長尾景虎の戯言

読んだり聞いたりして面白かった物語やお噺等についてや感じたこと等を、その折々の気分で口調を変えて語っています。

浅田次郎著【天子蒙塵第三巻】

2019-04-23 18:21:02 | 本と雑誌

希望の地を目指し海を渡った少年二人。
新天地から始まる果てしなき道へ。
運命に導かれ、それぞれの楽土を目指せ。
満州の怪人・甘粕正彦、男装の麗人・川島芳子、欧州に現れた吉田茂。
昭和史最大の事件「日中戦争」前夜、大陸に野望を抱き、夢を摑もうとする者たちが動き出す。
そして、希望の光をまとい、かつての英雄が中原の彼方に探し求めた男がついに現れた。
その名は…。
関東軍は白虎張(パイフーチャン)こと、東北王(トンペイワン)張作霖(チャンヅオリン)を謀殺した。
そして張作霖が制覇した東北を、まんまとかすめ取り、そこに満州国を打ち建てた。
そして共和制をしき、清朝最後の皇帝・愛新覚羅溥儀(アイシンギョロ・プーイー)をその執政とし、やがては王政に変えるつもりであった。
表向きだけ設えたが、その実は日本の属国、傀儡国家であり、国際連盟は満州国を独立国家とは決して認めようとはしなかった。
だが日本国内では、満州は王道楽土ができたとして、一旗揚げたいってな輩は、とにかく行けと浮かれていた。
執政溥儀にとって、痛打となったのは、関東司令官及び関東長官及び駐満全権大使を兼務した、頼みの武藤大将の急死だった。
ここにもなにか謀略あったのでは?…。
張作霖の息子であり、その跡を継いだかつての東北王の張学良(チャンシュエリャン)は、軍を蔣介石(ジャンジェシイ)に託しイギリスに逃れた。
阿片中毒も治り、ようやく体重も増え体は回復したが、心はまだ病んだままだった。
一方、蒋介石は日本軍と戦わず、紅軍(ホンジュン)共産軍と攻防を続けていた。
その紅軍を指揮するのが毛沢東(マオヅオトン)であった…。
むしろ日本軍と闘っていたのは、かつて張作霖の側近であった馬占山(マーチャンシャン)率いる馬賊たちだった。
神出鬼没の活躍で、中国民たちに人気があった。
蒋介石も馬占山も、張学良が戻ってくることを、強く希んでいた。
さて、天命の具体・龍玉(ロンユイ)を預かる、かつて東北軍の将軍だった李春雷(リチュンレイ)は、野に下ってひっそりと中原の虹の彼方に白虎張が探しあぐねた人が現れるのを、ひたすら待っていたのだった…。
第四巻に続く…。(近日公開予定)

東直己著【ライト・グッドバイ】

2019-04-11 17:15:02 | 本と雑誌

2005年12月10日初版印刷 2005年12月15日初版発行
〈ススキノ探偵シリーズ〉
〈俺〉が五十路を翌年に迎えようする頃。
「殺人容疑者と親友になれ」
退職刑事が持ち込んだ厄介な依頼。
それは〈俺〉にとって生涯最低の冬のはじまりだった。
馴染みの退職刑事種谷から突然の連絡。
呼び出しに応じた〈俺〉を待っていたのは「殺人容疑者と親友になれ」という頼みだった。
未解決のままの女子高生行方不明事件の証拠を見つけるため、容疑の濃厚な男の家に上がるまでになれ、ということらしい。
〈俺〉は、バーでの偶然の出会いを装い、男に近づくことを企む。
そしてそれは生涯最低の冬の幕開けでもあった…
行方不明なのは邑隅(むらずみ)エリカ、当時公立高校に通っていた一方、花屋でバイトしていた。
しかし、その花屋へ向かう途中、忽然と消息を絶った、これが一昨年の春のことだった。
この花屋の店主が怪しい…が死体が出ていない以上、警察も手が出せない。
その男の名は檜垣紅比古(ひがきあきひこ)。
種谷はこの男と親密になれというわけだった。
だが、この檜垣は頭がいかれてて、変態で嘘つきでしかもマザコンだった。
〈俺〉としては、絶対に傍によりたくないタイプだったのだ。
何故か小椋良一の名刺を〈俺〉に渡して、自己紹介した、実に胡散臭い。
〈俺〉も人のことはいえない、酒井と名乗り大手小売業の会社をリストラされたことにした。
これからが難行苦行の毎日となるのだ…せっかくのサウダージが不味くなる…堪り兼ねた〈俺〉は一計を案じるのだが…。
やはり本物は面白い、私は『探偵はBARにいる3』をはっきりいってここで揶揄しているであります!

東野圭吾著【雪煙チェイス】

2019-04-05 19:16:57 | 本と雑誌

無実の証人を捜せ!追跡者(チェイサー)が来る前に。
ほんのちょっとした行き違いから、殺人犯として警察から追われる身となった、開明大学4年生の脇坂竜実は事件発生の時、新月高原スキー場にいたことを証明してくれる、正体不明の美人スノーボーダー(竜実らは女神と呼ぶ)を捜しに、日本最大級のスキー場・里沢温泉スキー場へ親友の波川省吾と向かう。
一方それを追うのが、「本庁より先に捕えろ」と命じられた所轄の小杉敦彦刑事とその後輩の白井刑事だ。
さて村人も巻き込み、広大なゲレンデを舞台に予測不能のチェイスが始まるわけだが、どんでん返しの連続で、まったく息もつけないような、終盤は驚嘆に値する内容である。
もう一方では、ゲレンデで結婚式を行うという、企画ができ、着々と準備が進められていた。
果たして、竜実達は無事女神を見つけることができるのだろうか?実はその女神とはニアミスしていたのである。
ということどすんえ(^^♪
この「里沢スキー場」を舞台にした作品は、『白銀ジャック』『疾風ロンド』『恋のゴンドラ』に続く第四作目になるんどす、どれも面白いよってに、どうぞお読みくださいませ♪
文庫本書き下ろしは、この著者にとってこのシリーズのみだと思いますよって、間違うてたらすんまへん。
今回は莫連女は登場しまへんのどす、もし莫連女ファンの方おいでどしたら、どうも申し訳ございません。
そのうち、宮部みゆきはん5連発をやったように、莫連女シリーズでもやってみまひょかと思てるんどすけど、莫連女口調でブログ書くのんって、ほんま大変どすねんえ…。
うちには京女の口調が一番楽どすねん…♪