校生の頃、芥川龍之介、森鴎外は図書室で読んでいたが、太宰治は読んでない。
確か「舞踏会」は読んだ記憶がある。
短篇というよりショートショートみたいな短い小説だったくらいしか記憶がないが…。
「太宰治の辞書」では他にも、菊池寛やら遠藤周作やらはては、詩人の萩原朔太郎なんか出てくる。
その上名前を聞いても知らない、文芸評論家や海外の作家も登場するのでうんざりする。
お笑いコンビのピースの又吉直樹(芥川賞受賞)は、太宰治に心酔しているらしい。
太宰の魅力は<一行で引き付ける>ところだそうな。









パコ・デ・ルシア

2017-06-23 09:29:24 | 日記
Youtubeでパコ・デ・ルシアの演奏を見た。
久しぶりに{二つの河」(大きな河)(小さな河)を聴けた。
まるで機関銃のような超高速な指裁き。
スケールもトレモロも超高速で、ラスギャードも切れがいい。
髪がフサフサしていた若い頃のと、禿げあがった晩年のものもあったが、どちらもいい。
禿げ頭でもかっこいい人って、渋いと思ったし、演奏にも円熟味が加わっていた。
2014年2月25日没 享年66歳 実におしい!

有栖川有栖著【菩提樹荘の殺人】

2017-06-19 10:57:11 | 本と雑誌

表題を含む四つの物語、いずれも<若さ>という共通のモチーフがある。
「アポロンのナイフ」
東京都下で通り魔連続殺傷事件が発生した。
犯人は美少年で、顔と氏名を伏せた指名手配となっていた。
そんな折、大阪でも高校生男女の刺殺体が発見される…。
「雛人形を笑え」
売り出し中の漫才コンビ(雛人形)の片割れ、メビナこと矢園歌穂が自宅で殺された…。
「探偵、青の時代」
梅田をウロウロしていた有栖川有栖、突然三十代の女性に声を掛けられる。
英都大学の社会学部に在籍していた阿川アリサだった。
西天満の法律事務所で働いていた。
その関係で火村准教授と有栖川が、警察の捜査に首を突っ込んでいることも知っていた。
「お茶でもどうか?」と二人で喫茶店に入り、そこで阿川から有栖は、学生時代の火村の探偵としての片鱗をうかがわせる話を聞かされる…。
「菩提樹荘の殺人」
瀟洒な邸宅の広大な庭。
池の畔、菩提樹の大樹の根元に転がる肉体美を誇った男の死体。
上塗りされた虚飾が剥がれ落ちてゆく。
アンチエイジングの寵児の死…。