2003年8月18日 第一刷発行
凄腕の始末屋として恐れられた榊原健三は、今では人目を避けて山奥で暮らしていた。
ある日、山を下りた彼の目に飛び込んできたのは、テレビに映ったかつての恋人・多恵子の姿だった…。
事件に巻き込まれた多恵子の息子を救うべく、健三は単身札幌へと向かう。
だが、彼女の息子が巻き込まれたのは、単なる人質事件ではなかった…。
スピーディーでスリリングな展開のハードボイルド長編作品であり、最後まで息は抜けない、きわどい狭間で物語は推移してゆく!!
暗躍する、道警のやくざな青柳班が、執拗に行動を起こす!
北栄会花岡組本家の若頭の中でも最も羽振りのいい、桜庭組組長の桜庭忠敬の配下が素早く動く!
最後絶体絶命の状態に追いやられ、そこから脱出することができるのか…?
第54回日本推理作家協会賞受賞作品。
それでも、軽妙なタッチは忘れていなかった。
それもそのはず、共演者として、「探偵はバーにいる」の主要登場人物総出演。
〈俺〉はそのままではややこしいので、お馴染みの組長桐原に持谷良比古という名前を、行きがかり上つけられるが、もっぱら便利屋で通っている。
桐原の片腕(若頭)相田は難病で身動きできなくなっていたが、その分小林が動いている。
北海道日報のホモの松尾も登場する。
〈俺〉の相棒高田はショットバー経営とFM放送のディスクジョッキーをやっている。
もう〈俺〉も高田も中年のおっさんになっている。
〈俺〉はすっかり太ってデブ扱いされている…。
始末屋と弱小やくざの組と便利屋が幼い男の子・高見沢恵太を、無謀にも大組織(その中に道警も含まれる)の魔の手から守ろうとする!
持谷となった〈俺〉は呟く「・・・もしかすると、俺、今回、死ぬかもしれねぇな」と。
それに対して桐原も「俺もだ」と呟く…。