謎と人情が絡み合う〈鼠〉シリーズ第12作目。
江戸を騒がす大泥棒、目明しとなり悪を討つ!?
昼は遊び人の、通称甘酒屋こと次郎吉、その本業は義賊の大泥棒〈鼠〉。
恨み嫉みが蠢く町を情の光で照らすため、鼠は今日も江戸を駆け巡る。
弱きを助け、強きから「盗む」大泥棒の今宵の獲物は…---
〈壱〉『鼠、無名橋の朝に待つ』
凍えるような雨の朝、古びた橋の上にたたずむ娘「真美(まみ)」、彼女の待ち人とは。
〈弐〉『鼠、十手(じって)を預かる』
捕物に遭遇した次郎吉、成り行きで負傷した目明し「定吉」の代わりを務めることに。
〈参〉『鼠、女にかげを見る』
小袖が浪人から助けた女「紫乃(しの)」。「いずれ斬られて死ぬ身」と語るその理由は。
〈肆〉『鼠、隠居を願う』
千草が殺しの疑いでお縄に。隠居武士「藤原赤山(ふじわら せきざん)の妾(お葉)」宅で起きた事件を解き明かす。
〈伍〉『鼠、獣の眼を見る』
江戸中を恐怖に陥れた、人をかみ殺す赤い眼の狼。狼を操る女「寿賀(すが)?」の目的は。
〈陸〉『鼠、恋心を運ぶ』
奉公先で漆の箱に入った書状を託された「お里」。運び出すのは命がけで—。