長尾景虎の戯言

読んだり聞いたりして面白かった物語やお噺等についてや感じたこと等を、その折々の気分で口調を変えて語っています。

樋口有介著【窓の外は向日葵の畑】

2018-07-19 17:05:00 | 本と雑誌

青葉樹(しげる)は東京の下町にある松華学園高校の二年生。
幼馴染の真夏(まなつ・本当は幽霊)にバカにされながらも、江戸文化研究会に所属している。
その部長であり、絶世の美女である高原明日奈(あすな)と、その明日奈に惚れている副部長の佐々木信幸(のぶゆき)が、夏休み、相次いで失踪した。
それを聞いて乗り出してきたのが作家志望の元刑事である樹の父親。
どうも、息子のクラブの事件以上に、顧問の美人教師・若宮沙智子(さちこ)先生に興味があるらしのだが…。
「父さん、現実は父さんの小説みたいにはいかないよ」
そうこうしていると、千葉の冨津(ふつつ)というところで、佐々木の水死体が発見される…。
この著者のデビュー作である、サントリーミステリー大賞読者賞を受賞した「ぼくと、ぼくらの夏」、その原点に帰って描き上げた、青春ミステリであるが、結局は美女が登場する小説なのだテヘヘ♪
やはりこの著者には美女がつきものです(^^♪
何回か爆笑させてくれます、がギャグ小説ではありません、結構内容は深いのでお気をつけて…。

柴田よしき著【クロス・ファイヤー】

2018-07-11 17:03:16 | 本と雑誌

CROSSFIRE=左(右)投げ投手が右(左)打者のインコースに投げ込む速球。打者にとっては自分に向かってくる軌道となる。
天才ピッチャーでスターの麻由とくらべたら、わたしは等級の劣る地味な星。
でもそんなわたしの方が、素質が上だなんて…。
麻由は身長165センチで体重57キロ、女性としては小柄な方ではないが、野球の世界では小柄。
体重は重めに感じるかもしれないが、体脂肪が少ないのでスリムに見える、これで女性最速の球速141㎞/時を出すのだから凄い!それにとにかく可愛い♪決め球はもちろんクロスファイヤー!
それに対して栞は身長178センチで体重67キロ、野球界では目立つ存在ではないが、一般女性から見れば大柄女。
顔も取り立てて見栄えがするほどでもない。それでも宝塚なみに女性ファンが多い。
球速も最速で131㎞/時、ただし、変化球投手で打ちにくいとされている。
二人は見かけだけでなく、性格も正反対で、麻由はワイルドで栞は女の子らしいのである。
しかし二人ともクローザーが務まるほどの実力はない…。
日本プロ野球(NPB)のチームに、女性選手が入団。
東京レオパーズ所属の楠田栞(くすだ・しおり)は、左腕でアンダースローの中継ぎ投手。
客寄せパンダと陰で囁かれつつも、同僚で親友の早蕨麻由(さわらび・まゆ)と励まし合いながら、プレイに、恋に、奮闘中。
プロ野球は、才能と運、その両方を摑んだ者だけが成功できる過酷な世界。
時にはくじけそうになりながらも、女であることも「幸運」のひとつなのだと、栞は自ら言い聞かせている。
そんなある日、栞は、臨時投手コーチの雲野と出会う。雲野は言う。おまえの恵まれた体と素質を活かせ、一流になれ、と。
そして、とある目標のための特別指導が始まった…。
レモンメレンゲ・パイを焼こう。だって、康平も麻由も、あたしの大事な友達だもの。どんなに疲れてても、しんどくても、二人を忘れたわけじゃない。
焼けたレモンメレンゲ・パイを携帯写真に撮って、二人に送るんだ。
そしてこうメールする。「一緒に食べない?紅茶いれて」
麻由が最後の打者を仕留めて、チームは勝利した。テレビの前で、チーズの皿を膝にのせて拍手する。
ひとりぼっちの拍手が、部屋の中に響く。
おまえは今、歴史の先頭を走っている、だから、一流になれ。
前記の宮部みゆき【クロスファイア】とは違って、読後も爽やかな気分でいられるので安心♪
宮部のクロスは、読んでとてもブルーになってしまったので…。
宮部みゆきに声を大にして言いたい「青木淳子を殺すな!!!」って、ネタばれしてしまったか…?

宮部みゆき著【クロスファイア上・下】

2018-07-05 16:21:27 | 本と雑誌

四人の若者が廃工場に瀕死の男を運び込んできた。
その男を”始末”するために。
目撃した青木淳子は、力…念力放火能力(バイロキネシス)を放ち、三人の若者を炎上させる。
しかし、残る一人の若者は淳子を銃撃して逃走。
ついでに瀕死の男に止めの銃撃を加えて去ってしまった。
淳子は息絶えたその男に誓う。「必ず、仇はとってあげるからね」
一方、現場を訪れた石津ちか子刑事は、不可解な焼殺の手口から、ある事件を思い出していた!
”あたしは装填された銃だ。持てる力を行使し、無軌道に殺人を続ける若者たちを処刑する”
青木淳子の「戦闘」は続く。
さらに、謎の組織”ガーディアン”が、淳子と接触を図り…。
連続焼殺事件の背後に”念力放火能力(バイロキネシス)者”の存在を感じた石津ちか子・牧原両刑事は、過去の事件関係者を洗い、ついに淳子の存在に気付くのだった…。
正義とは何か!?
かなり恐ろしい内容であるが、なぜか読後切なく哀しくなってしまう。
何故この著者は、異能者・超能力者をこのように暗く切なく哀しく描くのだろうか…。
この物語は『鳩笛草』の中の中編『燔祭』の続編的であるが、迫力という点では先篇を上回る。
とにかく青木淳子が暗く孤独で切なく哀しい…。
しかしながら、中年でちょっとおっとりしたおばさん刑事の石津ちか子の存在が、何か救いのようにも感じた。