20年ほど前、よくユニコーンを聴いていました。
とは言え、アルバムは4枚しか持っていないので
熱烈なファンの方からはバカにされそうですが。
ユニコーンは歌詞がとてもよかったですね。
特に奥田民生の繊細な表現にはいつも感心させられました。
私事ですが
実家を取り壊すことになり
その話が出た時に頭に浮かんだのが
ユニコーンの「家」という歌でした。
アルバム「ヒゲとボイン」に収録されています。
―― 役所の人が現れて
親父と何か話してた
ぼくらの家は邪魔になるらしい ――
道路拡幅事業で立ち退きになる家を歌った曲です。
歌詞もさることながら
奥田民生が弾き語り風に淡々と歌うのがまた切ない、悲しい歌です。
初めて聴いた時、もちろんその頃は家を壊す経験などしたことなかったんですが
何とも言えず寂しい気持ちになったことを覚えています。
―― 生まれる前からここにある
むかしは何色だったの
ボロボロだからみんな捨てようか ――
私の実家も、私が生まれるずっとずっと前から建っていて
壁の色は茶色でした。
「この壁は、最初は薄いピンク色だったよ」と誰かに言われ
え~、うっそぉ、全然違うやん、きったない色なのに~
と笑ってた子供の頃を思い出し
改めて奥田民生の才能に感心した次第です。
実家には、金目の物は何ひとつ残ってないのですが
古いタンスが何棹かあったり
食器棚もテーブルも
もう使えない家具がそのままです。
全部家と一緒に壊されます。
―― 椅子と机と 柱と壁と
ぼくらの家は アスファルトの下 ――
このフレーズは秀逸ですね。
自分が住んでいた頃は
こんな古くて狭い家だいっきらい、と思ってたけど
いざ壊すとなると
家の中のすべての場所に
思い出が溢れでてきてしまいます。
最後の日は、家の中で
「ありがとうございました!」って叫ぶかな。うん。
―― 見知らぬ場所に座ってる
慣れないドアのそいつは
コンクリートで丈夫なやつだよ ――