ROCK & CINEMA DAYS

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70年代の中学英語「ニュープリンス」~ベンとルーシー

2016-04-10 08:19:00 | 
中学英語の教科書に登場する「エレン先生」がかわいいと話題になっていたので
ふと自分の中学時代の教科書を思い出しました。



70年代の英語の教科書は
「ニュークラウン」「ニューホライズン」「ニュープリンス」の3種類あり
学校によって(地域によって?だったかも)使用する教科書が違っていました。
私の学校は「ニュープリンス」。
なぜ3種類あるのを知ってたかっつーと
当時、購読していた旺文社の学習月刊誌「中1時代」の学習ガイドページが
この3種類別になっていたからです。
それで「クラウンとかホライズンとかあるんだ~」と知ったわけですの。



どの教科書も、決まった登場人物がありまして
ニュープリンスの主人公は「ベン」と「ルーシー」。
Ben March と Lucy West でした。
ベンには、university student の兄トムと、college student の姉アリス
ルーシーには幼い妹メイがいました。
担任はミス・グリーン。
友達はディックとナオミ。



ナオミ。
彼女は1年生の教科書には出てこなかったのですが
この日本名を見た瞬間
「きっと着物でアナクロな登場の仕方するんだろうな」
と直感したものでした。
その直感が間違いないことがわかったのは2年生の時。
感嘆文の「What a ~」「How ~」の項目でした。
出たよナオミ。着物であざとく登場。
ベンやルーシーに
「What a beautiful kimono!」だの「How nice!」だの褒められて
ふふん、ってな表情。いや~あざとさ100%。



この時に覚えたのが
「ナオミ」「キモノ」は
真ん中にアクセントを置いて発音することでした。
日本語だと平坦に発音するところを
」「」となるんですね。文字で伝わりますでしょうか。



この登場人物たちの舞台はマディソン。
マディソン。
マディソン。
マディソン。



マジソンバッグ作ってるとこか!
と、当時の私は連想してました。
マジソンバッグって若い方は知らないでしょう。
検索したら出てくるでしょうけど
70年代、男子中高生の御用達スポーツバッグでした。
感覚的には、そうですねえ。
今の高校生がナイキやアディダス等のエナメルのスポーツバッグ持ってる感じ?
もちろん形は全く違いますが
そういう感じで大流行してたんですよ。
マディソンっていうと、当時の私にはそのイメージしかなかったです。
「マディソン郡の橋」なんてずっとずっとずーっと後ですしね。



ベンとルーシーが中心になって教科書が進むんですが
まったく別の話が掲載されたりもしてました。
2年生か3年生の時だったか忘れましたが
小泉八雲の怪談「Mujina」。
「むじな」ね。
この「むじな」の意味がわからなくて。
話の内容は「教科書ガイド」のおかげで(笑)、わかったんですが
タイトル「むじな」がわからない。
教科書ガイドにも説明がない。
当時は当たり前ですがインターネットもない。
教師に「むじなって何ですか?」と聞いたような記憶がうっすらありますが
覚えてないってことは
おそらく疑問解決してくれるような回答ではなかったのかと。



今は小学校から英語の授業があるし
ネイティブの先生が教えてくれるし
幼児の英語教室もたくさんあるし
帰国子女や外国人居住者の数も当時とは比べものにならないし
私たち世代とは英語に対する感覚も天地ほどの差があるんでしょう。



中1の英語の教科書で
最初のページに出てくるリンゴの絵と「apple」の文字。
ほとんどの生徒は、ここから「英語の勉強」が始まったのでした。


そういえばちょうどその頃
芸人の横山プリンがラジオで話してました。
テレビで共演している子どもタレントが中学生になり
英語を習いだして楽しいらしく
「この単語知ってる?」
といろいろ聞いてくるんだよ、英語って最初は楽しいんだよね、だけど
「Which do you like better, an apple or an orange?」
のとこででたいてい挫折するんや。
...と言うのを聞いて「ほお。なるほど」と納得した覚えがあります。



ベンとルーシーに話しを戻しましょう。
ベンの名字はMarch なので
3月の話題がでてきた時はややこしかったですね。
ついでにルーシーの妹の名前がMay だったので
5月の話があるとややこしかったです。
もちっと違う名前にしてくれたらエエのに...と思いました。



友達と勉強する時に
ルーシーの名字はWest だったので「西ルーシーさん」
担任はミス・グリーンだったので「みどり先生」と
言い合ってました。
「ナオミあざといわー」
「ベンってルーシーとナオミのどっちが好きなんやろ」
と言ってた友はいまいずこ。



中学、楽しかったなあ。
中学時代は黒歴史で思い出すのもイヤ、って方が多いと思いますが
私は戻れるとしたら
小学校でも高校でも大学でもなく
中学なんですよ。
中2病、オーライ。ドンマイ。
あの頃に戻れたら
本たくさん読んで映画みまくってロック聴きまくって
たまに勉強して(笑)日々過ごしたいですね。


最後、ニュープリンス関係なかったですね。失礼。


波乱の芥川賞だった「限りなく透明に近いブルー」

2015-07-17 23:51:00 | 

昨日はお笑い芸人の又吉さんが芥川賞を受賞されたニュースで持ちきりでした。
私は未読なんですけど、電子図書で発売された時
冒頭部分だけ無料で読めるサービスがあったので読みました。
面白かったですよ。
文章が読みやすいし、情景も容易に浮かんでくるので
続きが読みたくなる作品でした。


又吉さんの選考はすんなり決まったらしいですが
芸人の受賞は初ということで
久々に大きなニュースになりました。
芥川賞がこれだけ騒がれたのは
「限りなく透明に近いブルー」以来かなと
ふと思い出しました。


今回の芥川賞の選考委員でもある村上龍氏が
第75回芥川賞を受賞した作品「限りなく透明に近いブルー」。
この作品は選考会でも大モメだったと報道され
発刊後も読者から賛否両論の感想が聞かれた超話題作でした。


あの頃私は高校生で、ロックファンの定番雑誌「ミュージックライフ」の読者でした。
ミュージックライフの編集後記に、当時の編集長・水上はるこ氏が
「書店で『あのー、限りなく』と言った瞬間、『あー、完売して入荷待ちです』と言われる」
との文を載せていました。
どれだけ話題作だったか想像できるでしょうか。


そんな状況でしたので
私が「限りなく透明に近いブルー」を購入したのも
発売後数ヶ月たってからでした。
当時の表紙は、主人公の恋人・リリーのモデルとなった女性の横顔だったと記憶しています。
カバーの袖部分には、美大生だった村上氏の写真。
今では日本文学界の重鎮となった村上氏の若き姿に
現代の若い方は驚くかもしれません。


私より一足先に読んでいた友人曰く
「あれが芥川賞だなんておかしい!あんな文章、私でも書けるわ!」。
へー、そんな小説なん?と、読む前から少しテンション下がった私でしたが
とりあえず話題作は読んどこう、と読み始めました。


完読してみて思いました。
「いや、この文章は書けないっしょ」。


目からウロコと言うか、ほわわんとした衝撃と言うか
とにかくそれまで読んだことのなかった文体でした。
話の内容より、文体の方が鮮明に記憶に残っています。


まず、話し言葉に「」がない。
これ衝撃でした。
話し言葉には「」をつけるものだという固定観念がありましたから。
小学校の国語の時間に習いました。
練習問題で「次の文章の中で『かぎかっこ』を使う部分を抜き出しなさい」なんてのもやりました。
そうやって、会話は必ず「」を使うものだと思いこんでいました。


しかしこの作品は、会話に「」がないのです。
全部の会話に「」がないわけじゃないですよ。
ちゃんと「」を使っている会話文もあります。
でも、「」を使わずに会話文を書いてることで
逆に会話を浮き出させる効果を生んでいます。
目の前でリアルに会話を聞いているような効果です。
こんな文体の小説はそれまで存在してなかったと思います。
単に私が知らないだけかもしれませんが。


そして流れるような文章。
登場人物たちの常軌を逸した行動を
主人公がまるでガラス越しに観察しているかのように淡々と語ります。
従来の小説なら、主人公は他者の行動に自分の意志や感情を表していましたが
この「僕」は、そんな感情を露わにすることがありません。
せいぜい「気持ち悪くなって吐いた」ぐらいのことです。


それでいて描写は細かく
冒頭での「パイナップルが腐っている」くだりなどは
腐敗臭が漂ってきそうなほど(笑)リアルでした。


リアルと言えば
ハウスの仲間たちが
ローリングストーンズの「Time Is On My Side」を
大音量で流している場面。
もう、想像できすぎてしまうほどリアルに脳内再生され
読みながら「♪ターァイム イゾンマイサァァァイド」と歌いそうになるぐらいでした。
この頃は
「ローリングストーンズは永遠に日本に来ない」
と信じられていた時代でしたのよ。
だから
長谷川和彦監督の映画「太陽を盗んだ男」でも
政府への脅迫が「ストーンズを日本に呼べ」だったんですよね。
あの映画で使われたストーンズ来日公演のポスターがほしかった!ほしかったのよ!


1973年にストーンズの初来日が中止となったのも
メンバーのドラッグ歴が原因だったんですが
あの不健康なミック・ジャガーが
40年後には「健康じいさん」として現役ロッカーになるなんて
当時誰が想像できたでしょうか。


ああ、ストーンズじゃなくて「限りなく透明に近いブルー」の話に戻します。
ロックコンサートの警備員をリンチする描写もエグかったですね。
ミッキーマウスのシャツに黄色い液体がポタポタとかね。


この作品が出た次の年だったか
数学の授業で「これを『限りなくaに近づく』と言います」ってのを習った時
教室中が「ほぉーーーっ」と言う声で埋めつくされました。
数列だったかな。数Ⅱ?数Ⅲ?
そこで初めて「数学用語だったのか」と知りました。


賛否両論の議論を呼んだ「限りなく透明に近いブルー」。
第2作は「海の向こうで戦争が始まる」。
これは高校で同じクラスだった友達が「めちゃ感動した!」と興奮していて
第3作の「コインロッカーベイビーズ」は
大学の後輩が「これすごいわ~」と大絶賛していて
村上龍氏は一発屋ではないことが証明されたわけですが


私は読んでないんです。
リアルタイムで読んでおくべきだったと絶賛後悔中。


「限りなく透明に近いブルー」も
今は手元にありません。
結婚するとき、親戚に
「あんたは自営業に嫁に行くんだから、のんびり本なんて読んでるヒマないよ!本なんてジャマになるよ!」
などと言いくるめられて
「パタリロ」以外のほとんどの本を天牛書店に売ってしまったからです。
あ、人のせいにしちゃいけませんね。


なぜか嫁入り道具に持ってきた「パタリロ」は
その後、息子達のお気に入りとなって重宝しました。


ちなみに、私が一番好きな芥川賞作品は
安部公房の「壁」です。


細川貂々「ツレがウツになりまして」

2010-07-03 16:55:00 | 


久々に図書館へ本を借りに行きました。
目当てのものが貸し出し中だったので帰ろうとして
返却直後の本が並んだ棚を何気なく見ていたら
細川貂々の「ツレがウツになりまして」「その後のツレがウツになりまして」を発見。
思わず手にとって読んでみたら面白くて
借りてしまいました。

去年、NHKで高視聴率をとったドラマの原作です。
私もこのドラマは見てました。
主演が藤原紀香とネプチューンの原田泰造で
この時は原田泰造の演技の上手さに驚いたものでした。
他にも、おぎやはぎの小木さんや
バナナマンの設楽さんなどお笑いの人たちも出演してましたが
内容が内容だけにとてもシリアスな役柄でした。
小木さんなんか最初は誰かわかんなかったですから。


こちらの原作はマンガで
貂々さんの飄々としたタッチで描かれています。
ですからドラマほど深刻な感じではなく
ユーモアを交えて、ところどころ笑えるようになっています。

笑えるところがあるとは言え
うつ病になったツレさんと
ツレさんを支える貂々さんの生活はとても深刻で
「自分がうつ病になったらどうなるんだろうか」
「夫がうつ病になったら貂々さんのように支えていけるだろうか」と
自分自身に向き合って考え込んでしまいました。

エリートサラリーマンだったツレさんは
激務からストレスをため込み
ある日突然、真顔で

「死にたい」

と貂々さんに言います。
その時の貂々さんの気持ちたるや
想像するだけで胸が痛くなります。

明るくて
いつも前向きで
うつにはほど遠いと思われていたツレさん。
そのツレさんが発病して
貂々さんは初めて「うつは誰にでもなる可能性のある病気」だと知ります。

もう二度と元気な頃のツレさんは戻ってこないのだろうか。
いずれ治るよ、のんびりあせらず行きましょう。
貂々さんは自問自答しながら
手探りで看病していきます。
時にはブチ切れてツレさんの病状を悪化させることもありましたが
電車に乗れなくなったツレさんと3時間歩いて帰宅したり
一所懸命にうつ病を理解しようと努力します。

「うつ病にかぎらず
どんな病気でも
逃げてばかりいたら
治らないと思うんです」

これが貂々さんの結論です。
当たり前のことなんだけど、誰もが忘れがちな言葉。
うつ病と向き合った貂々さんだからこその、重みある言葉です。

この本は、貂々さんの一方通行ではなく
ツレさんのエッセイもたくさん挿まれています。
うつ病だった頃の心情が綴られていて
治った今では、その時はなぜあんなことを考えていたのかと疑問に思うそうです。
経験者の自分でさえそうなのだから
病人の周辺の人が理解したり、想像したりするのは困難だろう、と書いています。

この本を書くに当たって
貂々さんがツレさんの日記を見せてもらい
そこで初めて、ツレさんが自殺未遂していたことを知ってショックを受ける場面があります。
一番悲しい場面です。

「できないことは、無理しない」
「できないことは、あきらめちゃえば?」

貂々さんが、読者に向かって語っています。

また、貂々さんは
ツレさんのうつ病を
「うつ病って不思議なこと多いね。宇宙人のカゼみたい」と言って
うつ病を「宇宙カゼ」と呼びます。

うつ病特有の症状で
「もう治らないんだ。自分みたいなお荷物はいない方がいい」
と言う後ろ向き発言が出た時
貂々さんは
「病気がそう思わせてるんだよね。ちゃんと薬のんでる?」と言って
自分が厄介者なのではなく、病気がそう言わせてるんだと認識させなければならない、としています。
ここで変に同調したり
叱ったり
説教したりしてはダメなんだそうです。

「ガンバレ」は最禁句なんですって。
「がんばらなきゃ。でもどうやって?いったい何を?僕には無理だ…」となって
非常に落ち込んでしまうらしいです。

うつ病のことを書いた本はあるけど
うつ病患者の家族がどうすべきかの情報はない。
じゃあ自分たちの経験を書こう。
そしてうつ病をいろんな人に知ってもらおう。
貂々さんは何度も書き直し、泣いたりして
この本を描き上げました。

うつ病の人というより
うつ病患者の家族のための本かもしれません。
そしてもし自分が発病したら、という時のためにも
読んでおいた方がよい本でした。


百田尚樹「ボックス!」

2009-07-29 22:44:00 | 


百田尚樹って30年ぐらい前、朝日放送「ラブアタック!」の「みじめアタッカー」だった同志社の百田くんか?
そう思って検索してみました。
2009年度本屋大賞第5位です。百田尚樹著「ボックス!」。

やっぱりそうだった。
あの「同志社の百田くん」でした。
「探偵!ナイトスクープ」のエンドロールに制作者として名前が出てるのを見たときもびっくりしましたが
たくさん小説も書かれていて、2度びっくりです(文学に疎くてすみません)。

「ボックス!」は、高校ボクシング部を舞台にした青春小説です。
私の息子も高校でボクシング部に所属しており
アマゾンなどの読者評も非常に高いので
いっちょ読んでみようかと思い立ちました。
小説をまともに読むのはもう何十年ぶりでしょう、というほど
文学から遠ざかっていたので
完読できるか不安でしたが

いやあ
一気に読めてしまいましたよ。

おもしろい。

登場人物は
中学からジムに通っていて、天才的な才能を発揮するボクシング部員(でもかなり天然)の「カブ」。
カブの幼なじみで、授業料免除の超秀才だが運動が苦手な「優紀」。
ボクシングにまったく興味がないのに顧問になってしまった教師「耀子」。

この3人を中心に
ボクシング部の監督で、かつて鬼ファイターとして名を馳せた「沢木先生」。
大阪の強豪高校の部員で全国から注目されている無敵のボクサー「稲村」。
部員たちを和ませたマネージャー「丸野」。
中学生だったカブの才能を見抜いて鍛え上げたジムのトレーナー「曽我部」。

などが脇を固めます。

カブという少年を
優紀と耀子の二人の視点から描く形になっています。
あ、「優紀」ってユニセックスな名前ですが「男」ですよ。
幼少の頃、カブと隣同士に住んでいた幼なじみという設定です。

耀子はまったくボクシングの知識がないので
わからないことを監督や部員に質問して教えてもらいます。
その描写で、ボクシングを知らない読者も説明を受けることができます。
つまり作者は、耀子を介してアマチュアボクシングの説明をしてるんですね。

破天荒な天才・カブに憧れて
「強くなりたい」と入部した優紀。
最初は監督が「なんじゃこりゃ」とあきれるほど運動能力のなかった彼が
愚直なまでに監督のアドバイス通りにひたすら努力して
別人のように成長していく様は痛快でもあります。

クライマックスである
カブと稲村の試合のシーンは
どうなるんだろう、とドキドキしながら読むことになります。
天才が故に、努力せずに勝利を収め続け、そして挫折を経験したカブ。
ボクサーの息子で、廃人となった父親を見てボクシングの恐ろしさを知りつつ
無敗を誇る超人高校生・稲村。
どうよ!どっちが勝つの!ひょっとしてどっちかが再起不能になるのか?
…まあ、結末は言えないですね。読んでみてください。

私も息子がボクシング部だと先に書きましたが
耀子同様、知識はありません。
だからこの本を読んで初めて知ることがたくさんありました。

まず、試合開始のレフェリーのかけ声が
「ボックス!」
だということ。
英語の「BOX」は、「ボクシングする」という動詞でもあるんです。
だから「ボックス!」は「ボクシングしろ!」と言う意味になるんですね。

そして試合中
選手が全然攻撃をしていかなかったりすると
レフェリーに注意されるんです。
「へえ、攻撃せんとあかんのやね」と言うと、息子が
「当たり前やん。レフェリーが『ボックス!(ボクシングしろ!)』って言ってるのに、攻撃せんかったら、試合にならへん」
と答えました。
そうか。そらそうやね。

この話には、悪者が出てきません。
せいぜい、中学時代に優紀をいじめた不良がちょこっと出てくるぐらい。
それもカブにボコボコにされて退場するし(笑)。
まあ、それも青春小説の醍醐味かもしれませんね。

ところで冒頭に書いた
作者の百田尚樹氏についてですが
やっぱ「同志社の百田くん」って呼ぶほうがしっくりくるわ~。

百田くんが同志社大生だったころに出演していた
「ラブアタック!」をご存じの方は
40代から50代でしょうね。
途中から全国放送になりましたが
最初は関西ローカルでした。

素人の大学生が出演する番組で
ひとりの美人女子大生を「かぐや姫」と名付けて
5人の男子学生がそのかぐや姫をめぐって
様々なゲームに挑戦するという
バカバカしくも面白い番組でした。

番組は2部構成になっていて
1部は水の中に長く顔をつけている競争とか
一流ホテルのフルコースディナー早食い競争とかやってました。
この「フルコースディナー早食い競争」が、なんとももったいなく感じられ
(手づかみで料理を無茶苦茶に口に押し込むんです。吐いてる人もいました)
今だったら絶対放送できないだろうなと思います。

2部ではかぐや姫も挑戦者も1部とは違う人たちになり
4人の男子学生が、かぐや姫に自己アピールをして選んでもらう形式でした。
こういう番組でして
始まった当初の関西ローカル時代に
百田くんが登場したのです。
確か2部のほうだったと思います。

とにかく百田くんは目立ってました。
30年たった今でも私の記憶に残っているぐらいですから。
なんというか、黒いマントを羽織って
無表情で芝居がかったしゃべり方をされてました。
もちろんかぐや姫に選ばれることはなかったのですが
この番組では、選ばれなかった挑戦者は
「みじめアタッカー」として
「みじめアタッカー大会」という企画に出演できたりしました。

百田くんもみじめアタッカーとして出演してましたが
彼のように面白いキャラクターの人は
1部と2部の間に挟まれる「つなぎ」の時間に出てきて
しゃべったりもできたんです。
私が覚えてるのは
かぐや姫として出演したことのある女子大生が
何かをレポートして読み上げていたところ
途中で百田くんが「何を言ってるんだぁ~!」と怒鳴ったことです。
もちろん本気で怒ったのではなく、盛り上げる演出でした。
怒鳴られた女子大生も笑ってましたから。

当時私は高校生で
友人のお姉さんが京都の大学に通っていたのですが
そのお姉さんが「百田くんって、テレビに出てるあのまんまのカッコで同志社におったよ!」
と言うのを聞き
「あのマントで大学に行ってるのかぁ…。大学生って、なんかスゲェ」
と思ったものです。

「ラブアタック!」は芸人ばりの面白い学生がたくさん出てきました。
いまだに私が覚えてるのは
「同志社の百田くん」と
「関大の悪魔」ですね。

「関大の悪魔」は
当時公開されていた角川映画「悪魔が来たりて笛を吹く」の
悪魔のコスプレをしてきた関大の落語研究会の学生です。
眉毛を剃って、耳のてっぺんを尖らせて
「そうです、私は悪魔なのです」と言いながら
ゲンコツを口の中に入れるというパフォーマンスをやってました。
みじめアタッカーとなるために出演したようなのですが
なんとかぐや姫に選ばれてしまい
祝福のファンファーレと紙吹雪が舞う中
なんで?なんで?やべえ、予想外…というリアクションをしてたのが忘れられません。
この悪魔、その後は桂三枝に弟子入りし、桂三歩というプロの落語家になられています。

本の紹介のつもりだったのに
百田くんの思い出話になってしまいました。
「ボックス!」映画化されるかもしれませんね。

物語の中で、耀子の見合いの相手がボクシングをバカにするシーンがあります。
野蛮・前時代的・頭が空っぽ、など
それが多くの人たちのボクシングに対するイメージなんでしょうね。

何の役にもたたないことに一所懸命な部員たちを、バカにされたと思った耀子が言い返します。
「10代に何の打算もなく一所懸命にスポーツに打ち込むって無駄ですか」
「不良なんかが続けられる甘いスポーツじゃないんです」

本を読んだ人が
アマチュアボクシングのことを少しでも理解していただけたらいいなと思います。

「京大芸人」を読んだ

2009-01-08 15:52:39 | 


ネットで読者レビューをみたら評判がよさそうなので
立ち読みしてみるかーと思い、行く先々の書店で探したんですが
どこも置いてなかったんですよ。
売れてるんじゃなかったのか?
単にここが田舎だから?

たまたまアマゾンのギフト券を持ってたんで
購入しようとしましたが
この本、1470円ってスゲー半端な価格ですね。
アマゾンは1500円以上なら送料無料なので
たかだか30円足りないだけで送料払うのもアホらしいと思い
他の本も一緒に購入しました。

抱き合わせたのは
島崎藤村の「破戒」のマンガ版です。
あらすじだけは知ってたんだけど
これは感動するわ。
なんかビクトル・ユーゴーの「レ・ミゼラブル」を思い出してしまいました。

高校の倫社の宿題で
何冊かの本の中から一冊選択して感想文を書かされたことがあり
「破戒」もその中に入ってたんだけど
ええかっこしいの私は
ゲーテの「ドイツ古典哲学の本質」というわけわからん本をチョイスしてしまったんです。
「破戒」にしとけばよかった。ちぇっ。


「破戒」じゃなくて
「京大芸人」の話するんでしたね。

読んでみてまず思ったのは
宇治原ってほんとに頭いいんだな~ってことでした。
相方で同じ高校だった菅が
宇治原の受験勉強法を解説しているのですが
なんで高校生がここまで各教科の勉強方法を理解できてるんや~?と
感嘆せずにはいられません。

例えば

英・数・歴史は、問題は解かずにひたすら暗記。
例文や例題を丸暗記するのですね。
なんでかと言うと
これらの教科は
同じような問題しか出ないからなんですって。

丸暗記して、テストの時は
覚えた例文や公式の単語・数字を置き換えるだけで解ける(!)らしいです。

歴史も、ひとつの時代を覚えて問題を解いて、次の時代に行く…
というのは凡人のやり方。
宇治原は、まず古代から現代までぶっ通しで読んで、
また古代から現代までぶっ通しで読む、を繰り返します。
そうすると、時代の流れがどういうふうに変化していくのかがわかり
暗記しやすいそうです。

国語は、問題のパターンが多様すぎて予測不能だから
何もしない(!!)。
そのかわり、新聞を読むこと。
時事もわかるし、コラムを読むと小論文の勉強になるから。

( ゚д゚)ポカーン

何度も言いますが
高校生ですよ、これ言ったの。

なんかの番組で
宇治原は高校3年の時
京大模試で全国2位になったというのを聞いたことがあって
めっちゃ賢いやん、と思ったもんですが
いやはや、さすが神童と呼ばれただけのことはありますね。

この本の読者レビューに
「学生時代に読んでおけばよかった」という声が多いんですが
この勉強法、凡人にはあんま参考にならないんじゃないかと…。
相方の菅(大阪府立大中退)でさえ、実践できなかったんだし。
英・数・歴史を丸暗記するなんて、どんだけ海馬にキャパあるねん、つー話よ。
コラム読んだら小論文の勉強て…。
あると思います!なわけない。
  ↑
  最近エロ詩吟をよくテレビでみますね

ロザンがデビューした時は
「京大生・府大生の超高学歴漫才コンビ」
と話題になったのを覚えてます。
高学歴漫才の先駆けといえば
大阪外国語大学出身の女性コンビ「非常階段」も思い出されます。

コンビのひとりミヤコは若くしてお亡くなりになりましたが
シルクはピンで頑張ってて
オリックスの監督だったコリンズと交際中との話も出てます。
英語で会話してんだろうなあ。英語科出身だもんね。

とりあえず読みやすい本です。
芸人の本らしくあちこち笑える箇所もあり
でも1470円てちょっと高くないか?
素直な感想。

時代を感じさせた描写が
大学の合格発表の話。
今はパソコンやケータイで合否がわかりますが
彼らの時代は
電話のプッシュボタンで受験番号を入力して
合否を知るというものでした。

「アナタハオチマシタ」
という不合格のアナウンスに呆然となった菅が
受話器を持ったままになっていると
「アナタハオチマシタ アナタハオチマシタ」
とエンドレスで流れてくるくだりは笑いました。

私の時代は超アナログでしたから
大学まで行って合格発表を見ないと
合否がわかりませんでした。
考えたら
私は合格発表って見に行ったことないんですよ。
京都の大学ばかり受けたんで
わざわざ時間かけて行くのがめんどくさく(大阪に住んでたんですけど)
「合格してたら合格通知がくるし、いちいち見にいかんでもええわ」
とのんきにしてました。
実際、合格通知は、どこの大学からも合格発表当日に届いたんですよ。

…同志社よ、なぜ合格通知を送ってこなかった?
うちの息子には送ってきたくせに。
おかげで今では息子にバカにされる日々じゃないか。