CROSSFIRE=左(右)投げ投手が右(左)打者のインコースに投げ込む速球。打者にとっては自分に向かってくる軌道となる。
天才ピッチャーでスターの麻由とくらべたら、わたしは等級の劣る地味な星。
でもそんなわたしの方が、素質が上だなんて…。
麻由は身長165センチで体重57キロ、女性としては小柄な方ではないが、野球の世界では小柄。
体重は重めに感じるかもしれないが、体脂肪が少ないのでスリムに見える、これで女性最速の球速141㎞/時を出すのだから凄い!それにとにかく可愛い♪決め球はもちろんクロスファイヤー!
それに対して栞は身長178センチで体重67キロ、野球界では目立つ存在ではないが、一般女性から見れば大柄女。
顔も取り立てて見栄えがするほどでもない。それでも宝塚なみに女性ファンが多い。
球速も最速で131㎞/時、ただし、変化球投手で打ちにくいとされている。
二人は見かけだけでなく、性格も正反対で、麻由はワイルドで栞は女の子らしいのである。
しかし二人ともクローザーが務まるほどの実力はない…。
日本プロ野球(NPB)のチームに、女性選手が入団。
東京レオパーズ所属の楠田栞(くすだ・しおり)は、左腕でアンダースローの中継ぎ投手。
客寄せパンダと陰で囁かれつつも、同僚で親友の早蕨麻由(さわらび・まゆ)と励まし合いながら、プレイに、恋に、奮闘中。
プロ野球は、才能と運、その両方を摑んだ者だけが成功できる過酷な世界。
時にはくじけそうになりながらも、女であることも「幸運」のひとつなのだと、栞は自ら言い聞かせている。
そんなある日、栞は、臨時投手コーチの雲野と出会う。雲野は言う。おまえの恵まれた体と素質を活かせ、一流になれ、と。
そして、とある目標のための特別指導が始まった…。
レモンメレンゲ・パイを焼こう。だって、康平も麻由も、あたしの大事な友達だもの。どんなに疲れてても、しんどくても、二人を忘れたわけじゃない。
焼けたレモンメレンゲ・パイを携帯写真に撮って、二人に送るんだ。
そしてこうメールする。「一緒に食べない?紅茶いれて」
麻由が最後の打者を仕留めて、チームは勝利した。テレビの前で、チーズの皿を膝にのせて拍手する。
ひとりぼっちの拍手が、部屋の中に響く。
おまえは今、歴史の先頭を走っている、だから、一流になれ。
前記の宮部みゆき【クロスファイア】とは違って、読後も爽やかな気分でいられるので安心♪
宮部のクロスは、読んでとてもブルーになってしまったので…。
宮部みゆきに声を大にして言いたい「青木淳子を殺すな!!!」って、ネタばれしてしまったか…?