ROCK & CINEMA DAYS

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「白雪姫」で大笑い

2008-09-06 19:43:09 | 
誰もが知ってるグリム童話「白雪姫」で大爆笑してしまい、今日は一日中思い出しては笑いが止まらないヤバイ状態でした。

うちで購読している中日新聞朝刊は、数年前から昔の名作を原文のまま掲載するという企画を実施しています。
漱石・龍之介・宮沢賢治などなどの文豪の名作が数回に分けて掲載されてきました。
つい最近は、菊池寛と芥川龍之介が訳したアンデルセン童話の「みにくいアヒルの子」「マッチ売りの少女」なども、当時の原文訳のまま掲載されました。
そして今は、グリムの「白雪姫」。菊池寛の訳なんですがね。

大筋はみなさんご存じのとおりです。
継母である王妃に美しさを妬まれ、森で7人のこびとたちと暮らすようになった白雪姫が、老女に変装した継母からもらった毒リンゴを食べて死にます。
しかし通りがかった王子に見初められ、生き返って…。

今日の掲載分は、毒リンゴを食べて死んだ白雪姫が棺に入れられているところを王子がとおりがかって見初めるシーンでした。
ここが私の笑いのツボに見事にハマッてしまったのです。

原文だとちょっとわかりにくいんで、簡単な文章で再現してみますと…。

棺の中の白雪姫を見た王子は、一目惚れしてしまいました。
そこでまわりで悲しんでいるこびとたちに
「この美しい女性をぜひ連れて帰らせていただきたい。お礼に君たちのほしいものは何でもやろう」
と頼みます。
しかしこびとたちは
「この娘は私たちの大事な娘だ。ほしいものを何でもくれると言っても、渡すわけにはいかない。お断り」
と突っぱねます。
そうすると、王子ったら
「そうだね。とても物と引き換えにできるような女性ではない。君たちの気持ちはよくわかる。じゃあ、
何もあげないから、この女性を連れて帰らせてくれ
と頼みました。

ここで私は大爆笑でした。
だって「何でもあげるからこの女をくれ」って言って、
「だめ」と断られたら、
「じゃあ何もやらないからこの女をくれ」って…。
王子、それじゃ取り引きになってないじゃん。
しかもこの言葉を聞いたこびとたちは、

「そこまで姫を愛してくれるのかと感動したこびとたちは、承知しました」。

何でやねん。

人よすぎやろぉ、こびと。
なんでさあ、
「何もやらんから、くれ」
と言われて感動して承知する?
損してることに気づかんのか?
それだったら、王子が「何でも好きな物をやる」って言った時に承知しとけばいいやん。
欲がなさすぎるにもほどがあるって。
しっかしこの王子は策士であるな。
こびとたちの欲のなさを逆手にとった禅問答。
結局は損せず欲しい女を手に入れたということですね。

このくだりで大爆笑してしまって
まわりにいた息子たちに説明しようとしたのですが
「ちょ~~~、この白雪姫さ~~~、読んでみるよ~~
『王子は、何もやらないから、ひぃめぇをぅぅぅ…』
ひぇ~~~あかん、読めん~~ぎゃはははははwwwwwwwwwww」
と笑い崩れて不可能でした。

こびとたちに
「誰がきても決して家に入れてはならない」と何度念を押されても
王妃を入れて仮死状態にされてしまう白雪姫の学習能力のなさも相当だけど

しつこいくらい王妃に
「世界で一番美しいのは誰?」
と聞かれて、いちいち「白雪姫」と答える融通のきかない鏡も鏡だけど

やっぱ
王子が一番へんなやつだ。

こんだけ笑ったのは
そんぽ24のCMを初めてみたとき以来、久々であります。






「オール1の落ちこぼれ、教師になる」の宮本延春さん

2008-06-02 17:11:35 | 
「金八先生」のドラマでも紹介されたという、ご存じ奇跡の高校教師・宮本延春さん。
けさの新聞に彼のコラムが載っていたので読んでみたんですが、やっぱりこの人はすごい。

コラムの内容は、中高生向けの助言なのです。
どうも月一回のペースで掲載されているようですね。

今日のテーマは「なぜ幸せになりたいのか」。
要約してみると、こういうことです。↓
     
××××××××××××××××××××××××××××××××××××

人間が生きる理由は、幸せになることが目標、と言っても過言ではない。
そして幸せの基準は、人それぞれである。

しかし
自分が幸せだと感じる心は
幸せしか知らない人には育たない。

自分が幸せだと感じるためには
幸せを測るための物差しが必要である。
その物差しとは
「不幸な経験」
「不幸を感じ取れる感受性を磨く経験」。

つらさを経験して今の幸せを知ることができる。
病気を経験して健康のありがたみを知ることができる。

自分が遭遇する「つらいこと」「いやなこと」は
幸せな時間やすてきな場面を増幅してくれる貴重な経験である。

そう考えれば、つらいことにも意味があるのではないか。

××××××××××××××××××××××××××××××××××××

ほぉ~と朝から納得してしまいました。
私が前回のブログで、杉山登志の遺書についてちょろっと触れたことと、同じではないにしても遠からずな見解なんで、うれしかったですね。
ちょっとおこがましいですが(笑)。

この宮本延春さん、今さら紹介するまでもないと思うんですが、一応書いておきます。
小学生の時にいじめで不登校になり、勉強をまったくしないまま中学校に進学。
かけ算の九九も2の段までしか言えず、書ける漢字は自分の名前だけ。
成績はオール1で高校進学もムリ。
中学卒業後、大工の見習いなど苦労しながら成長し、
23歳の時、恋人に貸してもらったアインシュタインのビデオを観て感銘を受け、大学進学を志す。
小学3年生のドリルから勉強を始め、24歳で定時制高校入学、3年後には名古屋大学理学部物理学科に合格。
大学院まで進んだのち、自らの希望で母校の数学教師となる。

この「オール1の落ちこぼれ、教師になる」を読んだんですが、
これだけ波乱の半生が書かれているにもかかわらず
文面がまったくギラギラしてないんですね。
サラーっと読み進める。

たいていこういう自叙伝というのは、書き手の話し口調で書かれているのが多くて
(ゴーストライターが書いているからかもしれないけれど)
「俺ってこんなすごい経験してきたんだぞー!」みたいなパターンだけど
これはそういうところが全くない。淡々としてる。
自分を客観的に見てるんですよ。だから押しつけがましくない。
教師に向いてると思いますね。

タイトルは「落ちこぼれ」だけど、宮本さんは頭が悪いわけじゃないんですよね。
むしろ逆な人です。
でないとこんな奇跡は起こらなかったでしょう。
誰もが宮本さんのようになれるわけじゃない。
頭がいいだけじゃなく、彼の場合は桁外れの集中力があったんです。
それと「目標設定」。

宮本さんは「名古屋大学へ行って物理の研究をする」という、揺るぎない目標を設定しました。
その目標に、自分の生活すべてをシフトしたんだから、もう「参りました」としか言えないでしょう。
もちろん、周りの方々の協力がなければ、結果はどうなっていたかわからないですけれど。

宮本さんの場合は、バカだと思われていた人間が、実は頭がよかったと発掘された希有な例ですが
実際には、発掘されないまま(本人も頭のいいことに気づかず)人生を終えていく人がたくさんいるんでしょうね。
悲しいことではあります。







いつもいっしょに

2008-05-08 22:37:40 | 
いつもいっしょに/
こんのひとみ・作 いもとようこ・絵



私はけっこう絵本が好きなんですよ。
若い時は興味なかったんですけど。
子供ができると必然的に絵本に接する機会が増えます。
そうするとですね、
絵本って子供だけでなく
大人に向けてもメッセージを発信してるということがわかったんです。

特に動物が出てくる話ね。
擬人法でストーリーが進むんですよ。
人間だとリアルすぎて子供は引いちゃうかもしれない内容でも
ソフトに伝わりますね。
私は「いもとようこ」さんの絵が大好きです。
弟たちができて戸惑う兄を描いた「ぼくはおにいちゃん」とか
題名はわすれちゃったけど、ねこの子供たちがけんかしたり、おかあさんにくっついたりする話とか
ほんわかする絵で癒されますよ。

今日は本屋に行ったら
たまたま、いもとようこさんの
「いつもいっしょに」をみかけたんで
得意の立ち読みをしました。
実は私は立ち読み名人で、本屋さんの敵なんですわ。
でもたまには買いますよ(笑)。
この本は非常に評価の高い絵本なんで
前々から気になってたんです。

ストーリーは
ひとりぼっちで暮らしているくまのところに
ある寒い夜、うさぎがやってきます。
寒さにふるえているうさぎに
くまは温かい食事を作ったりして世話をしてあげます。
いままでひとりだったくまは
誰かのために一所懸命してあげることに喜びを覚えます。
ベッドでふたりで眠ると、暖かくて落ち着きます。
くまはとても幸せになりました。

でも
うさぎは、いつもニコニコしているだけで
何もしゃべりません。
うれしいとも、おいしいとも言いません。
だんだんくまは不安になり
ある日、うさぎに大声で怒鳴ってしまいました…。

結末は書かないよ~。

とても切ない話です。
くまは、うさぎを失って初めて
「愛する人と一緒にいるだけで幸せ」
ということに気づきます。
うさぎはニコニコして一緒にいるんだから
くまのことを嫌いなはずないのにね。
でもくまにしてみれば
「こんなに尽くしてあげてるのに、本当はどう思ってるんだろう。
自分のひとりよがりなんだろうか」
と不安になるのも無理ないことです。

こうした、ちょっとした心のズレで
いろんな別れと出会いが生まれてくるわけですね。
絵本といえども
決して子供だけに向けて創られているのではありません。

でも
「一緒にいるだけで幸せ」

「そばにいるだけで気分が悪い」
に変化するのもよくある話だよね。

なんて
ひねくれた考え方をするようになった自分がコワイや。