長尾景虎の戯言

読んだり聞いたりして面白かった物語やお噺等についてや感じたこと等を、その折々の気分で口調を変えて語っています。

宮部みゆき著【R.P.G.】

2018-05-20 16:31:00 | 本と雑誌

2001年8月25日 第1刷
ロール・プレーイング(Role-playinng)実際の場所を想定し、さまざまな役割を演じさせて、問題の解決法を会得させる学習法。役割実演法。
ネット上の疑似家族の「お父さん」が刺殺された。
その3日前に絞殺された女性と遺留品が共通している。
合同捜査の過程で、『模倣犯』の武上刑事と『クロスファイア』の石津刑事が再会し、2つの事件の謎に迫る。
家族の絆とは、癒しなのか?呪縛なのか?舞台劇のように、時間と空間を限定した長編現代ミステリー。
著者初の文庫本書き下ろし作。
刺殺された男の家では、その男の浮気癖でほとんど家庭崩壊を起こしていた、だがその男はネットで仮想の家族ごっこにふけっていたのだった…。
はたしてあなたは、著者が仕掛けた罠を見抜けるか?


葵祭

2018-05-15 18:46:07 | 日記・エッセイ・コラム
今日はほんまに暑おしたな、襦袢が汗でジュクジュクになってましたんえ。
葵祭り見に行ってましたんどすけど、日傘片手に、もう片手にミネラルウオーターのペットボトル。
デジカメで写そう思てたのに、手があいてまへんよって、最後まで撮れずじまい♪
葵のお祭りって、いつも天気がへんで、こない晴天で暑い日なんて、めずらしいんどす。
またいつでも撮れるなんて思てたら、あてがはずれますよってに…。
お衣装着てお祭りで歩いてはるお人も、汗かいて大変どしたやろな…。
斎王代はんがお通りになるときは、可憐でほんま、胸がキュンとしましたえ!
葵祭りって歴史がおすんやろけど、うちなんかにはようわからしまへんの。
それでも綺麗なお衣装着はって、静々と歩いてるお姿は、なんや雅どすな…。
お祭りが終わったら、さっさと帰って、着物脱ぎ捨てて、シャワー浴びて、浴衣に着替えて、よう冷えた柳かげ飲んで、一息どすな。
アテは鯉の洗いに冷奴に黒豆の枝豆どす…。
そんでも、これで青菜が入ったら落語になるますよってにな♪

山本一力著【サンライズ・サンセット】

2018-05-14 11:17:01 | 本と雑誌

時代小説の名手が現代小説を執筆、しかも舞台は江戸からニューヨークへ。
変わらぬ人々の営みが、滋味深く心に沁みる…。
江戸とマンハッタンは似ている!
『ホワイト・キャブ』
田舎町に住むマーサは、亡き夫との思い出の地、ニューヨークに降り立った。
同行した孫の反対を押し切り、タクシーではなくリムジンに乗り込んだマーサ。
ドライバーは、高値を吹っかけようとほくそ笑むが…。
『ピクルス』
古書店店主・アンソニーは、地上げのあおりを食って閉店するグリーンマーケットの店主のために、あることを計画した。
マーケットを愛していた大勢の住民たちが集い、奇跡のような一夜が幕を開ける…。
『キューバン』
キューバン・カフェの名物は「コーン・スペシャル・アラ・ハバナ」である。
ナディアの父親ルピオが作り出した、焼きトウモロコシだ。
こども時分に祖国キューバで食べた味を、記憶をたどりながら仕上げた一品である。
店は盛況で客は列を作って待っている。
ところで、店のある通りは美観保持にうるさく、ゴミが朝8時を過ぎても店先に出ていたら、風紀委員会からクレームがくるのだ…。
『バーバー・プンチャン』
メイリンが再びウォール街の床屋に働き口を得て、わずか5年しか過ぎていなかった。が、街は大きく変わっていた。
一番の違いは客が大きく減っていたことだ。
収入も少なかったし、住んでいるクイーンズからの通勤には1時間近くかかった。それでも街の雰囲気が好きで、メイリンは通い続けた…。
『C・P・D』
ニューヨーク市では13歳以下のこどもが単独で遠くに出かけることを禁じていた。
そんな中、パトリックと親友の澄晟(チョウセイ)はある冒険を計画していた…。
『グリーンアップル』
マックは14年前、22歳で志願入隊していた。
除隊してのそれからは…アメリカでは戦闘に向かった兵士には、ひどく冷たい態度を取るらしい…、ランボーで描いたように、ベトナム戦争の英雄でさえ、浮浪者以下の扱いだった。
日本では復員してきた兵隊さんには、結構手厚く迎えたと聞く、ただし、勝手に戦争して敗戦した、職業軍人に対しては冷たい態度だったそうだ。
とにかくマックは、JFK空港に向かうために、タクシーを捕まえようとしたが、イエローキャブはいなく、最近見かけるようになった、アボカド色のキャブに乗った。
「JFK空港だけど、いいかい?」
「規則ではダメだけれど、イエローキャブがいないから、いいよ」
マックは何故か、遠回りの道を指定し、20ドル札を、ドライバーに差し出した。
ドライバーの名はトム。
トムもかつてはイラクへの兵隊としてその地を踏み、闘っていたのだった…。
江戸もニューヨークも変わらぬ、著者の語り口、何故だか可笑しくなって、それでも江戸人情もニューヨークの人情も変わらぬ情緒として描いているのが面白い♪一力節は不変である!
樋口有介の時代小説に、山本一力の現代小説、本当に至極興味深く味わった。



樋口有介著【初めての梅・船宿たき川捕物暦】

2018-05-13 22:10:15 | 本と雑誌

この著者唯一の時代小説シリーズ。
二代目米造を襲う江戸の闇。
武士を捨て、鉄扇ひとつを身に帯びて、二代目米造がゆく…。
有名料亭の娘の不審死を追う米造に襲いかかる江戸の闇。
強欲な与力、衆道狂いの札差、謎の浪人、山伏くずれの博徒…。
米造に強い殺気を送り消えた、長身痩躯の謎の浪人の思惑は…。
真木倩一郎は武士を捨て船宿「たき川」へ婿入りし、二代目米造を襲名してすでに、三月近くたつ。
船宿の亭主といっても実態は江戸の目明し三百人を束ねる、蚯蚓(みみず)御用の元締め。
蚯蚓御用とは地の底に身をひそめ江戸の治安を守る役目、というほどの意味らしく、三代将軍家光の世に松平伊豆守が定めた制度だという。
ミミズとは目見えずの転化、目の見えないミミズを皮肉って目明し、または蚯蚓の字から虫を外して丘を岡に読みかえたことから、蚯蚓御用を「岡っ引き」と呼称する。
倩一郎は小野派一刀流佐伯道場の師範代として、同じく師範代の七之助と佐伯の青鬼・赤鬼と名を馳せた。
しかし今回この二人の腕をも凌ぐ、凄腕の三枝多門と名乗る謎の浪人者が登場する…。
二人の距離が一間にまで迫り、突如多門の口から野犬の絶叫に似た、「きえーっ」という気合がほとばしる。
同時に多門の躰が二尺ほど宙に浮き、ふりかぶった刀が米造の頭頂めがけて、稲妻のように打ちおろされる。
米造は腰の鉄扇を抜き、左腕の肘で額をかばいながら、多門の打ち込んだ刃を鉄扇の親骨で、がきっと受ける。
…多門が二の太刀に備えて刀をひけば、米造がその間合いで多門の懐へ飛び込み、鉄扇に仕込んである小柄で相手の腋の下をえぐる。
また逆に、米造のほうからその技を仕掛ければ一拍だけ多門の側に余裕が生じ、米造の肩から背中は深々と斬りさげられる。
息詰まる両者の攻防…。
「真木倩一郎、お主が小野派一刀流に合わせて、富田流小太刀まで使うとは、知らなんだわ」
「俺も示現流にお前さんのような太刀筋があるとは、知らなかった」
「俺の剣など生まれつきの我流だ。だが真木、お主がなんと思おうと、俺は田沼の飼い犬でないぞ。そのことだけは、心得ておくがいい」
田沼意次が老中の世、賂がまかり通り、札差が横行し…。
そんな世に蚯蚓御用はいかに動くのか?
二代目米造がひきいる蚯蚓御用は、初代から受け継ぎ、決して没義道を許さない!
それにしても、蚯蚓御用かなんか知らんが、どれだけ酒飲んでるねん!
なんかいうたら酒飲んどるで…とひとのことはいえない、私もなにかと酒を飲んでいるのである(^^♪
しかしそれがこの著者の矜持かもしれぬ!
第一作とは違い、真木倩一郎から二代目米造に変身した、その後はなかなかかじ取りが難しい…。

[月琴亭の殺人/ノンシリアルキラー】

2018-05-13 21:22:05 | 日記
芦辺拓著【月琴亭の殺人/ノンシリアル・キラー/ダブルミステリー】
表から始まる「月琴亭の殺人」と裏から始まる「ノンシリアル・キラー」の二編のダブルミステリー。と言ってもそれぞれ別々のミステリーとサスペンスながら、実はつながっている。最後の謎......

この小説は表から読んでも、裏から読んでも、ストーリーがつながっていたのは、この著者の技量だと推察する。
本格推理小説を極めようとする、著者の意気込みが感じられる!