長尾景虎の戯言

読んだり聞いたりして面白かった物語やお噺等についてや感じたこと等を、その折々の気分で口調を変えて語っています。

西澤保彦著【仔羊たちの聖夜(イヴ)】

2021-02-11 16:50:48 | 本と雑誌


実は正直に申しますと、前回この著者の「沈黙の目撃者」を読了した後、あまりの過激な内容にショックを受け、まだ立ち直れない状態であったのです。
純情可憐(自分でいうなよ!!)な私にとっては、軽い心的障害が発症したのかもしれません。
再びこの著者の作品を読むのは、かなり勇気がいる始末でありましたが、立ち直るためにも再度挑戦(ただし初期の作品を探し)したわけでございます。

飲んでから解くか、解いてから飲むか。
酩酊推理の合体パワーが炸裂するキャンパス三人組/通称タックこと匠千暁(たくみ ちあき・安槻〈あつき〉大二回生・冷静な推理力の持ち主・実は双子の片われらしい)、ボアンこと辺見祐輔(へんみ ゆうすけ・安槻大のヌシ的存在・何かといえば人を集めて飲みたがるお祭り屋のタフガイ)、タカチこと高瀬千帆(たかせ ちほ・安槻大のマドンナ・高校時代悲しい同性愛の体験がある・気性凛々しい超美人・但し、ファッションは奇抜・タックと同じ二回生)/が初めて顔を合わせたのは一年前のクリスマスイヴ、居酒屋コンパでのこと。
その日、クリスマスプレゼントの交換をと全員コンビニへ向かい、買った品々をビニール袋に集めている最中、真上のマンション(コーポ・ミカゲ)最上階から、一人の女性が飛び下りてきた。
一年が経ったところで、ビニール袋の中に一つ残っている“プレゼント〟が見つかり、自殺した女性(此村華苗・このむら かなえ・当時三十二歳・市内の郵便局にて勤務)のものなら遺族に返そうということに。
が、女性の身元をたどるうちに、五年前の同じ日にも、同じ場所から“プレゼント〟を手に飛び下り自殺した若者(鳥越久作・とりごえ きゅうさく・当時十六歳)がいたとわかり…。

タカチの様子がおかしい、いつも冷淡なほどの彼女なのに、何故か熱く(ムキに?)なっているようにタックは感じていく…。

そして今また…。

ボアン先輩主催の昨年のクリスマスコンパに参加したのは、他に安槻大の基礎英語の講師・鴫田一志(しぎた かずし・通称カモ)と、弦本エリ(つるもと えり・通称はそのまんまでエリ)とその彼氏の東山良秀(ひがしやま よしひで・通称ヤマト)、この二人は四回生で既に就職先が決まっていた。
コンパには参加していないが、仲間として羽迫由紀子(はさこ ゆきこ・小柄で少年のように引き締まった体躯や、三つ編みヘアーに冬でもキュロットに素足でソックスという恰好なので、これで赤いランドセルを背負うと完全に小学生だが、実は安槻大二回生・通称ウサコ)がいる。

私はこの小説を読み『沈黙の目撃者』症候群からやっと解放されたと思います。
なんせ抱腹絶倒の新探偵ミステリーですから。(^^♪