今回は”宮部みゆき”はんでも、時代小説にしましたよってに。
三島屋変調百物語で、大変人気のあるシリーズでございます。今回は四之続と四回目になります。
普通の百物語は、百人の語り部が、怪談を語り、一人語り終われば、一つろうそくの火を消すといった趣向でございます。
しかし三島屋では、それとは違い、三島屋の奥の間、黒白(こくびゃく)間で、店主の伊兵衛に代わり、その姪にあたる見目麗しく、そしてうら若きおちかが聞き役になり、ただ一人の語り部を招き、「聞いて聞き捨て、語って語り捨て」がただ一つの決まり事でございます。
私もこのおちかさんのファンでございます。
おちかさんも過去に、非常に辛い経験をし、心に深い傷を持っています。
さて、江戸の洒落者たちに人気の袋物屋、神田の三島屋は”お嬢さん”のおちかが一度に一人の語り手を招き入れての変わり百物語も評判だ。
訪れる客は、村でただ一人お化けを見たという百姓娘(この物語初の子供の語り手)に、夏場はそっくり休業する絶品の弁当屋、山陰の小藩の元江戸家老、心の時を十四歳で止めた老婆。
亡者、憑き神、家の守り神、とあの世やあやかしの者を通して、切ない話、こわい話、悲しい話を語り出す。
「もう、胸を塞ぐものはない」それぞれの身の処し方に感じ入る、聞き手のおちかの身にもやがて、心ゆれる出来事が…。
今回は『迷いの旅籠』『食客ひだる神』『三鬼(さんき)』『おくらさま』の四篇で、怪しく、恐ろしく、切なく、哀しい物語が繰り広げられまする。
鬼は、人から真実を引き出す。
人は罪を犯すものだから…。
江戸は神田で評判の怪談語り〈変わり百物語〉不思議な話に心ふるえ、身が浄められる。
文学的にも評価すべき内容、その内容にはほとんどふれてぇしまへんけども、その方がよいように思いましたのでございます。
どうぞお読みになっておくれやす…。