長尾景虎の戯言

読んだり聞いたりして面白かった物語やお噺等についてや感じたこと等を、その折々の気分で口調を変えて語っています。

東直己著【駆けてきた少女】

2018-10-25 17:15:05 | 本と雑誌

2004年4月10日初版印刷 2004年4月15日初版発行 ススキノ探偵シリーズ
これはまだ〈俺〉が40半ばの頃のこと。
「ピッチ、このオヤジ、殺して」少女が叫ぶと、若い男は〈俺〉の腹にナイフを突き立てた。
しかし、ナイフが脂肪でヌルッと滑って、結局刺さらなかった…。
だが出血は多くしたので、入院した〈俺〉を見舞いにきた自称「霊能力者」のオバちゃんの依頼で女子高生の家庭調査の依頼を受けることに。
軽い気持ちで引き受けた調査と、自分を刺した犯人捜査と交錯した時、〈俺〉は札幌の闇に渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれることに気付くのだった…。
醜悪な怪物どもが犇めき蠢いていたのだった…。
俺VS女子高生。
今どきの女子高生に翻弄されながらも、〈俺〉は札幌の闇に潜む巨悪を暴くため、街を疾駆する。
〈俺〉が退院してススキノの街を闊歩すると、デブだから命拾いしたことが津々浦々に伝わっていて、行く先々で笑いものされた。
〈俺〉は別に気を悪くすることもなく、ススキノの街に笑い振りまくのも由とした。
ところで、『月刊テンポ』に北海道警察批判や北海道警察の実態を暴露する記事が毎号毎号、派手に掲載されるようになった。
著者は札幌在住「ライター」の居残正一郎。
この居残正一郎に〈俺〉は心当たりがあり、篠原という男を急襲(暴力をふるうわけではないが)した。
ズバリ正解で、何人かで分担してやっているらしい。
その中にオブザーバーとしてホモの北日記者松尾も参加しているらしいが、彼は東京の宮内庁担当に飛ばされていた。
その松尾が北海道に戻ってきて、なんとこともあろうに〈俺〉を、居残正一郎の『顔』にしたてようと画策したのだ。
〈俺〉はそんなことに巻き込まれたくはなかったのだが、なんかスパイごっごみたいで面白そうだから引き受けてしまった。バカである、命を狙われるかもしれないのにだ!!
ところが様相がどんどん変わってきたのだ…。
女子高生との闘いに結局〈俺〉は負けるのだが、しかし今回〈俺〉が気に食わない件では負けたけれど、果たして女子高生は勝ったといえるのだろうか?
ただ闇の泥沼につかりきって、抜け出す事が出来なくなるだけだろう、それで人生勝組になれたのか?
そして〈俺〉は、相変わらず「ケラー」でピースを吸いながら、サウダージに酔いしれているわけだ…。
探偵はBARにいるってか?


柴田よしき著【ねこ町駅前商店街日々便り】

2018-10-11 16:38:05 | 本と雑誌

きっかけは一匹の猫。まだやれる!を描く奇跡の物語。
子どもには希望を、大人には夢を与える故郷を守りたい…。
蘇れ!商店街魂
シャッター通りだって、私たちのふるさと。
一匹の猫と共に、未来を諦めかけた人々が町の再生に動き出す!
赤字ローカル線の終点、根古万知(ねこまんち)、駅前は、わずか八店舗ほどが細々と営業するシャッター商店街である。
数年前、猫の町「ねこまち」としてブームになりかけたこともあったが、それも一時のこと、以来ジリ貧状態だ。
離婚を機に、そんな町に戻ったラーメン屋の娘・愛美(まなみ)は緑色の大きな目と灰色の毛が愛らしい拾い猫を飼うことになった。
ノンちゃんと名付けられたその猫が、ひょんなことから一日猫駅長を務めると駅は再ブレイク、商店街にも観光客が訪れる。
愛美は久しぶりに賑わう光景を見て、今度こそ、元気いっぱいだった頃の根古万知を取り戻したいと動き出すが…。
猫好きの私は、猫が登場するというだけでこの本を手にしてしまったのだが、最初読んでいると、まるで道徳の本のような雰囲気で、なんだか空疎な絵空事のように感じ、違和感を持ったが、読み進むうちに、逆にこちらも根古万知町や商店街の将来について「なんとかならんもんか!」と知らず力が入ってくるのだ。
それにUFOの丘の謎なんぞも加わり、なかなか面白い作品となっている。
更に加えて隠れ里のような存在の古根子(こねこ)集落の登場も、物語に一石を投じている。
それにしても、できることならノンちゃんに会いたいニャン♪
読後に爽快感を残す作品だニャン(^^♪