◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

4月25日(木)

2013-04-25 01:58:49 | Weblog
●小口泰與
うぐいすや桃源郷の朝ぼらけ★★★
連翹の花に雨粒ひとならび★★★
嬬恋の星あふれけり犬ふぐり★★★

●古田敬二
枝先へ来て尺取りの道迷う★★★
夕陽射すやまぶき色を増しにけり★★★
夕陽射す青梅枝に太りだす★★★

●河野啓一
朝の陽を透かし銀杏の浅みどり★★★★
草若葉きらりと光る虹の球★★★
蔦若葉浜風受けて伸びしかな★★★

●桑本栄太郎
饒舌と云うこと莫れ揚ひばり★★★
大橋のさみどり透きし春灯かな★★★
陸橋の人の行き交い春ともし★★★

●多田有花
八重桜散るやや日輪の暑き中★★★
花水木咲き初む街路の明るさに★★★
湯に放つ南部若布の緑かな★★★

●小川和子
花冷えや車両軋ませ電車着く★★★
夕永し「正常値です」と医師の声★★★
夕さりの月影淡し春の月★★★

●下地鉄
白々と夜の明け染むる夏は来ぬ★★★
ゆったりと消えて又現る卯波かな★★★
卯波現れサーファー握る拳かな★★★★
卯波が寄せて来て、波に乗る絶好のチャンス。拳を握り、波に乗り出す瞬間の闘志。力強い若さだ。(高橋正子)

●黒谷光子
つややかに葉を反らしつつ射干の花★★★★
裏庭は人目も付かず射干の花★★★
うす雲の退くを待ちおり春の月★★

●藤田洋子
真っ直ぐな銀杏並木のみな若葉★★★★
真っ直ぐな銀杏並木の整然とした若葉に、気持ちが爽やかになる。「真っ直ぐな」に読み手の背筋も伸びる思いだ。整然としたなかにも「みな」という柔らかな音の語があって、若葉の柔らかさを感じさせてくれる。(高橋正子)

街筋に銀杏若葉の風溢る★★★
若葉して銀杏並木の高々と★★★

●小西 宏
 深川芭蕉記念館近く、川舟番所跡
葉桜に潮の香ながる小名木川★★★
 清洲橋の眺め
春風のケルンにも似て隅田川★★★
 隅田川船上にて
春行くや鴎は澪に身を任せ★★★
コメント (3)
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4月24日(水)

2013-04-24 01:57:46 | Weblog
●小口泰與
外つ国の人も交りて花莚★★★
雪解けの山襞迫り指呼の間に★★★★
竹秋や利根の流れの滔々と★★★

●黒谷光子
山門へ溢るる馬酔木見上げつつ★★★
九体佛御座す明るき春障子★★★★
傍らに木椅子おかれて藤の花★★★

●小西 宏
我が家にも蜜蜂の来て躑躅突く★★★
景借りし隣家の庭に春惜しむ★★★
花韮の薄き青ゆれ夏近し★★★★
韮の花は、白く初秋に咲くが、花韮は韮に似た葉ではあるが、花は星型をして春に咲く。白い花もあれば、薄い青色の花もある。花韮が咲き満ち、風に揺れると夏も近いと感じる。光と風はもう夏めいているのだ。(高橋正子)

●河野啓一
樟若葉見上げて高きうす茜★★★
送迎車緑の雨の中を行く★★★
青竹に鯉泳がせし頃のこと★★★

●多田有花
噴水がとどく青空夏近し★★★
鍋で炊く春筍のご飯かな★★★
春荒の部屋で読みつぐ探検記★★★

●桑本栄太郎
さえずりの北京語めける梢かな★★★
饒舌は吾の十八番よ揚ひばり★★★
夕暮れの赤の哀しきすいばの穂★★★

●下地鉄
微かなる泰山木の花落ちて★★★
風吹けば花のかおりの泰山木★★★
卯波はや遠くに海の蒼さかな★★★
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4月23日(火)

2013-04-23 05:27:36 | Weblog
●小口泰與
廃校の庭に咲きたる桜かな★★★
桜鯛夕映えのせし水面かな★★★
電柱の天辺占むや鴉の巣★★★

●迫田和代
天からの流れるように藤の花★★★
夏近しピッチの芝に水を撒く★★★
雲もなし漆のよるの朧月★★★

●河野啓一
創造の歓び葉桜並木かな★★★★
樟大樹長者の風情若葉して★★★
里山の夕陽にゆれて柿若葉★★★

●桑本栄太郎
ぼつてりと雨に散りけり八重桜★★★
濃く淡く峰の谷間や山笑ふ★★★
平らかに又あでやかに花みずき★★★

●小西 宏
スカイビルに姿映して金盞花★★★
口腔に軽き音立て春キャベツ★★★
未来へか濁世へか孫入学す★★★

●黒谷光子
三椏の花の天蓋磨崖仏★★★★
三椏の黄色い花と形は、仏との取合せで、曼荼羅図を飾る花のようにも思える。早春の花、三椏の花を天蓋として飾られた磨崖仏に親しみがもてる。(高橋正子)

磨崖仏めぐる鶯の声の中★★★
水音の絶えぬ山路や磨崖仏★★★
コメント (2)
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4月22日(月)

2013-04-22 05:26:45 | Weblog
●小口泰與
雨後の朝川辺明るき柳かな★★★
老松の空へ鬨声緑立つ★★★
つちふるや雨後の芝生の青々と★★★

●河野啓一
葉桜の葉の増え来たる並木道★★★★
「葉の増え来る」は、実際感じているところだが、言葉に表したのは手柄であろう。桜が散り、葉桜の影が次第に大きくなって初夏を向かえる。気持ちも前へと向く。(高橋正子)

咲きはじむ平戸つつじは校庭に★★★
雲二つ重なり浮かび春は行く★★★

●多田有花
光また差して翳りて若楓★★★
青空へすっくと立ちぬチューリップ★★★
鞄より首出す犬やチューリップ★★★

●桑本栄太郎
春風や足なが募金の高校生★★★
川床の春の落葉や高瀬川★★★
秘めごとの吾にありしや著莪の花★★★

●古田敬二
ほかほかと筍飯の塩加減★★★
夕暮れて山蔭白くしゃがの花★★★
分け入りて水湧く淵のサイタズマ★★★★

●下地鉄
百万の百合花に埋まる小島かな★★★
菜の花や一両電車音残し★★★
一碧の水平線の雨の中★★★★
煙る雨の中に、「一碧の水平線」が印象深く、象徴化された日本画の世界を感じる。(高橋正子)

●高橋秀之
立山に未だ残雪白き峰★★★
ホタルイカまず人数分を注文す★★★
チューリップ揺らして唸るディーゼル音★★★
コメント (1)
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4月21日(日)

2013-04-21 08:23:09 | Weblog
●小口泰與
夕さりの雨を弾きし白蘇枋★★★
そよ風や雨後の水田の花筏★★★
山桜妙義の奇岩指呼の間に★★★

●河野啓一
ぎっしりと予定のありて花水木★★★
新緑の煌めき夜来の雨上がる★★★★
新緑がとくに美しく輝くのは朝の雨上がり。柔らかの緑の爽やかさが素晴らしい。(高橋正子)

水玉は葉桜の陰雨のあと★★★

●下地鉄
翡翠カズラ風を揺らして重く垂れ★★★
サーファーの前髪美しき飛沫かな★★★
サーファーは女性であろうか。前髪に飛沫がかかり、健康な笑顔が見える。健やかな若者像。(高橋正子)

岩影に咲いて涼しき雪の下★★★

●高橋秀之
残雪の頂上白く飛騨山脈★★★
線路沿い白く黄色く水仙咲く★★★
さるぼぼを照らす薄日は春の空★★★

●祝恵子
藤の花帰りにも寄る房の前★★★★
見事な藤の花房。一度見て去るには惜しく、帰りにもう一度眺める。花好きな者には、うれしく、豊かな花である。(高橋正子)

直立の時期すぎ撓むチューリップ★★★
土再生植え込む春の苗色いろ★★★

●多田有花
桜蘂降るや冷たき雨の中★★★
山若葉風に応えて沸き立ちぬ
泉州の山まで見えて若葉風★★★

●桑本栄太郎
すでに早や若葉寒むとはさりながら★★★
雨後と云う丈を競いぬ春筍★★★
掘る人に日差し届かず竹の秋★★★
コメント (2)
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