長尾景虎の戯言

読んだり聞いたりして面白かった物語やお噺等についてや感じたこと等を、その折々の気分で口調を変えて語っています。

樋口有介著【少女の時間】

2018-03-29 19:14:35 | 本と雑誌

柚木草平には美女が似合う…。
そういうても、今度ばかりは美女がぎょうさん出てきて、草平はんもたじたじで、いつものようにはいけしまへんのえ!
月刊EYES編集部経由で、大森で発生した未解決事件を調べ始めた柚木。
二年前に東南アジアからの留学生を支援する組織で、ボランティアをしていた女子高生が被害にあった事件だが、調べ始めた途端に関係者が急死する事態に。
事故か殺人か、美人刑事に美人母娘、美人依頼主と四方八方から美女が押し寄せる中、柚木は事件の隠された真実にたどり着けるのか…。
いつもの月間EYESの新米編者の小高直海の口車にのり、迷宮入り間近の女子高生殺害の事件を調べる柚木草平であるが…。
環太平洋古代文明を研究する美人の枝沢柑奈、彼女こそが直海と交流がある…そしてエキセントリックな美女山代千絵とその娘の完璧なるまでの美少女の美早、そして女子高生事件を執拗に追いかける、多摩川署刑事課の美人の吹石夕子巡査部長と、美女だらけと相対することになる…。
しかし、今回も柚木なりの解決が待っている…。
それにしても、なんで柚木草平はんは、女子高生と縁がありますんやろな…?


東野圭吾著【名探偵の掟】

2018-03-21 19:31:20 | 本と雑誌

読んだ最初の感想として、松田優作ではないが「なんじゃこりゃ!」であった。
著者の本格推理物の様々なお約束事に甘受する作家や読者に対する、提議或は挑戦又は叱責と捉えるべきなのか…。
はっきり言って、私は作家東野圭吾が本格推理小説を執筆することに倦み、乱心したとしか思えない。
その後も気が狂った状態で、ベストセラー作を書き続けているが、気ちがいと何とかは紙一重の世界ではないだろうか?
とにかくこの作では、寅さんじゃないけれど「それをいっちゃおしめぇよ」の連発である。
プロローグ(脇役の憂鬱・前半)第一章 密室宣言 (トリックの王様)第二章 意外な犯人(フーダニット)
第三章 屋敷を孤立させる理由 (閉ざされた空間) 第四章 最後の一言 (ダイイングメッセージ)
第五章 アリバイ宣言 (時刻表トリック) 第六章 『花のOL湯けむり温泉殺人事件』論 (二時間ドラマ)
第七章 切断の理由 (バラバラ死体) 第八章 トリックの正体 (???)
第九章 殺すなら今 (童謡殺人) 第十章 アンフェアの見本 (ミステリのルール) 第十一章 禁句 (首なし死体)
第十二章 凶器の話 (殺人手段) エピローグ (脇役の憂鬱・後半) 最後の選択 (名探偵のその後)
完全密室、時刻表トリック、バラバラ死体に童謡殺人。フーダニットからハウダニットまで、12の難事件に挑む名探偵・天下一大五郎。
すべてのトリックを鮮やかに解き明かした名探偵が辿り着いた、恐るべき「ミステリ界の謎」とは?
本格推理の様々な”お約束”を破った、業界騒然・話題満載の痛快傑作ミステリと書いてあるが…。
脇役代表として大河原番三警部が登場して、その悲哀を語るのだが…。
私がこの著者の作品を読んだ中で「殺人の門」「手紙」に続く、大っ嫌いな駄作であると思う。
最後に解説者が何頁もさいて、本格推理論を熱く語っていたが…読者が求めているのはエンターテイメント性であるので、そこを勘違いしてはいけないと私は思う!
作中に時刻表や屋敷の図面等を提示しても、読者の殆どが無視するって書いてあったが、あったりまえだろう!!
作家が独りよがりで書いた作品は、見向きもされず売れないと思う…。
私は元々、横溝正史のおどろおどろした世界にはまって、ミステリを読むようになったので、本格推理小説は嫌いではないが、読者もちゃんと謎解きしなさいって、書き手に強制されるいわれはないのである。
息抜きに本を読んでいる人間にとって、もっと気楽に本を読みたいのであるだ(^^♪

東直己著【猫は忘れない】

2018-03-15 17:07:07 | 本と雑誌

お馴染み『探偵はBARにいる』シリーズ。もう12作目だそうだ。
〈俺〉はもう五十坂を越えて、相変わらずのデブ、サイドベンツのダブルのスーツを着込んで、ススキノを呑気に闊歩している。
恋人の華は、〈俺〉が変なことに関わらないように目を光らせている…。
友人の高田も相変わらず、ショットバー経営とFMのDJを続けている。
桐原組の桐原組長も相変わらずだが、小林が抜けた、相田は脊髄小脳変性症という難病で寝た切り。
桐原は自社ビルのワンフロア半分を、相田のための部屋にして、さまざまな設備を入れ、何人ものヘルパーを雇い、チーフとして石垣という男も雇い、石垣チームをフル稼働させて、交替で二十四時間、相田を介護している。
今の相田にできることは、瞬き。そして、もつれた舌でなにかを語ること。なにを話しているかは、桐原しか理解できない。
さて、知り合いのスナックママ、ミーナから、旅行中の飼い猫の世話を頼まれた〈俺〉は、餌やりに訪れたマンションで、変わり果てた姿となった彼女を発見する。
行きがかりから猫のナナを引き取り、犯人捜しを始めた〈俺〉は、彼女の過去を遡るうちに意外な人物と遭遇、事件は予想外の方向へと進展するが…。
猫との暮らしにとまどいながらも、〈俺〉はミーナの仇を取るためにススキノの街を走り抜ける。
〈俺〉は自分で猫のナナに話しかけておきながら、「だから猫に話しかけんなって」と自分にブツブツ言っているのだ…。
ナナは白黒まだらのミックス、〈俺〉に懐いているのかどうか、どうにも分からない。
青泉ビルの〈俺〉の部屋のドアの前に立つと、チリンチリンと鈴の音が聞こえてきて、キーを差し込むと「にゃー」と鳴く。
ドアを開けると瞳孔の開いた目で〈俺〉を見上げる…。
部屋では本棚の天辺がお気に入りの場所のようだ、棚には「吾輩は猫である」もある…。
桐原と〈俺〉が、六十型の液晶大画面で、イッセー尾形の神業的一人芸のDVDをのんびり見ている場面は、ハードボイルドなのになんかゆるいなと思えるし、随分マニアックだな…。

あなたは花粉症ですか?

2018-03-08 19:12:56 | 日記・エッセイ・コラム
いったい誰に訊いているだい?
こちとら、慢性的アレルギー性鼻炎で筋金入りなんでぇ!
この冬のくそ寒いのには閉口したぜ、鼻が冷えるとアレルギーが出ちまうんだよってんだい!
お医者行って、アレルギーや鼻炎の薬もらって、なんとか凌いでいたんだが…。
それが急にあったかくなりやがって、一挙塊の大軍でスギ花粉が襲来してきちまって、くしゃみ・鼻水・涙が出て、目がかゆい…いや顔中がかゆいってんだい!
めがねにマスクがねぇと、外にも出られねぇってんだい!
薬も効きゃしねぇ…。
間違って花粉が口に入りゃ、即、下痢だぜまったく始末におけねぇってんだ!
発酵食品がいいってんで、ヨーグルトと発酵バターが塗ってあるビスケットに納豆にキムチに味噌汁を食ってるけどな…。
高野豆腐もいいって聞いたけど、大豆製品ばっかじゃねぇかよ!
酒も発酵飲料だけんども、効き目あるだろうかね?
雨が降っても油断ができねぇ、花粉は漂よってやがる!
もう目はうさぎさんの目になっちまったよ(アレルギー性結膜炎)…。
こんなくそたれな、お題を出すんじゃねぇよ!

山本一力著【損料屋喜八郎・始末控え】

2018-03-08 18:31:45 | 本と雑誌

2003年6月10日 第1刷 単行本2000年6月 文芸春秋刊
上司の不始末の責めを負って同心の職を辞し、刀を捨てた喜八郎。
庶民相手に鍋釜や小銭を貸す損料屋に身を落とし、与力の秋山や深川のいなせな仲間たちと力を合わせ、巨利を貪る札差たちと渡り合う。
田沼バブルのはじけた江戸で繰り広げられる息詰まる頭脳戦。
著者の事実上のデビュー作である。
『万両駕籠』
米屋の政八が店仕舞いをしたいと言い出した。
元々先代と違い札差業にむいている人間でもなく、度量も欠いていたのだ。
喜八郎は先代との約束を果たすべく動き出す。
そして一番の大店の札差の伊勢屋も動き出す…。
『騙り御前』
幕府からの棄捐令で苦渋をなめた札差伊勢屋と笠倉屋が組んで、意趣返しにと、米屋を巻き込んで何か企んでいるようだが…。
『いわし祝言』
深川料亭江戸屋の板長清次郎が、おゆきとの祝言を前にして、なにやら様子がおかしいと、江戸屋の女将秀弥が喜八郎に相談を持ち掛けた…。
江戸屋の女将にも板長にも以前世話を掛けていた喜八郎は、侠気を発揮し真相を探ろうとするが…。
『吹かずとも』
笠倉屋が年の瀬の返済に窮していた。
やけくそになって、何やら大それたことを企んでいるようだ…。
以上四篇になる、連作での長編作、喜八郎のいる深川と札差達がいる蔵前とを対比して、江戸情緒豊かに描いていく。