◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

10月11日-12日

2013-10-12 08:45:27 | Weblog
10月12日

●河野啓一
きんもくせい町内広く香らせて★★★★
町内のあちこちから金木犀が匂ってくる。「金木犀」に着目すると、まるで一木が町内に広く香りを広げているように感じられる。着目がユニーク。(高橋正子)

椿の実黒光して部活かな★★★
温め酒恋しき夜や病棟に★★★

●小口泰與
ぴいぴいと我が物顔の鵙の群★★★
山路きて数多どんぐり踏みにけり★★★
無残なり破れ葉にからぶ秋なすび★★★

●迫田和代
朝早く窓に映った雁の列★★★
月さやか我が影伸びる帰り道★★★
父母の歳越えた吾の秋彼岸★★★

●多田有花
芽を出すぞというじゃがいもを肉じゃがに★★★
窓開けて風を入れるや秋暑し★★★
稲架並ぶ向こうに色づく晩稲の田★★★

●桑本栄太郎
白花のひとつ残りて萩は実に★★★
解き放つ脇につぼみの椿の実★★★
びつしりと色の深みや実むらさき★★★★
実むらさきは、「びっしりと」と言って決して憚らないほど実をつける。紫色の実は「色の深み」を実感させるのだ。「色の深き」ではなく、「色の深み」と捉えたところが素晴らしい。(高橋正子)

10月11日

●小口泰與
どんぐりのばしっと落つる湖面かな★★★
秋深し眼間せまる山の襞★★★
雀追う鴉ぴょんぴょん刈田かな★★★

●桑本栄太郎
 白内障手術入院の病室より
青空の稜線近き秋の峰★★★
青空に雲の茜や秋入日★★★

眼帯を外し眩しき秋日かな★★★★
眼帯を外したとたん、目にまぶしい秋の日。手術の成功と光りが見え、物の見えるうれしさがこの一瞬にあった。(高橋正子)

●多田有花
ずっしりと袋に重き薩摩芋★★★★
里芋、じゃがいもなどに比べると、ずっしりとした重さを一番感じるのは薩摩芋だろう。形が大きいというだけではなく、実入りの良さを感じるのだ。食べる楽しみもさらに加わってくるのだ。(高橋正子)

嵐去り空に泳ぐや鰯雲★★★
秋の昼河原に響くサクソフォン★★★

●小西 宏
澄む空に大きな梨を食い太る★★★
栗鼠の尾の叫びに高し昼の月★★★
露草と赤のまんまの語り合ひ★★★
コメント (2)
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