◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

10月18日-19日

2013-10-19 07:20:40 | Weblog
10月19日

●迫田和代
お終いの皿の上なる青葡萄★★★
摘菜に上から水をザーザーと★★★

コスモスやコスモスらしく風を受け★★★★
コスモスは、いかにもコスモスらしく風を受けている。コスモスを吹く風はコスモスをコスモスらしくさせているのだ。言われて、然りだが、和代さんの真骨頂の句だと思う。(高橋正子)

●小口泰與
振り向くと利鎌の月に退さりけり★★★
夕映えや秋のちょうちょう急ぎゆく★★★
上州の風の無き日の種なすび★★★★

●多田有花
鉢植えの菊を運びし軽トラック★★★
雨あがり新高梨を買い求む★★★

十月桜雨の滴を宿し咲く★★★★
消え入りそうに咲く十月桜が、雨の滴を宿している。「滴を宿す」というが、十月桜は、滴に花が包まれている感じさえする。そんな美しさがある。(高橋正子)

●桑本栄太郎
山崎の隘路にコスモス畑かな★★★
大阪駅ビルの谷間の秋日影★★★
実ざくろの赤や芦屋の家々に★★★★

●祝恵子
腰落とせアナウンスの声運動会★★★
秋苗を植えれば学童帰りゆく★★★

しりとりをしつつ帰る子秋の暮★★★★
女の子たちであろうか。秋の暮をきりもないしりとり遊びをしながら帰る子どもたちが、かわいらしく、ほほえましい。作者の子らへの眼差しがやさしい。(高橋正子)

10月18日

●小西 宏
台風の遥かに去りし波の音★★★
海暮れて紅灯す芒の穂★★★
月昇る遥かに海を広げつつ★★★★
「海を広げつつ」に、新鮮な驚きがあり、臨場感がでた。月が昇るにしたがって、遥かの海を照らしていく。海の波がはっきり見てくる。少し寂しい月の夜である。(高橋正子)

●小口泰與
実むらさき清濁流す大河かな★★★
草紅葉志賀高原の空青し★★★★
志賀高原も草紅葉に彩られるようになった。澄んだ青空と草紅葉の対比にやさしさがある。(高橋正子)
やわやわと花そばゆるる山の裾★★★

●佃 康水
渋皮煮子らへ届けむ栗を剥く★★★★ 
栗の渋皮煮は手間暇がかかる。渋皮を破らないよう丹念に鬼皮をむき、剥いた栗を重曹で渋抜きをし、さらに砂糖を入れてことこと煮、それを一晩、二晩おいて味を含ませる。子らへの思いが、ひとつひとつの栗に、また作業に込められている。(高橋正子)

傷付けず栗剥き終えて渋皮煮★★★
明けやらぬ琵琶湖へ細き秋時雨★★★

●多田有花
部屋の戸をみな閉め切って秋深し★★★
ホットケーキに蜂蜜とろり秋の暮★★★
後の月テニスコートで見上げおり★★★

●下地鉄
秋風にゆられて返す穂波かな★★★
きりもなくよせる波音浜の秋★★★
その人から名の消え行く老いの秋★★★

●桑本栄太郎
浮かれ来るごとき青空野分晴れ★★★
朝日透き線路に沿いて芒の穂★★★
秋空へ赤きクレーンや高槻駅★★★
コメント (6)
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