◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

4月20日(土)

2013-04-20 08:22:05 | Weblog
●藤田裕子
朝晴れし稜線宙に山霞む★★★
鍋に入れ緑うるわし生若布★★★
山風の街筋やさしつつじ咲く★★★

●小口泰與
爆ぜ菓子や蘇枋ふくらむ夕まぐれ★★★
青空へ鬨声あげし名の木の芽★★★
摘みてきて蕨三和土にひろげあり★★★★
三和土(たたき)に広げられた蕨にこの時期のほどよい「湿り」を感じる。三和土のある家の薄暗がり、蕨の色とその湿り具合は、日本の湿潤な古くからの暮らしの象徴のようだ。(高橋正子)

●河野啓一
春は行く川の流れのそのように★★★
朝の日に背中のぬくみ春惜しむ★★★
夏隣り艶めいて今樹々の色★★★

●桑本栄太郎
菜の花の天井川の黄明かりに★★★
白壁の土塀つらなり柿若葉★★★
暮れ残る夕日に高きすいばかな★★★
夕日が斜めから差して、すっくと伸びた、赤いすいばの花を染めている。すいばの花が郷愁を感じさせて、やさしく詠まれている。(高橋正子)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4月19日(金)

2013-04-19 15:19:17 | Weblog
●藤田洋子
陽を返す色一面の山躑躅★★★
山の日がまぶし躑躅の葉に花に★★★
展望台の陽射し広げて躑躅咲く★★★
展望台からの眺めに解放感があって、躑躅の花が輝き、初夏という季節の強さを思う。(高橋正子)

●小口泰與
もみじ咲く見上ぐる空は万華鏡★★★
チューリップ名残の花を挿しにけり★★★
老木のこぶに咲きたる桜かな★★★

●河野啓一
藤棚の房まだ上に向き★★★
気がつけば豊かにたれし藤の花★★★
そよ風の藤棚いつしか人去りて★★★

●迫田和代
何処(いずこ)より川面に揺れる花筏★★★
静かなり川土手の桜も葉桜に★★★★
満開の桜もよいが、花が散り、花蕊が降ってしまった後の葉桜には、安堵感や安らぎがある。川土手の葉桜の静けさにいい日常がある。(高橋正子)

青い空梨園に溢れる白い花 ★★★

●多田有花
うららかや小さき石橋を渡る★★★
春昼の池の蛙が鳴いており★★★
丘は晴れ霞桜のぽつぽつと★★★

●佃 康水
燕飛ぶ朱の廻廊へ婚の列★★★★
廻廊の朱と、燕に黒の強いコントラストが印象に残る。その華やかさと厳かさに婚儀の列が加わって、華やかさと厳かさが一層増した。(高橋正子)

能果てし帰船の入日よなぐもり★★★
少年ら雁木へ荷を置き磯遊び★★★

●桑本栄太郎
菜園の生垣めぐる新芽かな★★★
サンシェード下ろす車窓の春暑し★★★
秘めごとの吾にありしや著莪の花★★★
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4月18日(木)

2013-04-18 08:24:25 | Weblog
●小口泰與
夕映えを清流に乗せ花筏★★★
見下ろすや池をおおいし花の雲★★★
雄雉の忽と咫尺を飛びにけり★★★

●古田敬二
陽が落ちる芽吹きの梢に陽を残し★★★★
芽吹きの梢に夕陽が最後まで残って静かなかがやきとなっている。芽吹きの梢の細やかさが一日の最後まで美しい。(高橋正子)
葉桜となりて森の落ち着きぬ★★★
カラタチの花咲くその奥夕暮れて★★★

●河野啓一
夏近しシャツ一枚でペダル漕ぐ★★★
春は行く野山を青く染めあげて★★★
わらび餅購い帰る鄙の里★★★

●多田有花
野のみどり山のみどりや春暑し★★★
山吹も揺れることなし山の午後★★★
ゆっくりと躑躅咲く坂母とゆく★★★

●桑本栄太郎
用水の花菜明かりの中洲かな★★★
医科大の樟の大樹や新芽立つ★★★
花水木こころの痛むことばかり★★★

●黒谷光子
長閑さに訪ねる江戸の長屋門★★★
名園を巡り椿の八重一重★★★
乗り降りに傾く春の屋形船★★★
屋形舟は、花見の舟か。また新緑を楽しみながら下る川下りの舟か。乗り降りに傾いて危ういが、それも屋形舟の興趣。(高橋正子)

●小西 宏
鶯の鍵盤右へふと左へ★★★
空襲に斃れし人の竹の秋★★★
タンポポの綿毛競える夕明かり★★★

●佃 康水
 宮島桃花祭御神能祭
太郎冠者のらりくらりに山笑う★★★
春風を袖に孕みて能舞えり★★★★
厳島神社の能舞台は特別なもの。海を渡ってきた春風が能舞台を吹く。能衣装の袖に孕む風が風雅に動きのある新鮮さを呼んでいる。(高橋正子)

能笛の漏るる参道緑立つ★★★
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4月17日(水)

2013-04-17 06:25:55 | Weblog
●小口泰與
雲もなき空へ白鳥帰りけり★★★
白鳥が空の青に染まらず帰ってゆく光景。白鳥の白、春空の青、ともに寂しい。(高橋正子)

さえずりや花屋いろどる花の数★★★
春深し小布施の町の水明り★★★

●河野啓一
園児らの声風に乗りゲンゲ畑★★★★
げんげ畑で遊ぶ園児たちが、うれしそうな声をあげ、吹く風に声が乗ってくる。牧草のような匂いがする牧歌的な句だ。(高橋正子)

畦道の向こう遥かに蓮華草★★★
うすピンク色に透けて今年の紫雲英かな★★★

●多田有花
霞桜すでに汗ばむころとなり★★
曇天に重たく咲いて八重桜★★★
チューリップヘッドライトに口閉じて★★

●桑本栄太郎
教師らの校門チェックや花は葉に★★★
子雀の地上の一尺翔ぶばかり★★★
暮れかねる畑の陽を透き柿若葉★★★

●小西 宏
花楓啄ばんで鳥陽を揺らす★★★
麗らかや少し色づく春紫苑★★★
たんぽぽの綿茎高く立ち空へ★★★
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

4月16日(火)

2013-04-16 08:05:22 | Weblog
●小口泰與
風荒き郷にほぐれし牡丹の芽★★★
種袋振るや鳥達高く鳴く★★★
野ざらしの猫車あり鳥帰る★★★★
猫車はもう使われなくなったのか、野ざらしにされている。野畑には、若草が萌え出ているだろう。空高く鳥が帰ってゆく。さびしさの中にも、野は春の明るさを秘めている。(高橋正子)

●黒谷光子
購いて流しに小鮎跳ねさせる★★★★
獲れたばかりの小鮎を買う。流しに置くとまだぴんぴん跳ねる。山椒の葉や実と飴煮されるのだろうか。湖のほとりの暮らしが鄙びていながら風雅。(高橋正子)

飴色に煮ても小鮎の耀ける★★★
小鮎煮て明日の客へのもてなしに★★★

●多田有花
左右より来て春の川合流す★★★
九十九折れ木の芽の山の麓まで★★★
春筍鶴嘴を手に掘りにゆく★★★

●河野啓一
人の波牡丹桜のその下に★★★
重そうな色して牡丹桜かな★★★
散り初めと云えど嬉しき八重桜★★★

●桑本栄太郎
静もれる路地の狭庭や花蘇芳★★★
生垣の赤き芽吹きや古民家の★★★
乙訓の嶺から里へ花菜風★★★

●小西 宏
麗しきもの移りゆく春愁★★★
花蘂敷く道濃く淡く蝶の影★★★
薄日差す紫重し藤の棚★★★
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする