前代未聞のタイムスリップ本格ミステリ。
この一杯が、タイムマシーン!
全四篇からなる連作短編という形式をとって書かれているが、本質は長編ミステリと同じ。
『あるいは妻の不貞を疑いたい夫の謎』
鵜久森(うくもり)大学人文学部英文学科准教授古徳(ふるとく)先生はバツイチ・独身の50歳。
人生に疲れ、酔って死ねれば本望とウイスキー(カティサーク)片手に寒い夜道を歩き始めたが、偶然、旧友・早稲本幸生(わせもとゆきお)と出会ってしまう。
いまや堂々たる実業家(リゾネット&コンテンツグループ・取締役社長)のこの男は、かつて古徳の恋人・真渓美智絵(しんたにみちえ)を奪って結婚したのだった。
気まずさに逃げようとする古徳だが、早稲本の誘いを断り切れず、彼の豪邸のホームバーで杯を傾けることに。
やがて、酔った2人は28年前の晩へとタイムスリップしてしまう。
条件が揃うと、酒の相手を道連れに時間をさかのぼってしまう古徳先生。
はたして失った恋の秘密を解き明かすことができるのか…?
『もしくは尾行してきた転落者の謎』
古徳先生が住むマンション「タウンハイム鵜久森」で、数日前に投身自殺があった。
その詳細がマンションの管理委託会社㈱勝宮流管理から文章で報告された。
古徳はその内容を読んでいるうちに、唐突に激しい胸騒ぎにかられ…。
『それでもワインを飲ませた母親の謎』
古徳先生のもとに、突然ワインが送り届けられた。
送り主は「早稲本巳恵(みえ)」…早稲本幸生の母親だった。
小首を傾げる古徳だが、直ぐに早稲本幸生から携帯に電話が入った。
早稲本は妙な質問をしてから、今荷物が届いていないかという。
届いた旨伝えると、今時間があるかと問い、あると答えると、マンションの前にいるから、部屋に向かうと告げた…。
『はたまた魚籠(びく)から尻尾が覗く鯛の謎』
古徳先生は1982年の12月31日にタイムスリップした、しかしその道連れは早稲本の愛娘・優香だったので、その時代に生まれていない彼女が何故?となって…。
とにかくこの物語は、目を皿のようにして読まないと、なんだか頭が混乱してしまそうだった印象が強いのでご注意!!
決して気を抜かないように…。