長尾景虎の戯言

読んだり聞いたりして面白かった物語やお噺等についてや感じたこと等を、その折々の気分で口調を変えて語っています。

近藤史恵著【ホテル・ピーベリー】

2017-12-19 18:28:06 | 本と雑誌

木崎淳平は小学校の教師だったが、生徒の早希に本気で恋をして、学校を追われた。
心に傷を受けて、何もしないでぶらぶらしていたら、友人の杉下に勧められ、ハワイのヒロの町から車二十分くらいの場所にあるホテル・ピーベリーに3カ月ほど滞在することになった。
何故か宿泊するのは一度きりで、リピーターとして再び訪れることを許さない、それに滞在は最長三カ月までという。
そこは日本人が経営する、ホテルとにしては小さい、六部屋だけのこじんまりとした宿だった。
白いバンで空港に迎えにきたのは和美という、日本では受け入れられないようなラフな格好した、あまり色気のない痩せた小柄な中年の女性だった、ちょうど一緒になった桑島ナナという若い女性とホテルに向かった。
ホテルには先客の佐奇森真と蒲生裕司がいた。
それに、夜プールで泳いでいる青柳…日焼けが嫌で、夜だけ行動しているらしいが、「楽しみにしてろよ。きっとおもしろいものが見られる」と淳平に告げた。
和美の亭主洋介は不愛想で、昼間はコーヒーショップで働いてホテルにはいない。
ふとしたきっかけから、淳平は意外な一面を見せ色気のある和美と接近した、彼女は淳平を優しく受け入れてくれた…。
ホテルに来て二週間が経ったころ、淳平がオアフ島を訪れていたとき、蒲生がプールで溺れて死んだ。
蒲生と名乗った人間は、嘘の住所や電話番号を書いていた…。
何故か青柳は、そそくさとホテルを出て行った。
しかしバイクの事故で、彼もまた死んだ…。
淳平の心が癒え始めようとした頃、のんびりしたハワイ島で事件は起きたのだった…。
驚愕のミステリ!!

高田郁著【あきない世傳金と銀(二)早瀬篇】

2017-12-13 17:27:30 | 本と雑誌

学者の娘として生まれ、今は大坂天満の呉服商「五鈴屋」に女衆として奉公する主人公、幸。
十四歳の幸に、店主徳兵衛の後添いに、との話が持ち上がった。
店主は放蕩三昧で、五鈴屋は危機に瀕している。
番頭の治兵衛は幸に逃げ道を教える一方で「幸は運命に翻弄される弱い女子とは違う。どないな運命でも切り拓いて勝ち進んでいく女子だす」と伝える。
果たして、「鍋の底を磨き続ける女衆」として生きるのか、それとも「五鈴屋のご寮さん」となるのか。
あきない戦国時代とも呼べる厳しい時代に、幸はどのような道を選ぶのか。ということだが、私はこの著者の前作「みをつくし料理帖」は江戸時代の料理を著者自ら再現していて、それが面白くて全作を読んだのだが、今回の著書は、所謂「暖簾根性物」の典型で、私は大嫌いな部門である!
作者は主人公を虐めたおして、最後はあざとい終わりかたをしたくないため、なんかうやむやのような終わりかたが、大嫌いである。
この著書は『あきない世傳金と銀(一)源流編』続きであるが、それは読んでいない!
もう二度とこれらの作品を読むことはないだろう!!



辻真先著【デッドディテクティブ】

2017-12-08 17:53:14 | 本と雑誌

宗教団体ダイゴは、霊能少女・転法輪レンゲをシンボルに、リーダー虚空蔵多聞とサブリーダー錆岡の二人で、大きくしていた。しかし、沖縄に信者がいないので広めようと、ダイゴ自ら所有のクルーザー船醍醐丸で向かったのだが、嵐に見舞われ木葉のごとく波にもまれてしまった。
しかも船内では、船長の御子神と航海士の鐘ケ﨑市郎が下剤を盛られ、ふたりとも倒れ、多聞が首を切断され殺されるわ、錆岡は行方不明になるわ、レンゲは側頭部を仏像で殴打され昏倒しているわで、おおわらわになってしまった。
多聞の愛人である、柳みすずは、たまたま仏像をつかんで、レンゲの傍に立っているところを見られたため、犯人と誤解されてしまう…。
みすずはレンゲから事前に醍醐丸の沈没を聞かされていたし、レンゲ以外は全員死ぬ、レンゲ自身は五分五分の状態だと…。
レンゲの予想通り、醍醐丸は沈没してしまった。
「審判は終わった…にもかかわらず、凶手の姿は闇に包まれたままである!」。冥界の法廷で全ての嘘を見通すはずの閻魔大王が出した苦渋のギブアップ宣言。
不可能犯罪の容疑者とされた19歳のみすずは、冤罪を晴らすべく真相究明に挑む。
閻魔大王は、三名の探偵をみすずにつけてくれた。
この三名は過去の著者の作品に登場した人物を蘇らせている。
真犯人は誰?閻魔大王の死角は?真実を写す浄玻璃の鏡は無力なのか?
他に醍醐丸に乗船していたのは、ボディーガードとシェフとメイドの桃子と航海士・鐘ケ崎の弟の機関技師であった…。
奇想天外なミステリ、究極のフーダニット!
この本も発行部数が少ないので、値打ちものになっているらしい…。